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容疑者Xの献身

2008-10-20 00:54:45 | Movie
フジテレビで人気を博した福山雅治主演のドラマ『ガリレオ』。
天才物理学者、湯川学が毎回オカルトめいた怪事件を解決していく物語だ。
その劇場版となる映画『容疑者Xの献身』を観てきた。
テレビ版は東野圭吾の小説『探偵ガリレオ』、『予知夢』をシリーズ化したものだ。
そしてテレビシリーズが放送された時、既にその長編エピソードとなる『容疑者Xの献身』の映画化が決定していた。
原作となった小説『容疑者Xの献身』は第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞に輝いた作品だ。
つまり一番面白いエピソードはあらかじめ映画化のために取っていたのだ。
テレビドラマは映画ための前フリ!?だったのかも知れない。

さて、気になるそのストーリーは・・・。
男性の惨殺死体が発見され、女性刑事内海(柴崎コウ)は捜査に乗り出す。
被害者の元妻、花岡(松雪泰子)に容疑がかかるが、彼女には完全なアリバイがあった。
彼女の隣人が、同じ大学出身の石神(堤真一)であることを知らされた天才物理学者湯川(福山雅治)は、事件の裏にかつて親友だったこの天才数学者が関わっているのではないかと推理するが・・・。

うーん、予想以上の内容で満足でした。
天才数学者が仕掛ける完璧なアリバイを、卓越した論理的思考で推理する天才物理学者。
事件の真相には非論理的な「愛」があり、論理的思考が全ての湯川を悩ます。
いつもクールな湯川の人間的な一面が垣間見えるエピソードだ。
ラストで明らかにされる石神が仕掛けたアリバイの真相は予想を裏切るものだった。

だいたいテレビドラマの映画化となるとかなり大掛かりの仕掛けやスタント、海外ロケなんかがあるものだが、本作ではあまりそういったところが無い。
強いていうと最初の実験のシーンと雪山のシーンぐらいだろうか?
そういう予算がかかるようなシーンにあまり重きを置いてないようだし、ドラマシリーズのように実証実験で難解なトリックを解いていくようなシーンもない。
テレビではお約束だった、湯川が事件の真相を解く時に一心不乱に方程式を書くシーンすらない。
不可思議な物理的なトリックを解明していくことに重きをおくテレビシリーズとは違い、本作では人間的な感情や愛にフォーカスをあてている。
そういう意味ではテレビシリーズとは結構違う仕立てになっている。

今回非常に目立っていたのは天才数学者を演じた堤真一の演技だ。
天才だがまるっきりジミで、うだつの上がらない無感情な中年を好演していた。
それゆえクライマックスシーンが非常に印象的だった。

さて、本作は単純な謎解きミステリーではなく、愛ゆえの献身のあり方を描くヒューマンドラマである。
テレビシリーズとは異なる趣のガリレオとなっており、テレビシリーズが好きだった人も、観てなかった人も楽しめる作品になっている。
湯川学的に言うと、実におもしろい!エピソードなので、ミステリーファン必見です。

容疑者Xの献身 公式HP


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