9月月末に「縄文シティサミットin糸魚川」というイベントがあったという事を知らない市民が多いようだ。
当日の私は上越市で講演を頼まれていたので行けなかったが、参加した人からホールがガラガラの状態で、内容もお粗末だったと聞いている。
勿体ない・・・糸魚川市には市民にあまり知られていない縄文時代の貴重なお宝があるのだぞ。
その一つが、私が勝手に「相対道祖神施文深鉢」と呼んでいる土器である。
半分以上が欠損しているが、他に類例が見当たらない程に非常に珍しい土器なのである。
出土地は、能生町にある現在の県立海洋高校の敷地の「井の上遺跡」で、ここは中期(五千~四千年前)のヒスイ加工遺跡でもある。
他に類例がない非常に珍しい土器とされる由縁は、一つの土器に粘土紐を張り付けた隆帯紋で、二人の男女が施文されている事。
縄文時代の土器に施文された人物らしき文様は、通常は精霊っぽい女性像が多い。
それらは顔付きがモノノケ風でも、胸の膨らみや女性器を暗喩させる図像、または女性器そのものが描かれていたりするので、豊穣の地母神と推測されている。母胎たる土器から子供が生まれてくる瞬間の図像であったりとか・・・。
ところが、この土器には稚拙だけれども、男性器と女性器らしき特徴を持つ二人の人物像が描かれているのでR。
不思議というか、意味不明なのが、二人の人物が90度の角度で施文されている事。
この時代の信州の土器なら裏と表に施文するか、シンメトリックな図像にでもしそうなのに・・・。
土器の施文も朴訥で質素・・・というか子供が作ったのかと言う位に下手糞なので、珍しいとはいっても国宝にはならないのだろうねえ(笑)
人物を90度の位置にした意図も謎。
茶室における「撞木の座」のような深い意味が隠されているのか?
それとも三千年前に噴火した火山に「焼山」という安直なネーミングをする糸魚川人のご先祖だから、適当にデザインしちゃった?(笑)
しかし糸魚川市民なら是非ともご覧になって頂きたい。
長者ケ原遺跡考古館に展示されています。