線刻して縄文風に仕上げた石笛を作り続けて何年にもなる。
それなりに人気があってオーダーも受けていたが、手間暇をかけて作った売り物だから、どうしても冒険ができず安全なデザインに収まって不満が残っていた。
シンメトリックであったりして整い過ぎていたのである。
もっと野太く大胆に・・・そうは思っていたが実際には難しい。
野太く大胆に!が形になってくれた線刻石笛は流紋岩製。
ところが工房増築工事が終わって最初に作った石笛が、なんの迷いもなくいとも簡単にアンシンメトリックで野太い線刻ができた。
恐るべし場のチカラ!
アンシンメトリックで安定したデザインは難しい・・・整体の「整える」とはシンメトリックな身体という意味ではなく、アンシンメトリックの中でも絶妙なバランスとでもいう意味があり、こんな時は整体を勉強していて良かったと思う。
SNSで発表したら、友達の縄文女子Hちゃんから「私も縄文土器を作る時に、もっと野太く大胆に!という声が聴こえてきます。」という投稿があって、なるほどと納得。
要するに現代人は上手くあろうとして萎縮してしまうのだ。
そこが縄文人とは違うのだねえ・・・奔放で融通無碍な縄文の匂いが難しい。
今回の線刻石笛が形になってくれて、少しだけ縄文人に近づけた気がする。