初めての外部研修

2010-02-14 | Care Work



 5日と10日は、私にとって初めての「外部」研修でした。今の仕事に就いて6年ほどが経過していますが、この間、日々の業務に追われ、外部研修が行われていてもなかなか参加することができませんでした。これは私だけでなく、職場の介護職員全員に共通する事情です。
 日々、介護の現場で過ごしていれば、入所者から、同僚から、上司から、介護のスキルというものを学べますが、どうしても限られた情報の中で学んでいくことになります。やはり外部からの知識は刺激になります。

 研修は、東京都社会福祉協議会の主催で、その本部のある東京・飯田橋のビルの会議室で行われました。
 参加者は23名、あえて職種を越えた人たちの集まりの中で議論をすることとしていたため、参加者の職場は私のような施設職員は少数派で、大半が行政関係か在宅介護支援業務に就いている方々でした。
 普段、違う職種・職場の方々と接する機会が私には無かったため、その点だけでも良い体験になりました。

 今回の研修は、職種が多岐にわたるメンバーが集まり、「ワークショップ」形式での研修となりました。 「ワークショップ」は、ある課題を解決するための改善計画を立てたり、進めていく共同作業のことを指します。
 同じ職種の集まりからでは、発想が偏りが起こってしまったかもしれませんが、今回のように職種が違えばかなり作業に広がりが持てます。

 研修課題は、ご主人に先立たれた78歳の独居女性が、3年前に申し込んでいた特別養護老人ホームから入所決定を得たものの、本当に施設に入所することが是か非か、という仮想の事例を題材にしました。
 数年間、地域介護の支援を受け、軽い認知症はあるものの、それなりに自立生活は可能な状態ですが、悪いことに現住居の都営住宅が建て替えのために3ヶ月後には立ち退かなければならない、そして特別養護老人ホームへの入居の意思表示は一週間以内に行わなければならない、またご家族は亡くなったご主人の姉のお子さん(義理の姪)のみでしかも遠隔地に居住、というかなり切迫した場面が想定されていました。
 登場人物には主人公の女性の他に、かかりつけの医師、地域介護側からは地域包括支援センター、訪問介護事業所やデイサービスセンター、そして入所予定の特別養護老人ホーム等々と、主人公の女性を取り巻く人・機関も様々に設定されています。
 
 もし自分が主人公だったら、もし自分が地域包括支援センターの者だったら、或いはもし自分が義理の姪だったら、いくつかの立場を想定して結論を導き出そうとするのですが、参加者各々の意見は分かれました。今回のような課題には、100%正しい答えは出しにくい、又は出せないものでしょう。
 研修も一つの答えを導き出すものではなく、答えを出す過程において議論を深めていくことを目的としていました。その意味では行政・施設・在宅と職種が多岐に亘るメンバーでの議論は、この目的に沿って行えたと思います。

 特養勤務の私にとっては、異職種の方々の発想や意見がとても新鮮でした。被介護者の自立を最優先しようとする面は、施設勤務者の私よりもずっと高い意識を持たれているように感じましたが、施設に入所すると被介護者の自立が阻害される心配を感じられているようにも思えました。
 その心配は間違いではなく、自分でも感じていることで、日々の業務の中でも入所者の自立は、意識して、少しでも損なわれないような介護にしてみたいと思います。
 
 トップの画像は先日の晴れた日の愛犬との散歩の際のもの、文中の画像は、会場となった飯田橋周辺と数日前の職場付近です。


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2 Comments

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Unknown (TKG同好会)
2010-02-14 15:11:25
ウウム・・・難しい課題ですね。
そもそも、自立とは何ぞや?
自立といっても、色々な意味の自立があると思います。
今回の事例で個人的な感想を言ってしまえば、
ワタシだったら、自立よりも安全を選ぶかな・・・
特養という安全の中における、ある程度の自立を目指す。

最近、ワタシも在宅の分野に少々首を突っ込んでおりまして、
医療とまったく別の倫理観・使命感をもった職種の人々と接し、
正直言って、独特の世界だな・・・と戸惑いを感じております。
一口に医療といっても、様々な分野があるように、
介護といっても、これまた色々な分野・職種の集合体であり、
このようなワークショップ形式で議論することは、
お互いの違いと役割分担(連携の方法)を考える上でも
大変有意義なものであったと思われます。
しかし、全く奥が深いですよね。
勉強すること、多々ありです。

ところで、non_Bさんは、外部研修を受けて、アタマの整理に役立ったのでしょうか?
それとも、益々混迷を深めたのでしょうか?
返信する
TKG同好会さまへ (non_B)
2010-02-14 18:28:01
まだMBGまでは進行していないのでしょうか?
偶には拙宅でお食事サービスを供したいとも思いますが...

お書きになられたとおり、「自立」といってもいろいろな意味がありますね。
今回の事例をもう少し書き足すと、
主人公は、身体能力にはほとんど問題なく、日常動作は全て自力で可能な状態、ただ認知症があるため記憶力に衰えが見られ、出先から戻ってこられなくなったことや、ヤカンを火にかけていたことを失念してしまったこともある、要介護度は「3」という設定です。
書き足してみたら、余計に判断に迷う事情ですね。

研修中、TKG同好会さまと同じ理由で、私も施設入所賛成派でした。
ただ、100%ではなく半分近くの割合で在宅維持論も頭の中にはありました。在宅での方が社会的なつながりを保て、身体機能の衰えも軽減できるかもしれないという考えからです。

「独特の世界」という表現は、私もこの仕事に就いた頃に感じました
ビジネスの世界では当たり前の判断が、介護の現場では正反対、なんていうこともありました。
介護の分野は、在宅と施設という利用者の居場所の違い、現場のケアとネットワーク上での作業の違い等、携わる人間の分野・職種は多岐ですが、今回のような立場を超えた人たちの集まりというのは、本当に良い機会だったと思います。

アタマの整理はなかなかつきませんが、ポットで保温中という感じでしょうか...職場でも活用できる議論内容でしたから、フィードバックできるよう務めます
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