中国貴州省とそこで暮らしている苗族トン族等の少数民族を紹介しています。

日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

左思著「三都賦」の中の蒟蒻

2016年06月18日 | 少数民族の食べ物

良く知られている様に、司馬遼太郎は、「街道をゆく」〈20〉中国・蜀と雲南のみち (朝日文庫)の「コンニャク問答」の中で、「コンニャク」について書いています。「西晋時代(256~316)に、左氏(?~308)というすぐれた詩人がいた。(中略)その代表作が『三都賦』である。」(p36) その『三都賦』の中の「蜀都賦」のなかに「コンニャク」という文字が出ているのである。」(p38)というように著書に中でコンニャクについて触れています。

私は、彼の他の著作は読んだ事は無いのですが、「この街道をゆく」のシリーズの「蜀と雲南の道」等は読んだ事があります。「左氏」(左思とも)が書いた「三都賦」と云う本は、例の「洛陽紙貴」と云う成語を生み出したとの事です。「賦」とは、現代漢語大辞典を引くと「古代の文体名で、韻文と散文の総合体」とあります。左思の書いたこの「三都賦」は、名文と云う事もあり、皆が競ってこの「三都賦」を書写した事で、紙の値段が高騰した事から、所謂「洛陽の紙価を高める」と云う成語が生まれたとの事ですが、無論私の様な人間には、この三都賦が名文かどうか等の良し悪しは、皆目分かりません。

今は便利な事に、ネットで検索をかけると、その左思の著作「三都賦」を閲覧する事ができます。三都とは、それぞれ魏、呉、蜀の三国の都を指すとの事です。その「蜀都赋」の中に「甘至自零,芬芬酷烈。其园则有蒟蒻茱萸,瓜畴芋区。甘蔗辛姜,阳蓲阴敷。」とあります。司馬遼太郎も述べていますが、この『三都賦』に注釈を施した本があり、それは「文選」と云う様で、その「卷四 赋乙」の中の「蜀都賦」で「蒟蒻」の注として「(113)蒟,蒟酱也。缘树而生,其子如桑椹,熟时正青,长二三寸,以蜜藏而食之,辛香,温调五(脏)〔藏〕。蒻,草也。其根名蒻头,大者如斗。其肌正白,可以灰汁,煮则凝成,可以苦酒淹食之。蜀人珍焉。茱萸,一名茶也,畴者,界埒小畔际也。杨雄《太玄经》曰:阳蓲万物。言阳气蓲」とあります。蒟蒻と云う物の形状、特徴も述べ、その蒟蒻の作り方や、食し方も書いてあります。「可以灰汁、煮則凝成、」とある様に灰(あく)で固めた様です。また、「蜀人珍焉」とあるように蜀の人は、蒟蒻を好んで食べた様です。

「百度百科」には、中国国内の中では、特に四川盆地が特に蒟蒻の産地として有名ともあります。魔芋は生では毒があり、そのままでは食べる事は出来ないそうです。一説では四川の道士が、蒟蒻の製法を編み出したと云う様な説もある様です。また、一説に拠れば、中国では、この「三都賦」と云う本が「蒟蒻」と云う言葉が出て来る最も古い文献との事。

 

貴州省从江県の農貿市場で見かけたコンニャク芋。幾らかは聞かないで仕舞いましたが。農貿市場では、魔于を売っているのを良く見かけます。

 

 

貴州省犂平県の某トン族の村で見た魔芋作りの光景。

 

未だ完全には固まっていない魔芋。灰汁(あく)で固める様です。

 

色々な色の魔芋を見ますが、これは灰汁の違いに原因があるのかも知れません。

 

こちらは雲南省大理の農貿市場で見た魔芋

 

色々な形の蒟蒻があります。

 

 

左思著「三都賦」とライチ(妃子笑)と楊貴妃

いろいろな蒟蒻(魔芋)の食べ方



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