舛添「新党」 交付金狙いの野合では
自民党を離党した舛添要一参院議員が「新党改革」の代表に就いた。党名に新党とあるが、夏の参院選に向けて政党交付金目当ての数合わせではないのか。改革の名に惑わされないようにしたい。
舛添氏は新党発表会見で「閉塞(へいそく)感を打破し、国民のための新しい政治を確立するため大胆な改革をしなくてはならない」と語った。
世論調査で「首相にふさわしい政治家」第一位の舛添氏の行動が関心を呼んだとしても、「新党」と呼ぶには気が引ける。それはこの党の成り立ちと無縁でない。
新党改革の母体は、衆参五議員でつくっていた改革クラブ(渡辺秀央代表)だ。舛添氏は、自民党から二人の参院議員を引き連れて合流し、党名を変更した。
舛添氏が一から新党を立ち上げた場合、政党交付金(助成金)受け取りは早くても参院選後だが、既存政党への合流なら選挙前に交付金を手にできる。
参院選での候補擁立に資金が必要なことは理解できるが、交付金目当てであることが透けて見えれば、閉塞感打破という理念がいかに高邁(こうまい)であっても霞(かす)んでしまう。
舛添氏を受け入れる改革クラブ側でも党に残った三参院議員はいずれも改選組だ。自身の議席を守るため、舛添氏の高い人気にあやかりたかったのだろう。
自民党から合流した舛添氏以外の二参院議員も、党公認から漏れており、離党して立候補するしか議席を守る可能性はなかった。
結局、新党移行から浮かび上がるのは、議員自身の生き残りだ。政党は国民のための政策実現が存在理由のはずで、生き残り目的なら有権者の理解は得られまい。
舛添氏の合流に反対して新党に参加しない大江康弘参院議員の「政党交付金狙いのまやかし」との指摘が、すとんと胸に落ちる。
さらに、新党参加者のうち三議員は比例代表選出だ。与謝野馨元財務相らの自民党離党時も指摘したが、比例議員の政党移動は、議員辞職してするのが筋である。良心に呼び掛けても後を絶たぬのなら、法律で禁止すべきだ。
自民党にとっても、谷垣禎一総裁ら執行部を激しく批判してきた舛添氏を「厄介払い」できたからといって、済む話ではない。
昨年の政権転落後、離党者は十三人に上る。「党の顔」だった舛添氏の離党は危機的状況だ。党再生に本格的に取り組まなければ明日はない、という崖(がけ)っぷちまで追い込まれたと心得るべきである。
2010年4月24日 中日新聞 社説
自民党を離党した舛添要一参院議員が「新党改革」の代表に就いた。党名に新党とあるが、夏の参院選に向けて政党交付金目当ての数合わせではないのか。改革の名に惑わされないようにしたい。
舛添氏は新党発表会見で「閉塞(へいそく)感を打破し、国民のための新しい政治を確立するため大胆な改革をしなくてはならない」と語った。
世論調査で「首相にふさわしい政治家」第一位の舛添氏の行動が関心を呼んだとしても、「新党」と呼ぶには気が引ける。それはこの党の成り立ちと無縁でない。
新党改革の母体は、衆参五議員でつくっていた改革クラブ(渡辺秀央代表)だ。舛添氏は、自民党から二人の参院議員を引き連れて合流し、党名を変更した。
舛添氏が一から新党を立ち上げた場合、政党交付金(助成金)受け取りは早くても参院選後だが、既存政党への合流なら選挙前に交付金を手にできる。
参院選での候補擁立に資金が必要なことは理解できるが、交付金目当てであることが透けて見えれば、閉塞感打破という理念がいかに高邁(こうまい)であっても霞(かす)んでしまう。
舛添氏を受け入れる改革クラブ側でも党に残った三参院議員はいずれも改選組だ。自身の議席を守るため、舛添氏の高い人気にあやかりたかったのだろう。
自民党から合流した舛添氏以外の二参院議員も、党公認から漏れており、離党して立候補するしか議席を守る可能性はなかった。
結局、新党移行から浮かび上がるのは、議員自身の生き残りだ。政党は国民のための政策実現が存在理由のはずで、生き残り目的なら有権者の理解は得られまい。
舛添氏の合流に反対して新党に参加しない大江康弘参院議員の「政党交付金狙いのまやかし」との指摘が、すとんと胸に落ちる。
さらに、新党参加者のうち三議員は比例代表選出だ。与謝野馨元財務相らの自民党離党時も指摘したが、比例議員の政党移動は、議員辞職してするのが筋である。良心に呼び掛けても後を絶たぬのなら、法律で禁止すべきだ。
自民党にとっても、谷垣禎一総裁ら執行部を激しく批判してきた舛添氏を「厄介払い」できたからといって、済む話ではない。
昨年の政権転落後、離党者は十三人に上る。「党の顔」だった舛添氏の離党は危機的状況だ。党再生に本格的に取り組まなければ明日はない、という崖(がけ)っぷちまで追い込まれたと心得るべきである。
2010年4月24日 中日新聞 社説