デイリー句会入賞発表

選者 高橋正子
水煙発行所

●6月24日(日)~6月30日(土)

2007-07-01 21:01:08 | Weblog
■橘句会(俳句教室)入賞作品
□高橋正子選
□6月24日(日)~6月30日(土)

【金賞】
★峰雲や岬の先に岬また/石田高志
峰雲が湧き、青い岬のまた向こうにも岬があるという大景に夏らしい涼しさを感じます。(高橋正子)

【銀賞】
★丈高きアガパンサスの潔し/いなゆきの
アガパンサスの花は、すっきりとしていていいですね。(高橋正子)

【銅賞】
★滝の音間じかに握り頬ばりぬ/宮本和美
滝の音を間近に聞きながら頬張るおにぎりの美味しさ。山道を歩いて、やっと滝まで辿り着いた心地よい疲れと爽快感が伝わってきました。(臼井虹玉)

【優秀7句】
★ほととぎす谺の向こう道は無し/滑川けい子
「道は無し」と言い切ったところが「ほととぎす」らしさを捉えて充分だ。「谺の向こう」が効いた。ほととぎすは、昼夜の別なく「テッペンカケタカ」と鳴くと言われるが、私にとって懐かしい鳥だ。松山の郊外に住んでいた頃は、朝方に鳴く声をよく聞いた。幼い二人の子供たちがいた。その家は、辺りの山林が鳥獣保護区なので、雉の鳴く声も珍しいものではなかった。青葉木菟も懐かしい。(高橋信之)

★夕焼けるザリガニを手に家路の子/いなゆきの
楽しい句だ。喜びがある。いい情景を読み手に伝えてくれた。「家路の子」も、作者も、読者も、誰もに喜びのある句だ。「夕焼ける」という季語が生きいきとしている。(高橋信之)

★水滴の光る紫陽花母逝けり/おくだみのる
紫陽花にお母様のイメージが重なります。さまざまな出来事、思い出、それらもすべて今目の前に咲いている紫陽花の上に重なるのです。(多田有花)

★つぎつぎと異なる香り南風の森/しまづやすひろ
森を歩いていると、いろいろな香りが漂ってきます。人工的な香りではなく、微妙なものですが、それが心地よく、自然の中を歩く楽しみのひとつですね。(多田有花)

★新しき風に出会いし更衣/大山由紀
夏服へと衣更えをしたばかりの時に敏感に感じる風の温度や心地よさを、「新しき風」と詠まれたところに、作者の発見や実感が込められていると思いました。(臼井虹玉)

★夏雲や大往生の叔母送る/黒沼風鈴子
なくなられた方にさまざまな思い出があると推察しますが「大往生の」とだけいってすべてを読者にゆだねることで、かえって深い関係を想像させます。「夏雲や」と言う語、今の時期の夏雲の豊かな趣が作者の深い思いの象徴なのだと思いました。 (藤田荘二)

★夏椿咲き里山の道しるべ/中山重孝
沙羅の白い花、この時期では目立つ色ですね。それを「道しるべ 」とされるというのは、とても素敵な感性ですね。深い緑の中の白という取り合わせへの着目に感心しました。あらためて夏椿の魅力を自分なりに探したいと思いました。(藤田荘二)