ヘロン号がミサイルを発射。そのミサイルが怪獣から見て、左斜め上から飛んできます。怪獣が軽く火焔を吐くと、ミサイルは四散しました。怪獣は心の中で叫びました。
「ふふ、1対1じゃ、真後ろを取られなければ絶対勝負になる!」
ヘロン号のコックピットの橋本隊員。
「ちっ、こっちの動きは完全に読まれてるなぁ・・・ じゃ、これはどうだ?」
ヘロン号が怪獣に向かって急降下して行きます。怪獣はそれを見上げました。
「今度はなにをする気?」
橋本隊員が叫びました。
「ガトリング砲発射!」
ヘロン号がガトリング砲発射。それに対し、怪獣も火焔を吐きました。
「甘いんだよ!」
すると、なんと火焔がガトリング砲の20mm銃弾を消し去ってしまいました。ヘロン号が旋回。コックピットの橋本隊員が横目で怪獣を追いながら
「くそーっ! ガトリング砲も効かないのかよ!」
そのヘロン号を怪獣が眼で追ってます。
「よーく狙って撃てば、絶対当たるはず!」
怪獣がまたもや火焔を吐きました。それをきりもみ回転で逃げるヘロン号。その瞬間橋本隊員が得意顔を見せました。
「おっとーっ!」
「そこだ!」
怪獣は火焔を吐いたまま、首を少し振りました。ヘロン号の目の前に火焔が。
「うわっ!」
ヘロン号が空中で大爆発。その直後、2つの落下傘が降りてきました。橋本隊員と倉見隊員です。橋本隊員は悔しがってます。
「くそ・・・」
怪獣は振り向き、ストーク号を見ました。それに気づいて、寒川隊員と上溝隊員は焦りました。
「ええ~!」
怪獣はニヤっとしました。
「次はお前だ」
寒川隊員は叫びました。と言っても、かなりうわずった叫びです。
「に、認識ステルス機能発動!」
するとストーク号は消滅しました。
「ふっ、またへんちくりんな魔法を使いやがって! これでどーだ!」
怪獣は火焔を吐きながら、360度回転。途中火焔が何かにヒットし、爆発。そこからストーク号が現れ、火を噴きながら墜落していきます。コックピットでは寒川隊員も上溝隊員も気を失ってます。その光景を橋本隊員が見ています。その橋本隊員は針葉樹のかなり高いところに落下傘が引っかかってしまい、ぶら下がっている状態になってました。
「や、やばい・・・」
が、ここで1つの大きな人影が現れました。その人影が燃え盛るストーク号を両手でキャッチ。その人影は巨大化した女神隊員でした。橋本隊員は喜びました。
「よし!」
女神隊員はそのまま湖まで走り、ストーク号を湖面につけ、ストーク号を消火。女神隊員がここでつぶやきました。
「ふーっ、間に合った・・・」
女神隊員がストーク号を湖畔に置くと、横からの視線を感じました。女神隊員が振り向くと、怪獣が自分をにらんでました。
「ふふ、ついに来たか。
私はお前を殺す。神に殺された仲間の恨みを晴らしてやる!」
女神隊員も怪獣をにらみます。
「あいつには光線技は一切効かない。となると、残る手は・・・」
怪獣が軽く火焔を吐きました。女神隊員はそれを軽く交わしました。怪獣は再び火焔を吐き、女神隊員は再び交わしました。怪獣は思いました。
「ふふ、ここじゃ、ブレスは有効打にはならないか・・・ ま、自分で選んだ場所だ。できる範囲でお前を倒してやる!」
怪獣は翼をはためかせました。そして浮上し、女神隊員に突っ込んでいきます。女神隊員はぶつかる寸前、さっと横に避けました。通り過ぎた怪獣は、直後口の中で炎を溜めます。
「ここで決める!」
怪獣は振り向きざま火焔を吐きました。
「死ねーっ!」
が、そこには女神はいません。怪獣は焦りました。
「ええ?・・・」
