BUCK-TICKの17枚目のアルバム。結成24年?43歳にして最高傑作が・・・!という驚きの作品です。「memento mori」とはラテン語で「自分がいつか死ぬということを忘れるな」という意味だそう。全15曲67分の特大ボリュームで「人生は愛と死」と高らかに歌われます。
「泣ける」とか「感動」とか安易な言葉で褒めるのは嫌なんだけど、このアルバムは本当に泣けます。私にとってBUCK-TICKはどうやら心の弱った時に聴きたくなる音楽のようで、普段はあんまり興味ないのだけど年に何度かすごく聴きたくなります。聴くと毎回泣けるのだけど決してメランコリィな感じではなく、心が浄化される感じ。これまでも泣かされてきたのだけど、今回のが一番泣けました・・・。
今回は今井さん作曲が12曲、内作詞作曲が6曲。この方は天才だな、と感服です。よくこれほどバラエティに富んだ楽曲を書き続けられるよねえ。私がこのアルバムを買った日は押〇学が合成薬物で逮捕された日で、「過去に薬物で逮捕された芸能人一覧」ってことで今井さんの事件も蒸し返されたりしてました。悪いことやったのは事実なんだからこういうことが起こる度に名前挙げられるのはしょうがないよね、と私はわりと冷たく思っちゃうのだけど、あれから20年。十分すぎるほど音楽で社会貢献してきたと思います。あの時BUCK-TICK解散or脱退になったり、今井さんが音楽業界を上がったりしなくて本当に良かった・・・。
櫻井さん色の強い、歌い上げる系は今回少ないのだけど、シングル2曲と「coyote」と「message」がそういう感じ。「coyote」は私の大好きな異国情緒+悲壮感の名曲です。歌い方も歌詞もメロディも何もかも好き!「message」は「RENDEZVOUS」に続く、パパから娘へのラブソング。こういう私生活の透けて見える歌を嫌がる人もいるみたいだけど、私は微笑ましいな、幸せそうで良かったねって感じです。私自身、父に溺愛されて育ったし、女の孫は私一人だったから祖父にも(おそらくは女の子が欲しかったのであろう)叔父たちにも従兄弟たちにも可愛がってもらってきたので、男の人が娘を可愛くてしょうがないって気持ちはよく分かります。逆に女の人は息子が恋人!夫も娘もそっちのけ!になりがちですよね(トホホ)。
櫻井さんの歌詞は個人的な出来事(お母様の死であったり、愛娘の誕生であったり)を歌いつつも、それを普遍的なものに昇華させているところがすごいと思います。選ぶテーマや使う言葉が毎回似通っているのを、マンネリとかネタ切れと感じる人もいるんでしょうけど、それだけ思い入れの深いテーマであったり言葉であったりするんだろうな、と私は好意的に受け止めます。同じ母恋しの歌だって、「さくら」や「ジュピター」から「鼓動」「long distance call」では表現の仕方も歌われる感情も進化しているもの。20年近く繰り返し同じテーマで詩を書くのは、本当に心からそう思ってる証拠なんでしょうし、徹底的に自己否定した「dtd」「S/N」の頃も含め、言葉に嘘がないな、と思います。
全体としてはこれまでのBUCK-TICKの集大成的な作品で、「一度生まれて、一度死ぬ」とか、愛と死、死を前提とした生、がテーマなんだと思います。「自分がいつか死ぬということを忘れるな」そして「人生に愛と死はつきものなんだから、愛することも死ぬことも恐れるな」ってことなんでしょうね。
他のバンドがいきなりこういうことを歌ったら「なんか説教くさいなあ」と思うかもしれないけど、BUCK-TICK、特に櫻井さんが「狂った太陽」以来18年?ずっとこのことを考え続けてきたのは分かってるから、ついにこの境地に達したか・・・と感慨深いです。後追いの私ですらこれだけ感動するんだから、この18年BUCK-TICKをリアルタイムで見守ってきたファンの方々は感無量でしょうね。そして40代だからこその説得力は絶対あると思います。これと同じことを20代のバンドマンが歌ってもここまでの説得力や深みは生まれないでしょう。
ただこのアルバムだけを聴いてもこの感動が伝わるかな?アルバム全部揃えるのは無理でも「狂った太陽」だけはあらかじめ予習しておいた方がいいかも・・・。歌詞がこれまでの集大成的というか、キャンディーズの「微笑みがえし」っぽいんです(←たとえが古くてスミマセン・・・でも他に思い浮かばない・・・)。
「この素晴らしき生まれゆく世界で 桜咲く風に吹かれて
