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子ども手当 半額支給維持も容易ではない

2010年06月28日 | 社説
子ども手当 半額支給維持も容易ではない

 子育て支援は政策のバランスと、何より財源の裏付けが必要だ。

 民主党は参院選公約で子ども手当について、来年度から月2万6000円を支給するという「満額実施」の看板を取り下げた。

 半額でスタートした現行の月1万3000円に「財源を確保しつつ、上積みする」との表現にとどめている。上積み分も「保育所の拡充や給食の無料化など、現物サービスの充実策にも代えられるようにする」とした。

 財源がなければ上積みはせず、現金支給至上主義も見直す、ということだろう。

 国債発行額が税収を上回る非常事態の財政下で、年5・4兆円を要する子ども手当の満額支給は論外だ。路線変更は当然である。

 社会保障関連予算は、高齢化の進行により、毎年約1兆円ずつ膨らむ。来年度からは基礎年金の国庫負担引き上げに2・5兆円が必要になる。子ども手当は上積みどころか、半額支給の維持も容易でないのが財政の現状だ。

 政府は「子ども・子育てビジョン」で、保育所定員を年に5万人ペースで増やす、といった今後5年間の数値目標を掲げている。

 今後は、ビジョンの実現に軸足を移すということだろう。しかしこれにも、1・6兆円の財源が必要だ。予算の組み替えや無駄の削減で捻出(ねんしゅつ)できる金額ではない。

 消費税率を引き上げない限り、子育て支援を充実させることは難しい。民主党はその点をまず明確に認め、消費税の議論とセットで子ども手当の金額や支給方法、そして子育て施策全体の設計をやり直すべきだ。

 この姿勢は、野党にも求められよう。自民党は昨年の総選挙に引き続き、「幼児の保育料と幼稚園費の無料化」を公約に掲げるが、少なくとも8000億円は必要な施策である。

 自民党は「消費税率10%」を公約に明記し、必要財源を担保してはいる。だが、社会保障の思い切った充実策を実行するには、まず消費税率の引き上げ実現が大前提であることをもっと強く、国民に訴えるべきだろう。

 英キャメロン政権は財政再建のために、付加価値税率を20%に引き上げ、子ども手当を3年間凍結する方針を打ち出した。

 日本の財政状況は英国以上に厳しい。負担増なしに社会保障制度を維持することは不可能だ。

 それを真正面から有権者に語る政党はどこか、有権者は参院選で見極める必要があろう。

2010年6月28日 読売新聞 社説


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