「勾玉探偵の気づき」
左端の宇木汲田の丁子頭勾玉(20%スケールダウン)と、中央の真名井の勾玉(原寸大)を同時につくって大変な収穫があった。
右端はわたしの定番デザイン勾玉(縦27㎜)で、サイズ比較に並べると小さくみえるが、現代の勾玉にしたら大型の部類だ。
出雲大社の宝物と知られる流麗な真名井勾玉は、北部九州の定形勾玉の系譜と思いきや、頭部と尾部の大きさに大きな差がなく、同心円状の腹部のえぐりをもつ西部北陸の半玦勾玉をスマートにして面取りした系譜、と実感した。
対して、宇木汲田の勾玉は釣針状の腹部のえぐりを持つので断面の曲面率が変化し続けるし、胴部が間延びしてもいるので造形も研磨も大変で、回転工具のリューターでは凸凹して滑らかに仕上げられず、最後は大昔と同じく棒砥石で手研磨。
その点、真名井勾玉の系統は造形も研磨も難しいものではないが、その特徴の無さが僅かな差で美醜の分かれ目になる点では難しい立体造形だ。実物の紐孔は5㎜もあるので魚や蛇などの生き物の眼を思わせるが、訳あって4㎜にしてあるので、ちょっと印象は違う。
考古学の先生方にもファンが多い宇木汲田の勾玉は、つくるのに手間暇がかかり過ぎる。
だから勾玉が量産される古墳時代以降は、シンプルな半玦勾玉の系譜に吸収されていったのではないだろうか?
ちなみに私の定番モデルは北部九州の定形勾玉を手本にした、頭部が腹部に若干入り込んだ形状なので、やはり手間暇がかかる。
ほほ笑んでいるようで、つくるのが楽しいんですよねぇ。