この素晴らしき翳りゆく世界で 胸に咲いた赤いカーネィション」
というのがラストを飾る「HEAVEN」のサビなのだけど、これだけ読んでも「???」ですよね、きっと。これを理解するには「さくら」と「ジュピター」の母恋しの名曲と愛娘へのラブソング「message」と「RENDEZVOUS」を知ってなきゃ。「胸に挿した白いカーネィション」「胸に咲いた赤いカーネィション」とカーネィションは赤と白の2色出てくるのですが、「カーネーション 赤 白」で検索して、なるほど~と思いました。
カーネーションはご存知の通り「母の日」の花なんだけど、花言葉は赤が「母への感謝・愛情」で白が「母の思い出」なんだそう。昔は母の日にお母さんが生きている人は赤の、もう亡くなった人は白のカーネーションを胸に挿して教会に行ったのだとか。櫻井さんは1990年にお母様を亡くされているから「胸に挿」すのは「白いカーネィション」、今も大切に思っているから「胸に咲」くのは「赤いカーネィション」なんでしょうね。上手い!「桜咲く風に吹かれて」も単なる春風ってだけじゃなく「さくら」という曲もあるし(このエピソードがまた泣けるんですよ~)。合わせて聴くといっそう感動的です。
年月が流れて、子どもが生まれて、自分は歳を取って、でもお母様への愛は変わらないっていう歌なんじゃないかと思います。日本一の孝行息子だよねえ。こんな息子が欲しい!とワケワカンナイ事思ってしまいました。私がBUCK-TICKを好きになったのはハタチ過ぎてからで、それ以前は私よりずっと年上の男の人がお母様への愛を切々と歌うのを、どう受け止めたらいいのか分からなかった。それがある時「自分が櫻井さんのお母様になった気持ちで聴けばよい」と気づいて・・・ハマりました。
男女の恋愛とか息子としてだけじゃなく、父としての愛も唄うようになって深みがでたな、と思います。生まれて、愛されて、愛して、生んで、死なれて、やがては死ぬ、という極めて普遍的なことを歌ってる。自然の摂理というか、時代や国境を超え、人が生きるというのはそういうことなのかな、と納得させられました。このアルバムは日本のロック史に残る名盤になるでしょうね。「dtd」「S/N」「SSL」の暗黒時代を乗り越え「よくぞ頑張って生きてきてくれました!幸せになれてよかったね」と思いました。
「泣ける」とか「感動」とか安易な言葉で褒めるのは嫌なんだけど、このアルバムは本当に泣けます。私にとってBUCK-TICKはどうやら心の弱った時に聴きたくなる音楽のようで、普段はあんまり興味ないのだけど年に何度かすごく聴きたくなります。聴くと毎回泣けるのだけど決してメランコリィな感じではなく、心が浄化される感じ。これまでも泣かされてきたのだけど、今回のが一番泣けました・・・。
今回は今井さん作曲が12曲、内作詞作曲が6曲。この方は天才だな、と感服です。よくこれほどバラエティに富んだ楽曲を書き続けられるよねえ。私がこのアルバムを買った日は押〇学が合成薬物で逮捕された日で、「過去に薬物で逮捕された芸能人一覧」ってことで今井さんの事件も蒸し返されたりしてました。悪いことやったのは事実なんだからこういうことが起こる度に名前挙げられるのはしょうがないよね、と私はわりと冷たく思っちゃうのだけど、あれから20年。十分すぎるほど音楽で社会貢献してきたと思います。あの時BUCK-TICK解散or脱退になったり、今井さんが音楽業界を上がったりしなくて本当に良かった・・・。
櫻井さん色の強い、歌い上げる系は今回少ないのだけど、シングル2曲と「coyote」と「message」がそういう感じ。「coyote」は私の大好きな異国情緒+悲壮感の名曲です。歌い方も歌詞もメロディも何もかも好き!「message」は「RENDEZVOUS」に続く、パパから娘へのラブソング。こういう私生活の透けて見える歌を嫌がる人もいるみたいだけど、私は微笑ましいな、幸せそうで良かったねって感じです。私自身、父に溺愛されて育ったし、女の孫は私一人だったから祖父にも(おそらくは女の子が欲しかったのであろう)叔父たちにも従兄弟たちにも可愛がってもらってきたので、男の人が娘を可愛くてしょうがないって気持ちはよく分かります。逆に女の人は息子が恋人!夫も娘もそっちのけ!になりがちですよね(トホホ)。
