令和4年10月24日(月) ☔
区の図書館からお借りていました、
原田康子『海霧』上下巻完読
長編小説です。
一作読んだのですが、どこかひかれるものがあり
もう一作手にしたくなったのでした。
作者のことばとして
『海霧』は、生家をモデルにした一族の物語である。物語である以上、すべて事実であるわけはなく、虚と実がないまぜになった小説ということになろう。すべてが虚であり、全てが実であると作者は言いたいけれど、実の部分について触れるなら生家は女系であった。父親と馬首を並べて根室まで買い付けに行き、ときには沖積みまで指示して、二十六歳の若さで世を去った祖母・・・。彼女は少女時代のヒロインであった。この物語のパン種は、明治の昔に早世した友人にあるのかもしれない
とある。
明治 大正 昭和にわたっての、釧路を舞台にした一代で財を成した男と、
女目線から女三代を綴る長編物語
作者のことばから、実の部分を当てはめてみるとすれば
祖母は、
明治四十年二月半ば 二月生まれでまがなかった。
ちょうど26年間の生涯であった、『リツ』なのか。
文中から、
青雲の死を知ったのはリツの葬儀の翌朝である。
.
青雲は横倒れになって四肢は硬直していた。
いつ死んでもおかしくない老馬とはいえ・・
・
リツが最後に口にした二音は「あお」だったのである。
案外、リツは生と死のあわいに娘時代に返って、
愛馬の名を呼んだのかもしれない。青雲の遺骸は庭ひとすみに埋めた。
長編小説の中で 気になる何行かだったのであるが、
だとして物語での作者は???