女神隊員は怪獣の上で大きくジャンプしてました。その手には剣が握られています。女神隊員は剣を下にして墜ちてきました。そして・・・
女神隊員の剣は怪獣の左側の翼の付け根にぐさりと刺さりました。そのまま2つの身体は絡み合って地面に激突。その瞬間剣はさらに深く刺さり、怪獣は悲鳴をあげました。
「うぎゃーっ!」
一方女神隊員の身体は山肌を転がり、ダム湖に落ちてしまいました。怪獣は消え消えの意識の中で、湖畔の道路に手をかけ、陸に上がろうとしている女神隊員を見ました。
「あは・・・ やっぱり女神だ、とっても強いや・・・」
怪獣は最後の力を振り絞って、翼をはためかせ、浮上しました。と、怪獣の目の前に巨大な魔法円が現れました。
「ここには何もなかった。あったのは私の敗北だけだった・・・」
怪獣は魔法円の中に入っていきました。そして魔法円は消えました。女神隊員はそれを見上げてました。
それから数時間後、大病院の1人部屋の病室のベッドに上溝隊員が寝かされてます。その左足には骨折治療用のコルセットがあります。顔面右半分は包帯で覆われてます。上溝隊員はつぶやきました。
「ああ、もう・・・」
別の1人用の病室のベッドに寒川隊員が寝かされてます。その左腕には骨折治療用のコルセットがあります。寒川隊員はつぶやきました。
「くそーっ・・・」
別の1人用の病室のベッドに倉見隊員が寝かされてます。その右脚には骨折治療用のコルセットがあります。倉見隊員はつぶやきました。
「参ったなあ・・・」
別の1人用の病室のベッドに橋本隊員が寝かされてます。その右腕には骨折治療用のコルセットがあります。橋本隊員が申し訳なさそうに発言しました。
「すみません・・・」
その橋本隊員を香川隊長が見てます。隊長は車いすに乗ってました。
「まったくお前ら、揃いも揃って・・・ おまえらのせいでオレは今日退院になったよ。まだ1週間は寝てなくっちゃいけないのにさ・・・」
「女神がいるじゃないですか」
「あは、あいつはストーク号の免許もヘロン号の免許も持ってないし、それ以前にクルマの免許も持ってないんだぞ。そーいや、さっき警察から抗議の電話が来たなあ。あいつ、バイクを盗んだうえに、そのバイクを無免許で乗り回したんだそうだ」
「バイクを? それで現場に来たんですか?」
「ああ、その通り。正当な理由でバイクを盗んで、無免許で乗ったんだ。いくらなんでもこれは問題ないだろ。この抗議は無視することにしたよ」
隊長は車いすを回転させました。
「じゃ、今から退院の手続きをしてくるよ」
すでにあたりは暗くなってます。ここは病院の玄関の前です。今自動ドアが開き、白いワンピース・白い帽子姿の女性と、杖(ロフストランドクラッチ)をついた私服姿の隊長が出てきました。それを遠くから見ている報道カメラマンたちが色めき立ちました。
「お、おい、あれはテレストリアルガードの隊長じゃなのいか?」
「じゃ、隣りにいる女はヘルメットレディ?」
カメラマンたちは慌ててシャッターをバシャバシャと切り始めました。
「よーし、特ダネだ!」
2人の前にタクシーが停まりました。白い帽子の女は、タクシーのトランクに持っていたかばんを入れました。女がトランクを閉めると、隊長はその女に会釈しました。女も帽子を取って会釈しました。するとその女の眼はふつーに2つありました。それを見てカメラマンたちはがっくしです。
「ちっ、なんだよ。ふつーに眼が2つあるじゃないか」
隊長が後部座席に座りました。タクシーが走り始めました。
そのタクシーの車内です。今隊長の横に頭が1つすーっと現れました。それはウィッグをかぶった女神隊員です。実は女神隊員は始めっからタクシーに乗ってたのです。ずーっと頭を下げてて、ここでようやくふつーの姿勢になったようです。隊長はその女神隊員を見て、
