中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

貴州省の義務教育段階での中途退学者の率が増加

2012年08月01日 | 中国の農村教育事情

7月31日付けの地元の新聞「黔中早報」によれば、去年一年間で中学校段階で中途退学した生徒の数は、率にして5.07%にも上ったとの事です。貴州省内でも畢卒地区は6.99%、安順市は6.31%、六盤水市は5.88%、黔東南苗族トン族自治州は5.53%、黔西南布衣族苗族自治州は5.24%となり、以上の五地区は全省の平均値を大きく上回ったそうです。

また、貴州省内の35の県では、中学校段階での中途退学者の率は、いづれも5%を超え、特に望谟県では14.46%、水城県では、10.46%、普定県では、10.33%と中途退学者の数は全体の10%を超えたとの事です。(尚、望谟県は黔西南布衣族苗族自治州に、水城県は六盤水市に、普定県は
安順市の属します。)

記事によれば、中途退学者の数は、ここ三年間上昇していたそうです。何故このように中途退学者が増加したのか、その理由や原因として、ひとつは一部の地方政府、地方教育関係機関が中途退学者を減らす努力を怠ったこと、地域により、小学校や中学校の配置や数に偏りがあること、また、社会経済発展の実情や特に流動人口の現実に (注 学齢期の児童生徒の実情に即して学校が配置されていない)即していない事などが理由として上げられています。

また、一部の親には、比較的に簡単に仕事が見つかるという最近の経済情勢を反映してか、学問は無用だというような誤った考えを持つ親が、最近また増えていることが原因のひとつであるとしています。

新聞よれば、省教育庁は、今年の年度末までに小学校段階では中途退学率を2%以内に、中学校段階では3%以内抑えるという目標が決められたそうです。そして、その目標を達成すべく関係機関、特に県レベルの関係機関は努力するよう通達が出されたそうです。

何故このように義務教育段階で中途退学者が最近増えているのか、その理由についてこの新聞記事を読んでも、いまひとつ理解で出来ない、納得がいかないものがあります。

以前貴州省納雍県鍋圏岩郷塘辺小学校の代用教員の給料は260元で、その内60元は県政府から、200元は学校から払われていたとありました。不思議に思ったのは、学校から代用教員に払っていたお金200元は、そもそもどのように捻出したのかという事でした。

もともと貴州省には「代課人員待遇以教学点自籌為主,政府補貼為輔」という規則があるつまり教学点(学校)が代用教員の給料を主に捻出、負担する、政府の補助は従とする。とすれば、そのお金を、そもそもどうやって学校が捻出するのかよく理解できません。

農村の小学校には、場所により学前班という学齢前の子供が通うクラスがあります。学前班は義務教育ではないので、当然学費を払います。貴州省の場合は学費は半年で100元から200元前後が多いようですが、当然これは学校の収入になるようです。学前班がある学校はそれなりに人口の多い地域で、ある程度の学費を負担することの出来る親がいればこそ成り立つものです。私の印象では純農村部では学前班は無いところが多いようです。

現在は義務教育段階は、中国でもすべての地域で完全に無料化となりました。農村でも新学期などには、5元から10元程度の諸手続きの費用のみ徴収するところが多く、確かに完全に無料化されているのを感じます。とすればどうやって教学点が、代用教員などの費用を捻出するのか、不思議でなりません。

ある村の小学校の新学期の通知。村の広場に張り出された通知。
学前班の学費は100元とある。
それ以外は保険費が20元。

一年生から二年生は諸費用が8元、保険費用20元。
三年生から六年生までは諸費用が10元、保険費用が20元。
これ以外の費用は掛からない。

 

 



 



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