櫻井さんの歌詞は個人的な出来事(お母様の死であったり、愛娘の誕生であったり)を歌いつつも、それを普遍的なものに昇華させているところがすごいと思います。選ぶテーマや使う言葉が毎回似通っているのを、マンネリとかネタ切れと感じる人もいるんでしょうけど、それだけ思い入れの深いテーマであったり言葉であったりするんだろうな、と私は好意的に受け止めます。同じ母恋しの歌だって、「さくら」や「ジュピター」から「鼓動」「long distance call」では表現の仕方も歌われる感情も進化しているもの。20年近く繰り返し同じテーマで詩を書くのは、本当に心からそう思ってる証拠なんでしょうし、徹底的に自己否定した「dtd」「S/N」の頃も含め、言葉に嘘がないな、と思います。
全体としてはこれまでのBUCK-TICKの集大成的な作品で、「一度生まれて、一度死ぬ」とか、愛と死、死を前提とした生、がテーマなんだと思います。「自分がいつか死ぬということを忘れるな」そして「人生に愛と死はつきものなんだから、愛することも死ぬことも恐れるな」ってことなんでしょうね。
他のバンドがいきなりこういうことを歌ったら「なんか説教くさいなあ」と思うかもしれないけど、BUCK-TICK、特に櫻井さんが「狂った太陽」以来18年?ずっとこのことを考え続けてきたのは分かってるから、ついにこの境地に達したか・・・と感慨深いです。後追いの私ですらこれだけ感動するんだから、この18年BUCK-TICKをリアルタイムで見守ってきたファンの方々は感無量でしょうね。そして40代だからこその説得力は絶対あると思います。これと同じことを20代のバンドマンが歌ってもここまでの説得力や深みは生まれないでしょう。
ただこのアルバムだけを聴いてもこの感動が伝わるかな?アルバム全部揃えるのは無理でも「狂った太陽」だけはあらかじめ予習しておいた方がいいかも・・・。歌詞がこれまでの集大成的というか、キャンディーズの「微笑みがえし」っぽいんです(←たとえが古くてスミマセン・・・でも他に思い浮かばない・・・)。
「この素晴らしき生まれゆく世界で 桜咲く風に吹かれて
この素晴らしき翳りゆく世界で 胸に咲いた赤いカーネィション」
というのがラストを飾る「HEAVEN」のサビなのだけど、これだけ読んでも「???」ですよね、きっと。これを理解するには「さくら」と「ジュピター」の母恋しの名曲と愛娘へのラブソング「message」と「RENDEZVOUS」を知ってなきゃ。「胸に挿した白いカーネィション」「胸に咲いた赤いカーネィション」とカーネィションは赤と白の2色出てくるのですが、「カーネーション 赤 白」で検索して、なるほど~と思いました。
カーネーションはご存知の通り「母の日」の花なんだけど、花言葉は赤が「母への感謝・愛情」で白が「母の思い出」なんだそう。昔は母の日にお母さんが生きている人は赤の、もう亡くなった人は白のカーネーションを胸に挿して教会に行ったのだとか。櫻井さんは1990年にお母様を亡くされているから「胸に挿」すのは「白いカーネィション」、今も大切に思っているから「胸に咲」くのは「赤いカーネィション」なんでしょうね。上手い!「桜咲く風に吹かれて」も単なる春風ってだけじゃなく「さくら」という曲もあるし(このエピソードがまた泣けるんですよ~)。合わせて聴くといっそう感動的です。
年月が流れて、子どもが生まれて、自分は歳を取って、でもお母様への愛は変わらないっていう歌なんじゃないかと思います。日本一の孝行息子だよねえ。こんな息子が欲しい!とワケワカンナイ事思ってしまいました。私がBUCK-TICKを好きになったのはハタチ過ぎてからで、それ以前は私よりずっと年上の男の人がお母様への愛を切々と歌うのを、どう受け止めたらいいのか分からなかった。それがある時「自分が櫻井さんのお母様になった気持ちで聴けばよい」と気づいて・・・ハマりました。
男女の恋愛とか息子としてだけじゃなく、父としての愛も唄うようになって深みがでたな、と思います。生まれて、愛されて、愛して、生んで、死なれて、やがては死ぬ、という極めて普遍的なことを歌ってる。自然の摂理というか、時代や国境を超え、人が生きるというのはそういうことなのかな、と納得させられました。このアルバムは日本のロック史に残る名盤になるでしょうね。「dtd」「S/N」「SSL」の暗黒時代を乗り越え「よくぞ頑張って生きてきてくれました!幸せになれてよかったね」と思いました。
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