環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

国内排出権取引を考える

2007-10-28 08:09:08 | 地球温暖化
2007年10月27日 
 京都議定書削減目標計画達成に向けた対策が、環境省・経済産業省から公表されました。それによると、従来の対策を続けた場合、1990年比-6%を達成するためには、さらに2.1%の積み上げが必要とされ、産業界は自主行動計画をさらに1.6%追加削減することが決定されています。しかし、それでもまだ1.1%の不足が残るため、家庭を含めこの穴をどのようにして埋めていくか、さらなる議論と行動が必要となります。
 最新の対策では、①森林吸収3.8%、②産業界の追加削減1.6%、③排出権購入1.6%、④不足1.1%、とされており、『削減』以外の対策に頼らざるを得ない状況が浮き彫りとなっています。
これらの対策のなかでも、排出権購入については、国内では自主型参加排出量取引制度が3期間試みられ、それなりの成果を上げています。しかし、追加削減をした上に、排出枠を設定されることに対しては、産業界からも反対の声が上げっており、すんなりとはいきそうにありません。
 産業界の自主行動計画は、ほとんどが原単位(一定量を生産することに要するエネルギー)による目標設定となっているため、生産量が増えると排出量も比例して増える計算になります。つまり、業績好調な企業ほど負荷が重く、低調な企業にはある意味有利な設定であるといえます。しかし、自主行動計画である以上、法的な拘束力はなく、達成できなかった場合の責任の所在は明確ではありません。
排出権取引制度導入への産業界の反対には、『大規模な設備投資をして削減するよりも排出権を買うほうが安くなると、実質的な削減になりにくい』との主張があります。もっともな意見ではありますが、では、自主行動計画が未達成の場合はどうするのかといえば、結局は『買ってでも達成する』ということになり、両者に本質的な差異があるとは思えません。
 排出権取引は、世界的に広がっていく傾向にあります。市場のなかでCO2排出量の削減がなされることは、環境と経済の両立という視点からは歓迎すべきものかも知れません。しかし、市場であるがゆえ、流通すべき排出量が消化されてしまった場合(誰かが売ってくれるだろうと多くの企業が考え、需要過多となった場合)のことも考えておかなければなりません。金額だけのことであるならばプレミア枠をめぐり争奪戦が起こるだけのことです。しかし、結果として排出量が増えてしまった、ではすまされない問題であることも忘れてはならないと思います。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「10月15日から10月21日までに公布された主な環境法令一覧」を更新しました/2007.10.21
◆毎週更新中!「環境法令管理室」に「10月15日から10月21日までに発表された改正予定法令一覧」を更新しました/2007.10.21