環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第3次作業部会報告書の方向性

2007-04-25 06:46:06 | 地球温暖化
2007年4月25日  
 IPCCには3つの作業部会があり、第1次作業部会(Working Group I、又はWG I)は気候システム及び気候変動の関する科学的知見を、第2次作業部会(Working Group II、又はWG II)は気候変動に対する社会経済システムや生態系の脆弱性と気候変動の影響及び適応策を、そして、第3次作業部会(Working Group III、又はWG III)は温室効果ガスの排出抑制及び気候変動の緩和策をそれぞれ評価しています。
 現在、第4次評価報告書の作成が進められており、第1作業部会報告書は、第10回会合(平成19年1月29日~2月1日:パリ)において、政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、第1作業部会報告書本体が受諾され、2月2日、IPCCより公表されました。
 第2作業部会報告書は、第8回会合(平成19年4月2日~4月6日:ブリュッセル)において、政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、第2作業部会報告書本体が受諾され、4月6日、IPCCより公表されました。その検討の様子について、地球環境局長は、10日の衆議院環境委員会において、次のように発言しています。
 『具体的な数字や事例よりも定性的で抽象的な表現を求める国、影響回避のための削減対策を示唆する表現を拒む国、そういった国もございまして、大変議論が紛糾したというふうに聞いております。例えば、温室効果ガスの急増しております中国、ブラジル、あるいは化石燃料の大生産国でございますサウジアラビア、ロシア、そういった国とヨーロッパ諸国あるいは日本などのグループが対立をする場面があったというふうに聞いております。また、アメリカにつきましては、客観的で手がたい内容とすべく強力に議論が展開されまして、結果的には中国、サウジなどと同じ主張を行う場合も多かったというふうに聞いておるところでございます。 そういった中におきまして、議長団は、ある意味で妥協せず、科学者が納得しない修正は行わないということでさまざまな議論と説得を行いまして、結果的に全会一致で承諾がされたというふうに承知しております。』

 第1作業部会報告書は、科学的知見をもとに、温暖化は加速的に進行しており、このままではさらに進行するとの警鐘を鳴らし、第2作業部会報告書は、温暖化の影響が自然環境と人間環境にとって重大なものになる可能性が非常に高いことをデータに基づいた科学的な結論としています。そして、温室効果ガスの排出抑制及び気候変動の緩和策をまとめる第3次作業部会報告書は、30日からバンコクで開かれる会合において、政策決定者向け要約(SPM)の承認を経て、受諾・公表がなされる予定となっています。
 その案の概要について、25日の読売新聞は次のように報道しています。
□各国が平均で二酸化炭素(CO2)を1トン削減する費用に100ドルかければ、2030年には最大で、現在の世界の年間総排出量を上回る300億トンを削減できる
□1970~2004年に世界の温室効果ガスの排出量は70%増加。追加的な緩和策を講じなければ、排出量は2030年までに2000年比で25~90%増える。
□CO2 1トンを削減するための費用が、20ドル以下なら2030年には90億~180億トン、100ドルまでなら160億~300億トンを削減できると予測

【官報ウオッチング】
〔法律〕
温泉法の一部を改正する法律(法律第31号/の一部改正)
1 温泉の掘削等の許可への条件の付与等
 都道府県知事は、温泉の掘削等の許可に条件を付すことができることとし、当該条件に違反した者に対し、許可の取消し又は措置命令を行うことができることとした。
2 承継規定の新設
 温泉の掘削等の許可を受けた者である法人又は個人について、合併、相続等の場合における地位の承継ができることとした。
3 掲示項目の追加
 温泉施設内に掲示する事項として、入浴又は飲用上必要な情報として環境省令で定めるものを追加することとした。
4 定期的な温泉成分分析の義務付け
 温泉を公共の浴用又は飲用に供する者に対し、定期的な温泉成分分析及びその結果に基づく掲示内容の変更を義務付けることとした。
5 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとした。

【行政情報ウオッチング】
環境省
改正フロン回収・破壊法「事業者説明会」の開催について
自主参加型国内排出量取引制度(第3期)の目標保有参加者タイプAの公募について(「平成19年度温室効果ガスの自主削減目標設定に係る設備補助事業」の対象事業者の公募)
未承認の遺伝子組換えゼブラダニオ(熱帯魚)の販売等に対する指導について

厚生労働省
第5回 ボイラー等の自主検査制度の導入の可否に関する検討会議事録

【判例情報ウオッチング】
長野地裁は24日、本格操業前に産業廃棄物焼却炉の設置許可を取り消した県の処分を不服とし、伊那市の建設業者が長野県に対し、処分の取り消しを求めていた訴訟で、「県の処分に裁量権を逸脱した違法性はない」として業者側の請求を棄却しました。判決は、「基準を満たさない産廃処理施設にはダイオキシンなどの有毒物質発生による健康被害の恐れがあり、県には被害を未然に防ぐ責務がある」と指摘、さらに、「焼却炉は構造基準を満たしておらず改善は困難」としています。また、最高裁で確定した2003年3月の地裁飯田支部判決を踏まえ、「県が将来の操業を意図した軽微変更の届け出などを受理しなかったのも当然の措置」としました。

ISO14001
◆「環境法令管理室」に「4月16日から4月22日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.4.21
◆「環境法令管理室」に「4月16日から4月22日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.4.21