のぶひさの日記

生きていくのはいろいろあるね。出会いを大切に。また会えるといいね。

ネグレクト

2005年04月03日 | 日記
『ネグレクト』という本を読んだ。去年、小学館から出版され、かなり売れた作品だ。
三歳の女の子がダンボール箱の中で亡くなったという実話だ。
当時の新聞を調べてみた。社会面で一週間この話題が大きく報道されていた。「ダンボール箱の中で餓死」という衝撃的な内容だったからだろう。
この作品は女の子の両親の成育歴からその親、つまりおじいちゃん、おばあちゃんの成育歴まで丹念に取材されている。すべてが本当ではないと仮定しても、やはりショックを受ける。
「虐待している親を見つけて処罰するのではない。援助の必要な家族であると考えるのだ。」という趣旨がこの本を貫いている。
ほとんどの人は「子どもを虐待するなんてとんでもない。そんな両親は早く警察に捕まればいい」と思うだろうし、そう思うことは自然だ。
しかし、両親やそのまた両親の成育歴にまでさかのぼってみたとき、作者のいう、「援助の必要な家族」という表現にものすごく納得する。
虐待の連鎖、貧困の連鎖、社会階層の二極分化。これらを強く感じた。
本文中にも登場するが、この事件を担当した弁護士は少年法の分野では有名な人だ。鑑定を担当した教授も少年非行ではおなじみの人物だ。
少年非行も児童虐待も根っこは同じだと思った。
だからこそ、少年司法と児童福祉ときっぱり分けるのではなくて、「子ども法」みたいな感じで一本化できないのかな、と思う。