【時事(爺)放論】岳道茶房

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高速料金混迷 右往左往にうんざりだ

2010年04月24日 | 社説
高速料金混迷 右往左往にうんざりだ

 鳩山劇場の迷走劇に新たな一幕が加わった。高速道路の料金制度の再見直し問題だ。

 国土交通省が策定した料金制度に与党内から異論が噴出した。そこで、政府・民主党は首脳会議を開き、再度見直すことを決めた。もちろん、鳩山由紀夫首相も出席してのことだった。

 ところが、その後、鳩山首相と会談した前原誠司国交相は、再見直しを否定し、鳩山首相もこれを認める発言をしている。

 高速道路料金の上限を休日に限らず平日も含めて普通車で2000円とするのが国交省の見直しの柱だ。6月に実施予定で、走行距離が長いほど料金は割安になる。しかし、現在の各種割引がなくなるため、普通車の場合で70キロに達しない場合は実質的に値上げとなってしまう。

 無料化を掲げているのに、実際には利用者の大半は負担が増すため、トラック業界などが猛反発している。こんな矛盾した見直しが行われれば、夏の参院選に不利に働きかねない。首脳会議で見直しを決めた背景には、そうした事情があった。

 ただし、利用者の多くが実質的に値上げとなるのは、料金割引のための財源を道路建設に回すことにしたからだ。

 昨年末の小沢一郎民主党幹事長の求めに応じた措置だったはずだが、小沢氏は今回、「無料化どころか値上げだ。説明がつかない」と強調する。はしごをはずされた格好の前原氏としては、納得がいかないに違いない。

 ただ、全面対立は得策ではないと判断しているようで、現時点での見直しを否定しつつも、国会の審議を通じる形で、何らかの対応をとる余地も残している。

 財源が限られた中で、無料化と道路建設が両立するわけがないのは、最初からわかっていることだ。にもかかわらず、無料化と道路建設の間を右往左往している。

 しかも、政策は内閣主導といいながら、小沢幹事長が突然、提起したのが、右往左往の震源だ。鳩山首相はというと、再見直しと、その否定の間で揺れ、存在感が乏しい。

 無料化、道路建設、渋滞解消、他の交通機関への影響--。考慮すべき要素は多々ある。そのすべてを満足させる解はない。その中で妥協点を見つけ、国民生活が少しでもいい方向に進むようにと、方策を探るのが政治の役割のはずだ。

 にもかかわらず、政権交代後、こうした状況が繰り返されている。またかというより、うんざりというのが、正直なところだ。突き放した視線が投げかけられていることを、騒動の当事者は自覚すべきだ。

2010年4月24日 毎日新聞 社説


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