【時事(爺)放論】岳道茶房

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介護保険10年 従事者の待遇改善図れ

2010年04月03日 | 社説
 介護保険が始まって十年経過した。この間にすっかり国民の間に定着し、超高齢社会を支えるのに欠かせない制度になった。今後も介護を取り巻く環境に応じて改善し、持続させていきたい。

 わが国の社会保障制度の中で介護保険ほど国民から喜ばれたものはないだろう。高齢化の急速な進行に伴い、家族だけで高齢者の介護を支えるのが限界に達し、誰もが老後の不安を抱いていた。

 介護保険はこれにこたえようと二〇〇〇年四月に始まった。それ以前と違い、介護保険では保険料や介護サービスの内容などについて住民の声が反映される仕組みになっている。これが介護保険を国民に身近なものと感じさせる理由の一つでもあろう。

 定着とともに新たな課題が出てきた。スタート当初、三・六兆円だった年間の総介護費用は十年間に二倍以上に膨れ上がった。介護サービスを受ける高齢者数が百五十万人から四百万人近くまで増えたことが大きな要因だ。

 団塊の世代が七十五歳以上に達する二五年には、六十五歳以上の高齢者人口(約三千五百万人)がピークに達し、介護保険への需要はますます高まる。

 こうした中でまず求められるのは、良質な介護職員の確保だ。

 介護労働はハードな割には給与が全産業平均よりも月十万円以上も低い。〇九年四月の介護報酬の3%引き上げや「処遇改善交付金」などでわずかに差が縮まったが、まだ不十分だ。二五年には現在の二倍以上の介護職員が必要とされる。さらに給与を引き上げ、介護に人材を引き寄せたい。

 独居高齢者、夫婦とも高齢者という世帯が今後増える。介護と医療との連携を強めるとともに、家族介護がなくても済むように、それぞれの地域に密着した在宅からグループホーム、施設までの切れ目のない包括的な介護体制の構築が求められる。グループホームなど高齢者施設で火災による死亡事故が相次いでいるが、防火体制を強化しても経営が成り立つように介護報酬の引き上げも必要だ。

 介護サービスの充実などに伴い、介護保険料の引き上げは避けられないが、六十五歳以上の月平均保険料は十年間に二千九百十一円から四千百六十円に上昇しており、そろそろ限界だろう。一割の自己負担を除いた介護保険の財源のうち半分は税である。この割合の引き上げも考えるべきだ。そのための負担のあり方の検討を始めなければならない。

2010年4月3日 中日新聞 社説

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