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日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

河北省で養育費を払えず農民が自殺

2013年12月12日 | 中国事情

2013年12月8日付けの新京報(電子版)に拠れば、河北省邯鄲市の或る農村で、12月4日に「社会養育費」を払えなかった農民が、村当局から養育費の強制的な取立てに遭い、それを苦にして農薬を飲んで自殺したとの事です。

この村で起きた事件の背景は、やや複雑のようで今回自殺した農民には、五人の子供が居たそうです。河北省の邯鄲市の一部の地域では、最初の子供が女の子の場合は、さらに二人目を産んでも良いとの事で、この人の場合も、最初の子供が女の子供であった事もあり、二人目を産んだようです。中国の農村部では今でも良く見られる現象ですが、この夫婦も男の子供が産まれるまで子供を産み、二人目も女の子供だったので、さらに三人目も産んだものの、矢張り女の子供だったので四人目、五人目と続けて産む事になり、最終的には、4女1男の子沢山となったようです。

2003年に、この夫婦に二人目が生まれた直後から、村の関係者は、この夫婦に対して一人っ子政策に違反したとして、7000元の「社会養育費」を一括して払うように要求したとの事。元々この夫婦は農業だけで生計を立ていたので、7000元もの大金を一括して払う事は到底不可能で、村当局からの請求には応じようにも、応じる事は出来なかったようです。この夫婦に三人目が生まれた後には、村当局は、今度は「社会養育費」として6万元を払うようにと、この夫婦に通告して来たそうです。

7000元の「社会養育費」でも払う事が出来ないのに、「社会養育費」が6万元に跳ね上がって、この夫婦にとっては、この額は、まさしく天文学的な数字で到底支払う事の出来ない事態となり、ずっと未納状態が長い間続いていたようです。

ところが、今年の12月3日に、この村の数人の幹部が、この夫婦の家に突然現れ、「社会養育費」が未納である事を理由に、この家の中に貯蔵してあった約7000斤のトウモロコシを全て持ち去ったとの事。この家の中に蓄えられていたトウモロコシは、この家族にとっては一年間の生活の糧であり、一年分の収入の源でもあったのに、このトウモロコシを全て持ち去られた事に絶望して、また、その事に憤慨して村幹部の家の前で12月4日に自殺したとの事です。

河北省での「社会養育費」徴収の規則では、一人っ子政策に違反した場合は、「二人目は、「郷」や「鎮」に居住する住民の年平均純収入の2.5倍の社会養育費を払うものとする」と定められているそうです。さらに三人目を産んだ場合は、その二人目に際して支払った金額の倍の額を払う、四人目は、さらに加算される等の規則が一応あるとの事。

今回事件で改めて、地域により「社会養育」徴収基準の不透明さや曖昧さが問題となったようです。また、人民日報河北省版(電子版)に拠れば、、この夫婦が一括払いが出来ない為に、村関係者が時々「社会養育」として200元、500元と取り立て徴収したものの、「社会養育」を徴収したという領収証等は出さなかったとの事で、改めて、その「社会養育費」の取り立て方やその使途の不透明さも問題となっているようです。

新華網(電子版)等でも、今回河北省で起きた事件を報じると共に、昨年度に「社会養育費」として徴収された約200億元の件についても報じています。12月10日付けの新華網(電子版)では、今回河北省で起きた事件を、訳が分らない社会養育費が人命を奪うと報じています。

 

 



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