「あんたも大変だなあ」
女神隊員は白い帽子をかぶりながら、
「あは、もう慣れてきました」
隊長はタクシーの運転士に話しかけました。
「あ、運転士さん。下溝通りと片倉通りの交差点に行ってくれないか」
タクシーの運転士さんはテレストリアルガードの基地に行くつもりだったので、ちょっとびっくりです。
「ええ? あ、はい、わかりました」
隊長は女神隊員の白い帽子に注目しました。
「ん? 今日はク○リの帽子じゃないのか?」
「私は精神崩壊したくないし、蜂の巣にもなりたくないし、自爆もしたくないし・・・」
「あは、そっか。でも、実はク○リは生きてたんだぞ」
「そうなんですか?」
「ま、次のシーンでは遺影になってたが」
「やっぱり死んでたじゃないですか」
タクシーは快調に走ってます。隊長と女神隊員の会話は続いてます。女神隊員の質問です。
「あの怪獣はなんだったんでしょう?」
「さあな、オレもわからんよ。ま、これはオレの推測だが・・・
あの怪獣はどこか別の次元からやってきたんじゃないかな? そしてまた別の次元に行った。たぶんあの怪獣は、次元の壁を平気で乗り越える能力を有してたんだろう」
「あの怪獣は死んだんでしょうか?」
「あは、さすがにそれはわからんなあ。どちらかと言えば、あの怪獣に剣をぶっ刺したあんたの方がわかるんじゃないのか?」
「あは、私にもわかりませんよ。でも、剣で刺したとき、意外と手応えはなかったんですよ」
「そっか。じゃ生きてんかもな」
タクシーの運転士さんが隊長に呼びかけました。
「そろそろ言われた場所に着きますが?」
「ああ、そっか。じゃ、その信号の手前の駐車場に入ってくれないか」
タクシーが言われた通り、駐車場に入りました。なんとそこは牛丼屋でした。それを見て女神隊員は唖然としてしまいました。
「あ、あの、隊長?・・・」
隊長の側のドアが開きました。隊長はそこから降りる体勢です。
「塩分か? お前も上溝と同じこと言うのか?」
女神隊員は呆れてしまいました。隊長はタクシーから降りました。
「塩分が濃いみそ汁さえ飲まなきゃ、別に問題はないだろ。先にテレストリアルガードの基地に帰っててくれ」
タクシーが走り出しました。隊長は杖をつきながら店舗に向かいました。
「まったくどいつもこいつも、塩分を取るな、塩分を取るなって、うるさいんだよ! オレは1週間に1回牛丼を喰わないと、身体中にじんましんが出る体質なんだ!」
隊長、そんな体質は聞いたことがないですよ。
隊長は店舗に入りました。
「いらっしゃーい!」
さっそく店員の威勢のいい声が響いてきました。隊長はイスに座りながら注文です。
「大盛1つ」
「はい、大盛1つ!」
すぐに隊長の目の前に大盛の牛丼が運ばれてきました。隊長はさっそく箸を取りました。
「あは、ようやく好きなものが食えるぞ!」
さっそく1口目。しかし、その瞬間隊長の顔色は変わりました。
「しょっぱい。なんてしょっばいんだ?・・・ オレは今までこんな塩の塊のようなものを喰ってたのか?・・・」
隊長は1ケ月程度減塩料理を食べてきたせいか、減塩料理に身体が慣れてしまったのです。日本の外食産業は異様なほど料理に食塩を混ぜてます。減塩料理に慣れてしまった人からみたら、外食産業の料理のすべては食塩の塊なのです。
隊長は残念な顔で箸を置きました。そして店員に話しかけました。
「すまないが、勘定してくれないか?」
「あ、はい・・・」
店員は不思議な顔で隊長を見ました。
隊長が店舗から出てきました。隊長はつぶやきながら杖をついて歩いて行きます。
