李白の白髪  仁目子


白髪三千丈
愁いに縁りて  箇の似く 長(ふえ)た
知らず 明鏡の裡(うち)
何処より 秋霜を得たるか

【 か お り ち ゃ ん  へ 】     

2012-12-30 21:43:49 | Weblog

      ーー    仁 目 子  よ り   ーー

 

『抜粋』

ミス三島も、かおりちゃんも外国に出て、初めてそのこと

が付いた訳だが、自分の住居の隣人達を良く知る事

が、親しい近所付き合いに繋( つな) がる事と同じように、

それ何れにしても良い事である。

 かおりちゃんは、それにも気が付き、自分が購入して読み

終わった邱永漢氏の著書 『中国人 日本人』を、ママ

にプレゼント した。それは、 「かおり LOVE

ハート 印」の署名に見られるよう、親思いの娘であった。

 そのかけがえの無い愛嬢のプレゼントが、今、全く赤の他

人である私の手許にある。

 

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 『本文』  

 

一頃前に、ロスの古本屋で購入した 邱永漢氏の著書 『中国人 日本人』 、帰宅後面白く読み終えて、一旦は 本棚に並べて置いたが、最近になって、調べものの為に再度本棚から取り出して、頁をペラペラとめくっていたら、内表紙の裏に何かが書き付けていることに、初めて気が付いた。

次のような文言だった

 

ママ パパ に送ります

最近 私の回りには中国人が多いのですよ

それも 皆んな ロー レックス の時計をつけた

いわば 金持ちの 華僑とかいう人々 です。

友人の ルーム メイト お客さんに多いのですが

金の払いっぷりが 日本人の十倍ぐらい良いのです。

なぜだろう と思い 中国に対して 興味を持ちはじめました。

そして いつも JAL Business にしてくれる友人も 中国人

2 なのです。

この 本を 読むにつれて だんだんその理由がわかてきました。

ぜひ この本を 読んで下さい とても ため になりました。

                                            かおり LOVE ハート印

 

この文面から見て、かおりちゃんは、日本から離れた外国で、「中国」に対して興味を持ちはじめたようですね。

 

有名な「菊刀」の中で、ルースベネディクトは、アメリカに留学した三島という女性の自伝『わが狭き島国』を紹介しています。

このミス三島も、アメリカ留学中に、中国の女性に対して多大な興味を持ちはじめた。彼女は、著書『わが狭き島国』( 1940 年代出版) の中で、次のように書いていた。

 

《「日本人として私は、自分の行状は全く非のうちどころがないと考えていたが、その誇りは無残にも傷つけられたのです。また私のそれまで受けてきたしつけをあざ笑うかのような環境でした」

「この別な世界では何の役にもたたない感覚と感情をもった、どこか他の遊星から落ちてきた生物であるかのように感じたのです。動作のしとやかさや言葉遣いの礼儀正しさという日本流のしつけが、この国では全く通用しないことを知らされたのです」

「中国の娘たちは、堂々としてほとんど王者のごとき優雅さを示していた。この偉大な機械とスピードの文明の中にあっていささかの動揺も見せない、彼女たちのものおじせぬ態度は私たち日本の娘のたえずおどおどした、過度に神経質な態度と著しい対照をなしていた。これは社会的背景に何か根本的な差異のあることを物語るものであろう」》

 

かおりちゃんとミス三島、二人の活きた時代は、少なくとも半世紀以上の隔たりがある、けれども、二人の間に、外国で初めて「中国」に興味を持ちはじめた点で共通している。

 

「中国」に興味を持つのは、良い国だから、或いは、良くない国だからというのに関係なく、一衣帯水の隣人として、文字を始め、日本の文化に多大な影響を与えた隣人として、多いに興味を持つべきもので、江戸時代までの列島はそうだったが、明治以降はそれが徐々に薄れてしまった。「中国」の国力の衰退とも深く関係があると思われる。

しかし、国力がどうであろうと、この国は数千年をしたたかに生き抜いて来た大きな国で、それなりに目を向ける所は多々あるが、列島の人々はかなり無頓着で過ごして来た。

 

ミス三島も、かおりちゃんも外国に出て、初めてそのことに気が付いた訳だが、自分の住居の隣人達を良く知る事が、親しい近所付き合いに繋( つな) がる事と同じように、それは何れにしても良い事である。

かおりちゃんは、それにも気が付き、自分が購入して読み終わった邱永漢氏の著書 『中国人 日本人』を、ママ パパ にプレゼント した。それは、 「かおり LOVE ハート 印」の署名に見られるよう、親思いの娘であった。

 

そのかけがえの無い愛嬢のプレゼントが、今、全く赤の他人である私の手許にある。

古本屋を経由して私の手許に入ったものだが、なぜ、そうなったのか、好奇心はあるが、勿論、皆目見当は付かない。

 

が、何れにしても、これは私の手元に残して置くべき本ではない。かおりちゃんなり、かおりちゃんのママ パパ なりの元に戻すべきものだと思うので、このブログで取り上げた。

 

かおりちゃんなり、ママ パパ ナリ、或いは、その知人、友人なり、このブログが目に付いたなら、「コメント」に一言書き込んで下さい。かおりちゃんの聯絡先が分かれば、この本を送り届けたいと思っています。

 

よろしく