小論文「滑石製レッドキング勾玉の成因についての考察」
「大首飾り」に含まれる滑石製勾玉24点のうち、頭頂部が「どくろ怪獣レッドキング」の頭骨形状に酷似した数点がみられることに若干の考察を試みたい。
頭部が三角状にテーパーとなった滑石製レッドキング勾玉。「大首飾り」実測図より
他に「キューピーちゃん」「ビリケン」などに類似がみられるが、いずれにせよ古墳時代にこれらの出土がみられないことから、往古の職人のサブカル好みやウケ狙いである蓋然性は低く、なんらかの製作過程による成因があると考えてよい。
どくろ怪獣レッドキング
レッドキング勾玉を観察すると、紐孔を片側穿孔をした際に生じる「せん断応力」により、穿孔開始の裏側の勾玉表面に著しい欠損が看てとれる。同様な欠損は「堅い」ヒスイ勾玉では看られず、「硬いが脆い」石英系の勾玉にも散見されるが、特に脆弱な素材である滑石製勾玉に著しい。
キューピーちゃん
職人の立場から推察すると、紐孔の貫通直前に裏側になった部分が大きく欠損した勾玉に「あら~っ!」と悲嘆した職人が、転んでもただでは起きぬと欠損部を目立たなく削り直した結果、頭部が三角状テ-パーになった「レッドキング勾玉」となったと考えられる。
ビリケンさん
前述の通り同様な欠損は石英系の勾玉製作過程にもあったが、滑石ほど顕著ではなく、また硬いので修正加工が容易ではないので、多少の修正も含めた仕上げ研磨をして「勾玉てぇものはこんなもんですよ」と許容範囲とした(笑)
そこでレッドキング勾玉を納品された権力者が「なんかこれ尖がってね?」と疑問を呈したが、職人が「大将、これが新しいのっ!ねっ!首にかけてごらんなさい・・・うわぁお似合いですなぁ、どうするどうする!この後家殺しっ!音羽屋ぁ~っ!」と必死に褒めたたえて納品に至ったといった光景は、想像に難くないのである。以上