「ひどい味だなあ・・・ ここはジェノサイド企業なのか?・・・」
「ふふ、1対1じゃ、真後ろを取られなければ絶対勝負になる!」
ヘロン号のコックピットの橋本隊員。
「ちっ、こっちの動きは完全に読まれてるなぁ・・・ じゃ、これはどうだ?」
ヘロン号が怪獣に向かって急降下して行きます。怪獣はそれを見上げました。
「今度はなにをする気?」
橋本隊員が叫びました。
「ガトリング砲発射!」
ヘロン号がガトリング砲発射。それに対し、怪獣も火焔を吐きました。
「甘いんだよ!」
すると、なんと火焔がガトリング砲の20mm銃弾を消し去ってしまいました。ヘロン号が旋回。コックピットの橋本隊員が横目で怪獣を追いながら
「くそーっ! ガトリング砲も効かないのかよ!」
そのヘロン号を怪獣が眼で追ってます。
「よーく狙って撃てば、絶対当たるはず!」
怪獣がまたもや火焔を吐きました。それをきりもみ回転で逃げるヘロン号。その瞬間橋本隊員が得意顔を見せました。
「おっとーっ!」
「そこだ!」
怪獣は火焔を吐いたまま、首を少し振りました。ヘロン号の目の前に火焔が。
「うわっ!」
ヘロン号が空中で大爆発。その直後、2つの落下傘が降りてきました。橋本隊員と倉見隊員です。橋本隊員は悔しがってます。
「くそ・・・」
怪獣は振り向き、ストーク号を見ました。それに気づいて、寒川隊員と上溝隊員は焦りました。
「ええ~!」
怪獣はニヤっとしました。
「次はお前だ」
寒川隊員は叫びました。と言っても、かなりうわずった叫びです。
「に、認識ステルス機能発動!」
するとストーク号は消滅しました。
「ふっ、またへんちくりんな魔法を使いやがって! これでどーだ!」
怪獣は火焔を吐きながら、360度回転。途中火焔が何かにヒットし、爆発。そこからストーク号が現れ、火を噴きながら墜落していきます。コックピットでは寒川隊員も上溝隊員も気を失ってます。その光景を橋本隊員が見ています。その橋本隊員は針葉樹のかなり高いところに落下傘が引っかかってしまい、ぶら下がっている状態になってました。
「や、やばい・・・」
が、ここで1つの大きな人影が現れました。その人影が燃え盛るストーク号を両手でキャッチ。その人影は巨大化した女神隊員でした。橋本隊員は喜びました。
「よし!」
女神隊員はそのまま湖まで走り、ストーク号を湖面につけ、ストーク号を消火。女神隊員がここでつぶやきました。
「ふーっ、間に合った・・・」
女神隊員がストーク号を湖畔に置くと、横からの視線を感じました。女神隊員が振り向くと、怪獣が自分をにらんでました。
「ふふ、ついに来たか。
私はお前を殺す。神に殺された仲間の恨みを晴らしてやる!」
女神隊員も怪獣をにらみます。
「あいつには光線技は一切効かない。となると、残る手は・・・」
怪獣が軽く火焔を吐きました。女神隊員はそれを軽く交わしました。怪獣は再び火焔を吐き、女神隊員は再び交わしました。怪獣は思いました。
「ふふ、ここじゃ、ブレスは有効打にはならないか・・・ ま、自分で選んだ場所だ。できる範囲でお前を倒してやる!」
怪獣は翼をはためかせました。そして浮上し、女神隊員に突っ込んでいきます。女神隊員はぶつかる寸前、さっと横に避けました。通り過ぎた怪獣は、直後口の中で炎を溜めます。
「ここで決める!」
怪獣は振り向きざま火焔を吐きました。
「死ねーっ!」
が、そこには女神はいません。怪獣は焦りました。
「ええ?・・・」
女神隊員は怪獣の上で大きくジャンプしてました。その手には剣が握られています。女神隊員は剣を下にして墜ちてきました。そして・・・
