9月7日付の「海峡都市報」(電子版)によると、一人の日本人が福建省福州市の駅周辺で、既に一ヶ月に近くも野宿生活を続けているそうです。この日本人は、三ヶ月程前に中国に入国し、上海、蘇州を回り、その後福清市に住む友達を訪ねるために福建省に来たそうです。その友達が日本へ帰国したので、一人になり列車で福清市から福州市に向かう途中、その列車の中で財布やパスポート等を無くしたとの事。
財布をなくした上、福州市には誰も知り合いも無く、言葉も通じない事もあり、やむを得ず駅周辺で野宿をするという生活を始めたとの事。このような事情を知った駅近くに住む親切な住民達が、この日本人に食べ物を提供するようになり、住民から三度の食事の面倒をみて貰い、夜は駅周辺の花壇の中で寝るというような生活が既に一ヶ月近く続いているそうです。最近では福州市も寒くなったこともあり、親切な住民が衣服も差し入れもしてくれたそうです。
この新聞のある読者が、6日に新聞社に電話をして来て「福州駅で野宿をしている日本人がいるので、この人が日本へ帰国が出来るよう助けてやって欲しい」と話したそうです。それで、この新聞社のある記者が現場に赴き、駅で野宿をしている日本人を捜し当て、話そうと試みたが、この日本人は、中国語は無論、英語も出来ない為に記者が、日本語の話せる中国人を探して、その人に通訳を頼んでようやくその日本人と話が出来たとの事。
この日本人男性は兵庫県明石市に住む40代の松本という人だと分かったそうです。この人は「駅で生活している間、本当に多くの住民から大変に親切にしてもらい、食事時になると、毎日の様に食べ物等を差し入れて貰った。また、最近寒くなったので着る物等も親切な住民から貰った」と話したそうです。
この記者の手助けも得て、この日本人は、日本へ帰国する手続き始めて、ようやく帰国する事に決定したとの事です。まず、地区の派出所へ行き証明書を貰い、その後福州市の出入管理局に行き、しかるべき手続きをしてから、上海の日本領事館に向かい上海から帰国する事になったそうです。中国は長期休暇中で領事館も休みだったので、休暇明けの今日8日に、この記者が親切にも領事館にも連絡をしてくれる事になったとの事。
貴州省の地元紙「貴州」都市報」等も8日に、この松本という人の写真入りで、かなりのスペースを割いて、この件を他の新聞記事から転載する形で報道をしています。
この男性は、もし市民から新聞社に連絡がなく、この記者が来なければ、このような野宿生活をこれからもずーっと続けるつもりだったのでしょうか、些か気になるところです。
6日の「貴陽晩報」によれば、湖北省武漢市から貴州省に観光に来ていた男性が貴陽市花渓地区で財布や携帯電話も紛失して、困り果てていたところ、その様子を見たある人が親切にも声を掛けて来たそうです。それで事情を話した所、家族にも連絡が出来て、その男性の口座に必要なお金を家族から振り込んで貰い、無事に武漢市へと帰る事が出来たそうです。
また、その武漢の男性によると、その親切な男性が牛肉粉(注:花渓名物の米で作った緬で、貴州では特に有名です)をご馳走してくれたそうで、財布もなくして食事も摂る事が出来なかった身には、その一杯の牛肉粉は、殊の外美味しく、格別な味がしたそうです。この男性が財布をなくした10月4日は、貴州は朝から雨で、最高気温も12,3度位でしたから、この温かい緬は特段に美味しく感じられたようで、その男性は、また貴州に是非行きたいと話しているそうです。武漢市へ帰った後、その人が、その親切にしてくれた花渓の人にお礼にとお金を渡そうとしたら当然の如くこの人はお金は受け取らなかったとの事。
同じく6日の「貴陽晩報」によれば、貴陽市住むある家族と友達一行は、10月2日朝寝台列車に乗り、北京市へ観光に出掛けたそうです。ところが、3日深夜に列車の中で枕元に置いてあった貴重品が入ったバックがなくなっている事を発見。そのバックの中には現金、銀行カード、身分証明書、デジカメ等が入っていたそうで、手持ちのお金は全部で百元ちょっとしかないこともあり、北京駅に列車が到着した後、そのまま列車に乗り北京を見物することなく、止む無く貴陽市へと引き返したとの事。