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RE: GENERATIONS / NAT KING COLE

2009-06-22 00:36:28 | Music
JAZZ

偉大なシンガーであり、ジャズピアニストのナット・キング・コールの生誕90周年を記念して企画されたトリビュート・アルバム『リ・ジェネレーションズ』がリリースされた。
ナット・キング・コールと言えば、アメリカのポップス界で初めて正当に評価された黒人シンガーだ。
現在でも多くの黒人ミュージシャンから多大なるリスペクトをされている。
日本でも「L-O-V-E」、「モナリザ」、「スターダスト」、「スマイル」などお馴染みのヒット曲が数々ある。
伸びやかで、ハートウォーミングな彼のボーカルを支持するファンは多い。
そしておそらく一番有名な曲は娘のナタリー・コールとのバーチャル・デュエットで大ヒットした「アンフォーゲッタブル」だろう。
残された彼の音源にナタリーの声をオーバーダブしたものだ。
他にもオーバーダブによる故人との共演はあったが、この曲はクオリティが非常に高く、とても素晴らしかった。
そういえば、CG合成によるモノクロのビデオクリップも秀逸だった。

そして本作『リ・ジェネレーションズ』は現代のヒップホップ、レゲエ、ブラジリアン、タンゴ等のアーティストがテクノロジーによってナット・キング・コールと共演を果たしたアルバムだ。
共演しているミュージシャンで自分が馴染みが深いのはブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムとナット・キング・コールの愛娘ナタリー・コールぐらい。
しかし聴いてみるとこれがなかなかクールでカッコいいトリビュート・アルバムに仕上がっていた。

1曲目の「ラッシュ・ライフ」はシー・ローによるプロデュース。
原曲はスローバラードだが、軽快なドラムと重厚なベースが重ねられているビートが効いたソリッドな曲になっている。
本アルバム収録曲で一番、原曲と違う雰囲気の曲となってるような気がする。
しかしオーバーダブしているとは思えないくらい重ねたビートにうまくナットのボーカルがマッチしている。
この曲にこのビートを合わせたシー・ローのセンスに脱帽だ。

ウィル・アイ・アムがプロデュースした「ストレイトゥン・アップ・アンド・フライ・アウト」は軽快なチューンで、原曲の雰囲気を大きく崩さず、ナタリー・コールのボーカルが重ねられている。
「アンフォーゲッタブル」とはまた違う雰囲気の親子競演となっている。

「ブラジリアン・ラヴ・ソング」はエグゼクティブ・プロデューサーの一人でもあるミケランジェロ・ラックアのプロデュースだが、ボサノバの創始者、ジョアン・ジルベルトの娘、ベベウ・ジルベルトのボーカルが重ねられている。
ナット・キング・コールのレトロで包み込むようなボーカルに、現代風なブラジリアン・リズムが刻まれている。

レゲエ・レジェンドのボブ・マーリーの息子、ダミアン&スティーブン・マーリーによる「カリプソ・ブルース」がまたシビれる!!。
彼らの作品は初めて聴いたけど、流石、ボブ・マーリーの息子だけあって、声や雰囲気がとっても似てる。
思わずニヤっとすること間違い無し!
ナット・キング・コールのおおらかなボーカルと強烈なレゲエのビートは以外にも相性がいい。
これもすごく気に入った曲の一つだ。

他にも「デイ・イン・デイ・アウト」、「ゲーム・オブ・ラブ」等もいい。
結局、アルバム収録曲はバラエティに富んでおり、どの曲も秀逸で気に入っている。

ナット・キング・コールの音源を素材とし、現代の最先端を行くアーティスト達により、リ・コンストラクトされた曲は新しくクールに生まれ変わっている。
雰囲気的にはセルジオ・メンデスの『timeless』に近い。
両者とも独自の領域で大成功している巨人だが、ヒップホップなど現代の音楽との融合で、全く新しい世界を創り出している。
片や現役、片や故人との違いはあるが、いずれも基となっている音楽が素晴らしい点は共通している。

とはいえ、ヒップホップやR&Bなどが好きでない方からすると「なんじゃ、こりゃぁ」となる可能性もある。
そういう方には生誕90周年を記念して同日に発売された『ベスト・オブ・ナット・キング・コール~L.O.V.E.』の方をオススメします。
こちらはリ・コンストラクトでもなく、オーバーダブでもない通常のベスト盤だ。

ヒップホップ、R&B好きなら、迷わず『RE:GENERATIONS』をどうぞ。
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