女神隊員の剣は怪獣の左側の翼の付け根にぐさりと刺さりました。そのまま2つの身体は絡み合って地面に激突。その瞬間剣はさらに深く刺さり、怪獣は悲鳴をあげました。
「うぎゃーっ!」
一方女神隊員の身体は山肌を転がり、ダム湖に落ちてしまいました。怪獣は消え消えの意識の中で、湖畔の道路に手をかけ、陸に上がろうとしている女神隊員を見ました。
「あは・・・ やっぱり女神だ、とっても強いや・・・」
怪獣は最後の力を振り絞って、翼をはためかせ、浮上しました。と、怪獣の目の前に巨大な魔法円が現れました。
「ここには何もなかった。あったのは私の敗北だけだった・・・」
怪獣は魔法円の中に入っていきました。そして魔法円は消えました。女神隊員はそれを見上げてました。
それから数時間後、大病院の1人部屋の病室のベッドに上溝隊員が寝かされてます。その左足には骨折治療用のコルセットがあります。顔面右半分は包帯で覆われてます。上溝隊員はつぶやきました。
「ああ、もう・・・」
別の1人用の病室のベッドに寒川隊員が寝かされてます。その左腕には骨折治療用のコルセットがあります。寒川隊員はつぶやきました。
「くそーっ・・・」
別の1人用の病室のベッドに倉見隊員が寝かされてます。その右脚には骨折治療用のコルセットがあります。倉見隊員はつぶやきました。
「参ったなあ・・・」
別の1人用の病室のベッドに橋本隊員が寝かされてます。その右腕には骨折治療用のコルセットがあります。橋本隊員が申し訳なさそうに発言しました。
「すみません・・・」
その橋本隊員を香川隊長が見てます。隊長は車いすに乗ってました。
「まったくお前ら、揃いも揃って・・・ おまえらのせいでオレは今日退院になったよ。まだ1週間は寝てなくっちゃいけないのにさ・・・」
「女神がいるじゃないですか」
「あは、あいつはストーク号の免許もヘロン号の免許も持ってないし、それ以前にクルマの免許も持ってないんだぞ。そーいや、さっき警察から抗議の電話が来たなあ。あいつ、バイクを盗んだうえに、そのバイクを無免許で乗り回したんだそうだ」
「バイクを? それで現場に来たんですか?」
「ああ、その通り。正当な理由でバイクを盗んで、無免許で乗ったんだ。いくらなんでもこれは問題ないだろ。この抗議は無視することにしたよ」
隊長は車いすを回転させました。
「じゃ、今から退院の手続きをしてくるよ」
すでにあたりは暗くなってます。ここは病院の玄関の前です。今自動ドアが開き、白いワンピース・白い帽子姿の女性と、杖(ロフストランドクラッチ)をついた私服姿の隊長が出てきました。それを遠くから見ている報道カメラマンたちが色めき立ちました。
「お、おい、あれはテレストリアルガードの隊長じゃなのいか?」
「じゃ、隣りにいる女はヘルメットレディ?」
カメラマンたちは慌ててシャッターをバシャバシャと切り始めました。
「よーし、特ダネだ!」
2人の前にタクシーが停まりました。白い帽子の女は、タクシーのトランクに持っていたかばんを入れました。女がトランクを閉めると、隊長はその女に会釈しました。女も帽子を取って会釈しました。するとその女の眼はふつーに2つありました。それを見てカメラマンたちはがっくしです。
「ちっ、なんだよ。ふつーに眼が2つあるじゃないか」
隊長が後部座席に座りました。タクシーが走り始めました。
そのタクシーの車内です。今隊長の横に頭が1つすーっと現れました。それはウィッグをかぶった女神隊員です。実は女神隊員は始めっからタクシーに乗ってたのです。ずーっと頭を下げてて、ここでようやくふつーの姿勢になったようです。隊長はその女神隊員を見て、
