ーー 負 け 惜 し み 人 種 の 用 語 ーー
『抜粋』
ゴルフというのは、「必死」でやれば勝てるものだろう
か、そんな生やさしいものではない筈だ。太平洋戦争で、
日本は「必死」どころか、「一億玉砕」精神で戦ったが、
結果は敗戦の例を見れば分かる。
韓国女性プロの國際舞台に於ける実績は「驚異的」であ
る。韓国男性プロも結構活躍しているが、女性プロに大き
く引き放されている。ゴルフ場で韓国女性プレイヤと時々
一緒に廻る度に「なぜか」と聞いてみる。面白い事に一様
に同じ答えが戻って来る、曰く、too hot 、 つまりす
ぐ「カッカ となる」、だから駄目だと言う。これは、
日本の男性プレイヤーにもそのまま当てはまる。
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『本文』
数十年のゴルフ歴を通じ、常時仲間四人で回るよりも、むしろ、一人でコースに飛び入り、好んで未知の人、国籍の違う人と プレイを楽しんで来た私の体験では、日本人プレイヤは手強いように見えるが意外と脆い面がある。
具体的に云うと、何でもやる気充分の日本人は調子に乗っている内は良いが、一寸でも躓 ( つまず) くとすぐカッと頭に来て、折角の実力と調子をぶちこわし、自滅してしまう。そういう意味では、戦い易い相手である。
5月21日スポーツ報知に 『韓国勢3戦連続V!9位有村「ハングリー精神が違う」女子ゴルフ』というニュースが出ていた。
女子プロゴルフツアー 中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンで韓国の李知姫の優勝で韓国勢が3連勝。その韓国勢の強さについて「ハングリー精神」が違うと有村が一言洩らした。
「ハングリー精神」とは「物事を強く求め、 達成への強い意志を持ってことに当たる気持ちや心意気などを意味する表現」であるが、貧乏だから頑張らなきゃ食えないという含みがその裏に控えている日本製の「英和言葉」である。
今は韓国勢だが、嘗て、台湾プロが日本で大いに暴れた時代があった、その時分にも台湾勢の勝因は「ハングリー精神」によるものだと言われていた。外国プロは、本国で食って行けないから日本に来て「必死」にプレイする、だから勝つという、言ってみれば「負け惜しみ」の為にある言葉である。
ゴルフというのは、「必死」でやれば勝てるものだろうか、そんな生やさしいものではない筈だ。太平洋戦争で、日本は「必死」どころか、「一億玉砕」精神で戦ったが、結果は敗戦の例を見れば分かる。
韓国女性プロの國際舞台に於ける実績は「驚異的」である。韓国男性プロも結構活躍しているが、女性プロに大きく引き放されている。ゴルフ場で韓国女性プレイヤと時々一緒に廻る度に「なぜか」と聞いてみる。面白い事に一様に同じ答えが戻って来る、曰く、too hot 、 つまりすぐ「カッカ となる」、だから駄目だと言う。これは、日本の男性プレイヤーにもそのまま当てはまる。
前述「スポーツ報知」の報道に次のような一節がある;
『4位の笠は「途中、1打差になっていけると思ったんですが」と悔しそう。期待の有村も67と伸ばしたが、9位に終わり「期待に応えたいが、なかなか、かみ合わない」と唇をかんだ。韓国勢の強さについて「ハングリー精神が違う」。勝負どころできっちりスコアを伸ばしてくる」と分析。最終組で李知姫と同組だった服部真夕も「良くないときもすぐに修正してくる」と舌を巻いた』
「悔やしい」思い、「期待に答えられず」唇をかんだ、「相手はよくないときもすぐに修正してくる」と舌を巻いた、などなど日本勢個個の反応のうち、悔やしい思いと、( 他人) の期待に答えようとする考えは、誰しもあるだろうが、日本以外の国のプレイヤーの口から滅多に聞く事はない。戦争に負けたら万斛の涙を流すのは人情として分かるが、それだけでは消極的であり、積極的に学ぼうとする姿勢ではない。
最終組で李知姫と同組だった服部真夕は「良くないときもすぐに修正してくる」と舌を巻いたという、これは積極的な姿勢であり、「冷静」な心情なしにこのような「敵を知る」観察は出来ない。
嘗て、台湾勢が列島で暴れていた時、列島のプレイヤーや庶民は、得てしてそれは「ハングリー精神」の違いだと云って自己安慰に徹した。然し、ゴルフの識者は、台湾プロの強さを「冷静」「粘り強い」「忍耐強い」などの気質に帰結した。これらの気質は、台湾プロに限らず、世界のトッププレイヤーに共通している特質である。
米国は世界のプロが集まって技を競う舞台である。世界の檜舞台「マスターズ」は米国に在るが、過去十年来の勝者は外国プロが米国プロを上回っている、しかし、米国では、それは " hungry spirit " の違いだと云う声は聞かない。代わりに、" cool " ( 冷静) " tenacious " (粘り強い) という形容詞が勝者の特質として挙げられる。
プロである以上、技術的には然程の違いはない。しかし、個々人間の気質の違いはかなり大きい。冷静と粘り強い者が最終的にはトーナメントを制する、だから、「ゴルフは自分相手の戦いである」という格言が金科玉条になっている。
外国のプロに負けると、あれは「ハングリー精神」の違いだと言って、自分を慰める日本プロ、乃至、一般庶民が考えを改め、自分を良く知り、相手を良く知る事に務めなければ、列島プロの先行きの見通しは決して明るくない。
スポーツ報知の記事を目にして、頭に浮んだ感想をそのまま書き出してみた。