“夢の扉+NEXT DOOR” (2011.6.26 放送分より)
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革命的ブロックで“最強の壁”を作る
造園家 吉村 隆顕(68歳)
(有)吉工園 山口県美弥市
石積みの魅力に惹かれて40年。
石は丈夫・・・4000年も5000年もどうにもなっていない。
石積みこそ未来に残すべき文化、石積みの技を守りたいという一念で
たった一人で開発に10年以上もかけた革命的ブロック。
≪ブランチブロック≫
蜂の巣のように組まれたブロックの中に自然な石を積むことで災害に強い壁となる。
日本古来の石積み技術を独特の形をしたブロックと組み合わせ現代に蘇らせた。
城の石垣にも使われていた技術。
現代版に必要なものはより強い強度。
ヒントは自然の中にあったという。
植物の根が大地を抱え込みより強くする。
「自然は自然を持って制する」
という強い彼の信念が大地に根を張るブロックへと繋がっていった。
割り箸模型から始まり、鉄パイプの試作品、
重機がその上を通ってもどうにもなっていなかったことに強度を確信。
会社の敷地内にブランチブロックのためだけの工場を建てたという。
1個40~50万円もの金型を作ったが失敗だったり、コンクリートを
入れたまま外せなかったりというバカなこともあったと笑っていた。
給料を払えなくて困ったこともあったらしいが、
従業員はみんな社長を信じてついてきたという。
「どうしてもやめられない成功させるまでは!止まったら終わりだから。」
長さ70m、高さ4mの壁をわずか1週間で築くことができる。
コンクリートだと基礎工事だけで1週間かかる。災害にも強い。
石積みの強さの秘密は隙間・・・内に溜まった水を外へ流す
基礎工事不要・・・下へ石をかましていくから1段目が普通の基礎と同じような役割。
ブロックの前側に大きな石を積み(後ろは下を向いているので
抜けない)、その後ろを小さな石で埋める。
この現代版石積みブロックの強度計算した土木建築工業科の教授はいう。
「予想以上に強かった。温故知新というんですかね。
我々は石積みを少し勉強した方がいいかなと。」
護岸・・・表面が凹凸のブランチブロックは、増水時、川の流れを遅くする
ので岸が壊れるのを防ぐ役割も持つ=護岸にも向いている
緑化・・・時が経てば石の隙間から草木が生え、自然に復帰する
工期が短くて災害に強い、その上、自然に優しい。
しかし、新しいものは誰も寄り付かなかったらしい。
特に日本は酷かったが、こつこつと実績を積み上げ、
きっと大きな仕事がくると頑張ってきたとのこと。
☆兵庫県豊岡市の川は、魚が他よりも3~4倍も住みつくようになった。
コウノトリも多く来た。濁流にも無傷だった。
☆そして2010年、
台風による土石流被害が最も酷かった台湾・来吉(ライチ)村での着工。
一刻も早くという思いから日本から金型を運び現地で生産。
土石流で流れてきた石をそのまま使用。
着工期間 8ヶ月
高さ 8m
全長 840m
台湾を機に、ブランチブロックはアジアで広まってきている。
「自然の石を上手く使うということは、21世紀の大きな宝ですと私は考えています。」
「これからの一年は今までの5年10年に値するかもしれない。」
そういう吉村氏は今、日本の被災地での依頼を受け、技術を生かそうとしている。
そして、瓦礫と化したコンクリートを見てつぶやく。
瓦礫は被災地を守る石積み代わりに使える!・・と。
やっぱり、自然の力って凄い!
恐ろしく牙をむくときもあるけど、修復方法もまたその中に隠されている。
あまりにも当たり前すぎてありのまま過ぎて気がつかないのかもしれないけれど、
またまだまだ沢山のヒントが私たちを包む大自然の中に隠れているのだろうと思う。
この残っている自然を壊さないで欲しいと改めて思った。
そして、このブランチブロックのように、再び自然に還るものならば
できるかぎりはそうして欲しいと願う。