がんばれナラの木

震災にあわれた東北地方の皆様を力づけたくて
The Oak Treeを地方ことばに訳すことを始めました

森の祈り

2020年09月14日 | 目次
2020年4月3日、私は不思議な夢をみました。夢の中で私は学生に戻っていました。実は私は東北大学でラグビーをしていました。田口先生という素晴らしい人格の人が監督で、お医者さんでした。グランドにいる私に監督が
「パンとはこうやって蹴るんだ」
といってゴールポストに向かって高いキックをしました。その時、監督がニコルさんになっていたのです。どちらも大柄でお腹が出ていたので、重なったのかもしれません。純粋で植物や子供が好きなところも似ています。何れにしても、私はニコルさんが大きく蹴ったラグビーボールに行方を目で追いかけていました。
 カミさんと車で移動しながらその夢の話をしました。

 驚いたことに、その日にニコルさんが永眠したことを知りました。カミさんは驚いてニコルさんの魂が来たのだと言いましたが、私は科学者ですから、夢枕は信じるわけにはいきません。全くの偶然が起きたとしか言いようがありませんが、しかし不思議なことではあります。

 そのニコルさんは優しい人だから、動物研究者の私に向かってはなるべく動物の話をするようにしてくれました。でも私は特定の動物も好きではありますが、それ以上に動物と植物が繋がって生きていることにそれ以上に心を惹かれてきました。ニコルさんは2019年の6月に「森の祈り」という詩を書いていました。その詩には「ナラの木」に通じるものがあります。詩のはじめは根で始まります。それでわかったのは、ニコルさんも動物は好きだが、一番惹かれていたのは樹木であり、森であったということです。

 その詩を訳してみました。

森の祈り

我一本(ひともと)の樹になりたし
暗き土中に 広く 深く根を張り
土に抱かれ この星を抱く樹に

我一本の幹になりたし
歳月と星霜を年輪とし
高き 直(す)ぐき 強き木柱(きばしら)に

我一本の枝になりたし
光を求め 風に揺れ
天に祈りを捧ぐ枝に

我一片(ひとひら)の葉になりたし
春より秋には 瑞々しく 青く
緑陰を与え 涼やかに息づき 陽光と戯れ
やがて枯葉となりて舞ひ落ちむ
森の土へと還らむために

我なりたし どんぐりに
木の実に ベリーに 果実に
されば生けるものに糧(かて)を分かち 
種子を拡げむ

ああ 我らひとつの森にならむ
おのおのの強さと 違ひを貴(たっと)び
砂漠に緑を戻し 
我らが尊きこの星を潤(うるほ)さむ

我らに樹を植えさしめよ
この大地に そして 我らが心に



2019年6月 C. W. ニコル
(訳:高槻成紀)


Let me be a tree
With roots spread wide
And deep in the darkness
Held unto Earth
Holding earth

Let me be a trunk
Tall, straight and strong
A timber pillar
Ringed in years and seasons

Let me be a branch
Reaching for the light
Swaying in the wind
Praying to the heavens

Let me be a leaf
Fresh and green
Giving shade and cooling breath
Shimmering in sunlight
From spring to autumn
Then dancing down in delicate death
To rejoin the forest floor

Let me be an acorn
A nut, a berry, a fruit
Sharing food and spreading seeds

Let us be a forest
Embrace our strengths and differences
Turn back the desert
Nurture our precious planet

Let us plant trees
In the ground
And in our hearts

C. W. Nicol
June 2019





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