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真夏の方程式

2013-06-30 15:26:34 | Movie
東野圭吾原作の小説を映画化した『真夏の方程式』を観てきた。
原作は東野圭吾の作家生活25周年特別刊行三部作の第二弾として2011年に発表されている。
ちなみに第一弾はすでに映画化された刑事・加賀恭一郎シリーズの『麒麟の翼』で、第二弾の本作がガリレオシリーズの最新長編小説となる。
ガリレオシリーズはテレビドラマシリーズとしても大人気だが、こちらで取り上げているエピソードはほとんどが短編のエピソードをもとにしている。
ガリレオシリーズで現在発表されている長編は、『容疑者Xの献身』、『聖女の救済』そして本作『真夏の方程式』の三作品となっている。

直木賞を受賞した『容疑者Xの献身』は2008年に映画化されており、『聖女の救済』はテレビドラマ『ガリレオ』の第二シーズンの最終話として取り上げられた。
そして『真夏の方程式』が待望の劇場版として昨日より公開されたのだ。
原作はすでに読んでいるが、2年近く前なので、いい感じに忘れかけている。(^_^;)
早速、劇場に足を運んだ。

主演のガリレオこと湯川学役には、テレビドラマシリーズと同じく福山雅治が演じる。
もうすっかりこの役が定着している。
そのあらすじを紹介すると・・・。


水晶のような輝きの海を持つ玻璃ヶ浦。
この海で海底資源の開発計画が進み、推進派の企業と反対派の地元環境団体との軋轢は深まるばかり。
そんな中、推進派企業のアドバイザーとして物理学者・湯川(福山雅治)は説明会に招待される。
湯川が宿泊する宿、緑岩荘には家族の都合で夏休みの間、宿主である親戚の川畑家に預けられた少年・恭平がいた。
大の子供嫌いの湯川だが、行きの電車で知り合ったこの少年にはなぜか拒絶反応であるじんましんが現れない。
翌朝、この宿に泊まっていた塚原の変死体が岩場で発見される。
塚原は捜査一課を引退した元刑事で、16年前に起きたある殺人事件を追っていた。
不可解な点が多いこの転落事件の捜査協力を湯川に求めるため、捜査一課の岸谷(吉高由里子)が現地に送り込まれる。
思わず事件に巻き込まれることとなった湯川だが、事件の背景には川畑家の家族が抱える秘密があった。


映画化された第二弾のガリレオシリーズだが、テレビドラマシリーズとは雰囲気が異なる作品だった。
物理学者でなければ解決できないような奇抜な怪奇現象もないし、どこと構わず方程式を書きまくるようなテレビ的な行き過ぎた演出もない。

やはり東野圭吾の原作であるこのミステリーはストーリーがいい。
その脚本をガリレオのイメージそのものとなった福山雅治が演じ、前田吟や風吹ジュンなどベテランの役者陣が脇を固めるわけで、とてもいい作品に仕上がっていると思う。
成実役の杏も多少地味な感じがしたが、成実のイメージにはあっていて良かった。

子供嫌いの湯川と事件に巻き込まれた少年・恭平とのぎこちない親交は、シリーズを良く知っているファンからすると不思議な光景だ。
原作にも描かれている恭平とのペットボトルロケットで実験をするシーンは、青い空と青い海が印象的でほのぼのとしたいいシーンだった。

そして、自ら事件の真相を究明していく湯川も珍しいが、もちろんこれには訳があった。
主人の川畑重治、妻の夫妻、一人娘の成実、それぞれが抱える秘密が明らかになるにしたがって、事件の全貌が見えてくる。

ストリーは省かれたキャラクターや描かれなかった人間関係などはあったものの、割りと原作に忠実に描かれていた。
テレビドラマシリーズ同様に一番異なるのは柴崎コウが演じていた内海刑事の代わりに、吉高由里子演じるオリジナル・キャラクターが採用されている点だろうか。

原作で描かれた内海は経験も重ね、刑事として成長した姿が描かれていた。
このあたりがなくなっていたのは、東野圭吾ファンとしては残念なところ。
あと湯川の友人でもある草薙刑事をもっと活躍させて欲しかった。
そもそもシーズン2になってからのテレビドラマシリーズそのものが草薙刑事をあまり登場させていない。
原作では草薙が活躍するエピソードも多いが、ことごとくすり返られていて正直がっかりしたことが多い。
草薙というキャラクターが好きな自分としては、その点で特に最終話の『聖女の救済』が残念だった。
まあ大人の事情も行き過ぎると興醒め以外のなにものでもない。

とはいえ、本作は良い作品だったと思う。
個人的には『容疑者Xの献身』の方が好みだが、どちらも単純なミステリーに留まらず、人間関係や複雑な愛情を描く作品であり、流石は東野圭吾だ。

次の映画化は三部作の第三弾となる『マスカレード・ホテル』だろうか?
こちらの作品にはガリレオも加賀恭一郎も登場しないが、これまた面白い話である。
まだ映画化の話は出ていないようだが、実は撮影が進んでいたりするのかも知れない。
こちらも楽しみだ。


映画『真夏の方程式』公式サイト


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1 コメント

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RE:真夏の方程式 (matome)
2013-10-22 16:18:32
ご情報ありがとうございます
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