みことば:「ガリオがアカイア州の総督であった時、ユダヤ人たちは一致して、パウロに反対して立ち上がり、彼を法廷に引き立てて行った。」18章12節 岩波訳
今回の箇所は、使徒パウロの生涯の年代付けを推定する唯一の手掛かりとなる箇所です。ガリオがアカイア州の総督であったのは、実在する歴史的資料によって西暦51年から西暦52年でありましたから、パウロはこの年の前後18ヶ月にわたってコリントに滞在していたことが判ります。この箇所からパウロの生涯の年代付けが逆算、計算されてゆきました。
さて、パウロは18ヶ月にわたってコリント滞在します。諸教会の祈りと経済的な支え、またテモテとシラスによるサポート、アクラ夫妻の協力などを受けて、パウロは懸命にイエス・キリストこそメシヤであるとユダヤ人たちの会堂でひたすら証言し続けました。その中で、会堂司のクリスポとその家族、また多くのコリント人が福音を聞いて信じ、ぞくぞくとバプテスマを受けました。しかし、キリスト教に対する反抗も次第にエスカレートしてゆきます。その拒絶する力が大きくなる中で、パウロは幻の中で主イエスの声を聞きます。「恐れるな。語り続けよ。沈黙するな。私はお前と共にいる。だから、お前を襲ってお前を害する者はない。この町には、私の民が大勢いるのだから。」(9-10節) この言葉がその後のパウロの宣教活動に大きな力を与えます。私たちもよく目の前の人たちを見て恐れます。しかし、主イエス様が「あなたと共にいる」と私たちに約束し、励まして下さいます。日常生活の中で、何か尻込みしそうになる時、何か気が進まないという時にはまずお祈りをして、聖霊の助けを求め、主が共にいて下さるという約束を思い出しましょう。
アカイヤ州コリントの総督ガリオに対し、ユダヤ教徒たちはパウロが「律法に反する仕方で神を拝するようにと、人々を誘惑している」と訴えます。ここで「律法」と訳されるギリシャ語は、ローマの「法律」をも意味していますので、ユダヤ教徒たちはパウロの宣教内容がユダヤの律法だけでなく、ローマの法律にも違反すると訴えたかったのです。しかし、総督はパウロの宣教内容の問題は、あくまでユダヤ教の「律法」に関する言葉や名称や考えであって、我々には何ら関係ないと退け、ユダヤ教とキリスト教の「内輪もめ」は自分たちで解決しろと命じます。また、宗教と政治は相見えないという政教分離の考えが反映されているように思えます。ルカは、ローマがキリスト教に対して中立、公平であることを私たちに訴えようとしています。私たちも宗教と政治を混合してはなりませんが、クリスチャンとしての声を世に発し、キリスト教会としての告白を立ててゆく必要があると思います。唯一の被爆国として、核兵器廃絶と世界平和のためにまず祈り、そして神がイエス・キリストを通して人類の救いと平和を望んでおられるという福音を伝えてゆく使命があると思います。
今回は、総督ガリオがパウロより先に口を開き、ユダヤ教とキリスト教の問題は双方で解決せよとその場をおさめましたが、「パウロが口を開こうとすると、ガリオはユダヤ人たちに言った」とあるように、パウロにもちゃんと答弁する準備はできていました。私たちにも「イエスはわたしの主なり」と証しする心の準備がいつもできているでしょうか。いつでも証し出来るように祈りつつ準備をしておきましょう。そうでないと、証しの絶好のチャンスをいつも逃してしまうでしょう。
週の後半の歩みも、主イエス様が共に歩んで守り導いてくださいますように。
主に在りて
大久保教会 牧師 河野信一郎
今回の箇所は、使徒パウロの生涯の年代付けを推定する唯一の手掛かりとなる箇所です。ガリオがアカイア州の総督であったのは、実在する歴史的資料によって西暦51年から西暦52年でありましたから、パウロはこの年の前後18ヶ月にわたってコリントに滞在していたことが判ります。この箇所からパウロの生涯の年代付けが逆算、計算されてゆきました。
さて、パウロは18ヶ月にわたってコリント滞在します。諸教会の祈りと経済的な支え、またテモテとシラスによるサポート、アクラ夫妻の協力などを受けて、パウロは懸命にイエス・キリストこそメシヤであるとユダヤ人たちの会堂でひたすら証言し続けました。その中で、会堂司のクリスポとその家族、また多くのコリント人が福音を聞いて信じ、ぞくぞくとバプテスマを受けました。しかし、キリスト教に対する反抗も次第にエスカレートしてゆきます。その拒絶する力が大きくなる中で、パウロは幻の中で主イエスの声を聞きます。「恐れるな。語り続けよ。沈黙するな。私はお前と共にいる。だから、お前を襲ってお前を害する者はない。この町には、私の民が大勢いるのだから。」(9-10節) この言葉がその後のパウロの宣教活動に大きな力を与えます。私たちもよく目の前の人たちを見て恐れます。しかし、主イエス様が「あなたと共にいる」と私たちに約束し、励まして下さいます。日常生活の中で、何か尻込みしそうになる時、何か気が進まないという時にはまずお祈りをして、聖霊の助けを求め、主が共にいて下さるという約束を思い出しましょう。
アカイヤ州コリントの総督ガリオに対し、ユダヤ教徒たちはパウロが「律法に反する仕方で神を拝するようにと、人々を誘惑している」と訴えます。ここで「律法」と訳されるギリシャ語は、ローマの「法律」をも意味していますので、ユダヤ教徒たちはパウロの宣教内容がユダヤの律法だけでなく、ローマの法律にも違反すると訴えたかったのです。しかし、総督はパウロの宣教内容の問題は、あくまでユダヤ教の「律法」に関する言葉や名称や考えであって、我々には何ら関係ないと退け、ユダヤ教とキリスト教の「内輪もめ」は自分たちで解決しろと命じます。また、宗教と政治は相見えないという政教分離の考えが反映されているように思えます。ルカは、ローマがキリスト教に対して中立、公平であることを私たちに訴えようとしています。私たちも宗教と政治を混合してはなりませんが、クリスチャンとしての声を世に発し、キリスト教会としての告白を立ててゆく必要があると思います。唯一の被爆国として、核兵器廃絶と世界平和のためにまず祈り、そして神がイエス・キリストを通して人類の救いと平和を望んでおられるという福音を伝えてゆく使命があると思います。
今回は、総督ガリオがパウロより先に口を開き、ユダヤ教とキリスト教の問題は双方で解決せよとその場をおさめましたが、「パウロが口を開こうとすると、ガリオはユダヤ人たちに言った」とあるように、パウロにもちゃんと答弁する準備はできていました。私たちにも「イエスはわたしの主なり」と証しする心の準備がいつもできているでしょうか。いつでも証し出来るように祈りつつ準備をしておきましょう。そうでないと、証しの絶好のチャンスをいつも逃してしまうでしょう。
週の後半の歩みも、主イエス様が共に歩んで守り導いてくださいますように。
主に在りて
大久保教会 牧師 河野信一郎