「あんたも大変だなあ」
女神隊員は白い帽子をかぶりながら、
「あは、もう慣れてきました」
隊長はタクシーの運転士に話しかけました。
「あ、運転士さん。下溝通りと片倉通りの交差点に行ってくれないか」
タクシーの運転士さんはテレストリアルガードの基地に行くつもりだったので、ちょっとびっくりです。
「ええ? あ、はい、わかりました」
隊長は女神隊員の白い帽子に注目しました。
「ん? 今日はク○リの帽子じゃないのか?」
「私は精神崩壊したくないし、蜂の巣にもなりたくないし、自爆もしたくないし・・・」
「あは、そっか。でも、実はク○リは生きてたんだぞ」
「そうなんですか?」
「ま、次のシーンでは遺影になってたが」
「やっぱり死んでたじゃないですか」
タクシーは快調に走ってます。隊長と女神隊員の会話は続いてます。女神隊員の質問です。
「あの怪獣はなんだったんでしょう?」
「さあな、オレもわからんよ。ま、これはオレの推測だが・・・
あの怪獣はどこか別の次元からやってきたんじゃないかな? そしてまた別の次元に行った。たぶんあの怪獣は、次元の壁を平気で乗り越える能力を有してたんだろう」
「あの怪獣は死んだんでしょうか?」
「あは、さすがにそれはわからんなあ。どちらかと言えば、あの怪獣に剣をぶっ刺したあんたの方がわかるんじゃないのか?」
「あは、私にもわかりませんよ。でも、剣で刺したとき、意外と手応えはなかったんですよ」
「そっか。じゃ生きてんかもな」
タクシーの運転士さんが隊長に呼びかけました。
「そろそろ言われた場所に着きますが?」
「ああ、そっか。じゃ、その信号の手前の駐車場に入ってくれないか」
タクシーが言われた通り、駐車場に入りました。なんとそこは牛丼屋でした。それを見て女神隊員は唖然としてしまいました。
「あ、あの、隊長?・・・」
隊長の側のドアが開きました。隊長はそこから降りる体勢です。
「塩分か? お前も上溝と同じこと言うのか?」
女神隊員は呆れてしまいました。隊長はタクシーから降りました。
「塩分が濃いみそ汁さえ飲まなきゃ、別に問題はないだろ。先にテレストリアルガードの基地に帰っててくれ」
タクシーが走り出しました。隊長は杖をつきながら店舗に向かいました。
「まったくどいつもこいつも、塩分を取るな、塩分を取るなって、うるさいんだよ! オレは1週間に1回牛丼を喰わないと、身体中にじんましんが出る体質なんだ!」
隊長、そんな体質は聞いたことがないですよ。
隊長は店舗に入りました。
「いらっしゃーい!」
さっそく店員の威勢のいい声が響いてきました。隊長はイスに座りながら注文です。
「大盛1つ」
「はい、大盛1つ!」
すぐに隊長の目の前に大盛の牛丼が運ばれてきました。隊長はさっそく箸を取りました。
「あは、ようやく好きなものが食えるぞ!」
さっそく1口目。しかし、その瞬間隊長の顔色は変わりました。
「しょっぱい。なんてしょっばいんだ?・・・ オレは今までこんな塩の塊のようなものを喰ってたのか?・・・」
隊長は1ケ月程度減塩料理を食べてきたせいか、減塩料理に身体が慣れてしまったのです。日本の外食産業は異様なほど料理に食塩を混ぜてます。減塩料理に慣れてしまった人からみたら、外食産業の料理のすべては食塩の塊なのです。
隊長は残念な顔で箸を置きました。そして店員に話しかけました。
「すまないが、勘定してくれないか?」
「あ、はい・・・」
店員は不思議な顔で隊長を見ました。
隊長が店舗から出てきました。隊長はつぶやきながら杖をついて歩いて行きます。
「ひどい味だなあ・・・ ここはジェノサイド企業なのか?・・・」