環境法令ウオッチング

2006年7月から2007年12月までの環境法令情報・行政情報・判例情報を掲載。

国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律

2007-04-19 08:24:54 | 地球温暖化
2007年4月19日 
 4月12日、参議院環境委員会において、議員立法である『国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律』が審議され、可決いたしました。同法案は、現在、衆議院環境委員会に付託されています。

1.提案理由
 京都議定書が発効したことを受けて、政府は、地球温暖化防止のための政府実行計画において、平成22年度から24年度までの平均で自らの温室効果ガスの排出量を平成13年度比で8%削減することを目標に掲げている。しかし、直近となる平成17年度の温室効果ガスの排出量は1.2%の削減にとどまっている。国全体の温室効果ガスの排出量の削減に向けて、政府は、自らが率先して目標を達成する必要がある。そこで、庁舎で使用する電気の購入や庁舎の改修事業等については、価格のみで判断するのではなく、温室効果ガス等による環境への負荷についても適切に評価した上で契約の相手方を決定することにより、環境に配慮した契約を推進していくことが必要であると考え、本法律案を提出した。

2.法案の概要
(1)国等の責務
 国等の責務として、その温室効果ガス等の排出の削減を図るため、エネルギーの合理的かつ適切な使用等に努めるとともに、経済性に留意しつつ価格以外の多様な要素をも考慮して、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に努めること。

(2)基本方針
 国は、国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針を定めなければならない。この基本方針には、電気の供給を受ける契約及び使用に伴い温室効果ガス等を排出する物品の購入に係る契約における温室効果ガス等の排出の削減に関する基本的事項、省エネルギー改修事業に係る契約に関する基本的事項などを定めるものとた。各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、基本方針に定めるところに従い、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(3)国が省エネルギー改修事業についてする債務負担
 国が省エネルギー改修事業について債務を負担する場合には、当該債務を負担する行為により支出すべき年限は、当該会計年度以降10か年度以内とすることと。

(4)地方公共団体等の役割
 地方公共団体等は、地域の自然的、社会的条件に応じて、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する方針を作成し、これに基づき必要な措置を講ずるよう努めること。

(5)国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する施策の策定及び実施
 国等は、国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する施策の策定及び実施に当たっては、公正な競争の確保に留意するとともに、国等の温室効果ガス等の排出の削減等に関係のある施策等との調和を確保すること。

(6)国及び独立行政法人等が締結する電気の供給を受ける契約
 国及び独立行政法人等が締結する電気の供給を受ける契約について、総合評価落札方式等に関する検討等を行うものとするとともに、当分の間、入札に必要な資格として温室効果ガス等の排出の程度を示す係数等を定めた上で、価格に基づき落札者を決定する方式によるものとすること。

3.審議内容(反対討論)
 本法案に対しては、市田忠義議員(日本共産党)から反対討論が出されました。
(1)原子力発電、核燃料サイクルの推進への危惧
 エネルギー基本計画は、原子力発電を将来にわたる基幹電源として位置付け、核燃料サイクルを含め着実に推進するとしている。原子力発電はその安全性に重大な懸念がある上に、事故隠しやデータ改ざんなど深刻な問題が明らかになっている。このことから、エネルギー基本計画に基づく施策との調和を図るとの規定は、このような原子力発電の推進を事実上認めることになり、到底受け入れることはできない。また、エネルギーの安定的な供給は、この間、石炭火力発電を増加させる免罪符、自然エネルギーの導入への牽制として使われてきた。この規定は、二酸化炭素排出量の最も多い石炭火力発電を増加させてきた方向を今後も認めることにつながるものである。

(2)原子力発電依存を転換し、自然エネルギーの開発利用へ
 エネルギー基本計画に基づく施策との調和、エネルギーの安定的な供給などの規定が、電力業界などの要望を受け入れて盛り込まれている。電力業界は、エネルギーの安定的な供給を理由に石炭火力発電量を増やし続け、2005年度には基準年の3.3倍にまで達している。そして、このような規定を、京都議定書の削減目標達成に最も責任を負っている環境省の関連法案の条文に明記したことは、国の政策の各分野にわたって原子力発電推進を柱としたエネルギー政策をより徹底させることにつながるものであり、容認できるものではない。行き詰まった原子力発電依存を転換し、自然エネルギーの開発利用を本格的に促進することを求めたい。

【官報ウオッチング】
新しい情報はありません。

【行政情報ウオッチング】
環境省
関東カワウ広域協議会によるカワウ一斉追い払いについて
水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値の設定について
環境技術実証モデル事業 閉鎖性海域における水環境改善技術分野における実証機関の実証対象技術の募集について

経済産業省
CDMプロジェクト政府承認審査結果について(申請者:日本カーボンファイナンス株式会社、丸紅株式会社、三菱UFJ証券株式会社)

国土交通省
「第4回日本風景街道戦略会議」の開催について「日本風景街道の実現に向けて 提言」を審議~美しい国土景観の形成を目指した国民的な運動を~

【判例情報ウオッチング】
新しい情報はありません。

ISO14001
◆「産業廃棄物処理委託契約」に関するコンテンツを追加しました/2007.4.15
◆「環境法令管理室」に「4月6日から4月15日までに公布された主な環境法令一覧」をアップしました/2007.4.15
◆「環境法令管理室」に「4月6日から4月15日までに発表された改正予定法令一覧」をアップしました/2007.4.15