●まずは、アジア代表で決勝に進出しキューバを破った韓国におめでとうと言いたい。キューバの機動力あふれる強力打線と真っ向からぶつかり、しかも9回は1アウト満塁をゲッツーで切り抜け勝利。見事というしかない。
●昨日、日本の試合以外のキューバVS韓国を見て、今回の日本チームがいかに元気がなかったかよくわかる。どちらのチームも国の威信をかけて戦っている気持が全面に出ていた。
●星野ジャパンは、3位決定戦も準決勝と同じ過ちを犯した。5試合目の登板となる川上を3イニング目まで引っ張り決定的とも言える痛打を浴びる。途中、ラジオで聞いていたけど、解説の与田がフォームの崩れと投げ急ぎが出ていると再三心配していたことが現実に。今の日本の打線からすると、だめ押しともいえる4点ビハンドを喫してしまった。しかも、先発メンバーにはGG佐藤と村田の名前が・・・。おそらく多くの人が「なぜなんだ」と思っているのでは。そして、最後は、エースに指名したはずのダルがなんと敗戦処理!
●星野流の「監督の起用に意気に感じて選手が発憤する」という構図は長いシーズンの中でこそ生きるもの。今回のような短期決戦ではなかなか難しいと思う。選手はみんな一所懸命やっているのだろうが、調子の上がらない選手からすると、使われること自体で苦しんだ面もあったと思うし回りの選手もそんな監督の起用に戸惑ったのではないかと思う。おそらく不協和音がチーム内にあったのではないか。朝日新聞でもかなりの酷評が書かれているが、今大会の結果は、選手のコンディショニングを見極めずに「気持」だけで選出し、使いつづけた首脳陣の責任に帰することになると思う。
●日本球界も今回の結果を見ていくつか改革しなければならない面があったと思う。特に、今大会のストライクゾーンは審判によって一定せず、しかも思った程、アウトコースは取っていなかったしインコースはからい。低めは膝よりちょっと上からベルトのちょっと上とかなり狭いストライクゾーン。日本では試合進行を早めるため、上下はかなり広く、インコースは甘い。投手はこのストライクゾーンの狭さに苦しんだのでは。打者を警戒してファーボールからの失点が多かった。日本でもストライクゾーンやカウントの仕方を国際標準にして、ストライクゾーン以外で試合進行を早める仕掛けをやる必要がある。まぁ、選手はみんなプロなのに、審判がアマチュアというこの構造自体に問題がありそうだけど。
●今回、タイブレーク制が導入されたことについても、日本の反応は否定的だった。元々、少年野球や軟式の中学野球では導入されているけどね。しかし、オリンピック種目として、復活することを目指す上では、試合時間の短縮は必然。バレーボールもバドミントンもラリーポイント制にしたし、もともとラリーポイントの卓球は21点制から11制に変えた。試合時間を短縮してTV放送を意識した国際ルールを考えない限り、復活はないと思う。ただし、大リーグはルールを変えないから日本のプロ野球もルールは変えない。となると、国際ルールと大リーグルールのダブルスタンダードになるので、日本がオリンピックで勝つためには、選手がこのダブルスタンダードに慣れる時間が必要。例えば、オリンピック前の1ヶ月くらいは代表選手による合宿を行うとか、毎年、シーズン中でもチームを抜けて国際大会に参加することぐらいのことをしないと金メダルは取れそうもないね。
●今大会を振り返ってみると、ケガ人が多く戦術の選択肢が狭く淡泊な攻撃に終始したこと、キューバ戦に負けた場合の戦略が明確ではなかったこと、チーム全体が国際試合に最後まで適応できずに終わったことなどで予選リーグを突破するのが精一杯になってしまった。韓国やキューバの気迫を見ると、ここ一番で力を出せず負けるべきして負けた感が強い。アテネ大会の反省から1チーム二人の枠を取り払ったが直前で怪我人続出でメンバー変更せず臨んだことが裏目に出てしまった。次回はおそらく東京大会で復活することになるので、短期決戦という国際大会に慣れたプロの監督を複数育成することも重要になってくるね。