【時事(爺)放論】岳道茶房

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G8首脳宣言 北朝鮮への非難を形に

2010年06月28日 | 社説
G8首脳宣言 北朝鮮への非難を形に

 オバマ米大統領が言うように「無責任な振る舞い」には「報い」があってしかるべきだ。カナダで開かれていた主要8カ国(G8)首脳会議は、韓国哨戒艦沈没事件で北朝鮮への非難に踏み切った。何かと北朝鮮に同情的なロシアが日米に歩み寄ったのは歓迎すべきことである。今度は「報い」を検討する国連安保理の協議で、G8に属さない中国の歩み寄りを期待したい。

 首脳宣言は、韓国による合同調査結果を踏まえて沈没事件を非難し、北朝鮮に韓国への攻撃や敵対行為をやめるよう求めた。事件は北朝鮮のしわざだとG8自身が断定したわけではないが、全体としてそう読める内容だ。日米と当事国(韓国)の強い結束の反映だろう。

 また、北朝鮮の核実験やミサイル発射に強い懸念を表明し、6カ国協議の共同声明に沿って核兵器などを完全廃棄するよう求めた。北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)に基づく「核保有国」の地位を占めることはありえないと述べ、「拉致問題を含む人道上の諸問題」に北朝鮮が迅速に対応するよう求めたのも歓迎すべきことである。

 こうした非難や懸念をどんな形で表現するか、当面は安保理がどう対応するかが焦点だが、安保理常任理事国であり6カ国協議議長国でもある中国の協力は欠かせない。沈没事件でも核問題でも中国は北朝鮮を刺激しないよう求めてきたが、北朝鮮情勢は一向に改善の気配が見えない。ただ友邦(北朝鮮)をかばうだけでは問題は解決できず、無責任な結果に終わりかねないことを中国は悟るべきだろう。

 国際社会は「ルール違反」に厳しく対処すべきである。人類の運命にかかわる「核」の違反ならなおさらだ。首脳宣言がイランの不透明な核開発に「深い懸念」を表明したのも当然である。北朝鮮からイラン、シリアへ核技術が流出している疑いもある。北朝鮮やイランとの関係が深い中露の協力がなければ、こうした核拡散を防ぐのは難しい。

 首脳宣言は、イスラエルの封鎖下にあるガザ(パレスチナ自治区)の状況を憂慮し、ガザへの援助物資を積んだ国際支援船がイスラエル部隊に襲われて死傷者が出たことに「深い遺憾」を示した。米国の同盟国たるイスラエルが批判の対象になるのも珍しい。宣言がガザへの物資搬入規制について「今のやり方は変えるべきだ」と強く求めたのは人道的な訴えであり、全面的に賛成する。

 無論、一片の宣言だけで問題が解決するはずはない。宣言はあくまで出発点だ。世界の平和と安定を図るために、問われているのは主要国の結束と実行力である。

2010年6月28日 毎日新聞 社説


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