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日本人には余り馴染みのない中国貴州省と、今私が一時滞在中の雲南省や大理白族自治州大理古城について

11日付東京新聞(電子版)の四川省地震の記事は変

2017年08月15日 | 日本と中国

2017年8月11日付の東京新聞(電子版)は、「四川省地震対応急ぐ 習氏、被害拡大防止を指示」との大見出しで8日に起きた四川省地震に対する中国共産党の対応について、署名入りで記事を載せています。その記事の中では、「地震は八日午後九時二十分ごろに発生。国営新華社通信は九日未明、習氏が「観光客や負傷者を安全な場所に移し、生命と財産を守れ」と指示したと伝え、素早い対応をアピールした。」とあります。また、「被災者救助の対応を誤れば習指導部が批判にさらされかねず、先手を打ったようだ。」ともあります。

しかし、中共中央総書記、国家主席、中央軍委会主席習近平の名で出される、この様な指示は今回に限った事ではなく、大規模地震や水害等規模の大きい自然災害や大事故が起きた時には、良く出される指示の様です。

例えば、2014年8月3日に雲南省昭通市魯甸県で震度6の地震か起きた際には、 「地震发生后,中共中央总书记、国家主席、中央军委主席习近平高度重视,立即作出重要指示,」とあります。つまり地震発生後、「習近平氏は、今回の災害を大変重くみ、すぐさま重要な指示を出した。」とあり、これは云わば定型化された決まり文句の様なもので、今回の様な大地震や大災害が起きた時に、良く出される指示の一つなのです。

2014年8月3日に出された指示の場合には、その後「要求当前把救人放在第一位,努力减少人员伤亡,妥善做好群众安置工作。」とあります。つまり「当面は人命の救助を第一にして、負傷者や死亡者の数を減らす様に努力をし、被災者を安全な場所へ移動させる事」。その後には更に「関係する部門は、被災状況を十分に把握して、組織的に被災者を避難させ、組織の全力を上げて救助活動をせよ」とあります。 

また、2015年8月13日に天津市で起きた薬品倉庫大爆発の際には、「事故发生后,党中央、国务院高度重视。中共中央总书记、国家主席、中央军委主席习近平立即作出重要指示,要求天津市组织强有力力量,全力救治伤员,搜救失踪人员云々」とあります。

雲南省の地震や天津市の大事故の際にも、事故が起きた後「高度重视、中共中央总书记、国家主席、中央军委主席习近平立即作出重要指示」とあり、地震や大災害が起きた直後に、この様な重要な指示が出されるのは、別に今回に限った事ではないのです。その後に続く具体的な指示については、事故の状況に拠り、若干の違いはありますが大同小異と云えます。天津市の場合は、具体的な指示については「天津市の関係部局は、持てる組織力を上げ 負傷者の治療と行方不明者の救助に全力を尽くせ云々」と続きます。

今回の四川省の地震に際し、出された指示は、新華社に拠れば「新华社9日消息,地震发生后,中共中央总书记、国家主席、中央军委主席习金近平高度重视,立即作出重要指示,要求抓紧了解核实九寨沟7.0级地震灾情,迅速组织力量救灾,全力以赴抢救伤员,疏散安置好游客和受灾群众,最大限度减少人员伤亡」とあります。

東京新聞の記者は、この新華社の記事を元に、あれこれと自分なりに解釈を施した様ですが、今回の四川省の地震に際に出された指示も、以前出された指示と同じ様な物で、具体的な指示の内容には違いがありますが、今回に限って出された特別の指示ではないのです。

東京新聞の記事を読むと、今回の地震が起きた事で、今回は、特別にこの様な指示が出され、素早い対応をアピールしたとありますが、この様な対応は、別に特別な事でなく過去の災害の際にも、良く出される指示で、よくある事なのです。この記者の言い分を借りれば、大災害の際には、習近平は、何時も素早い対応をアピールしている事になり、そして何時も先手を打つ事になります。

この東京新聞の記者の云わんとする事は、理解出来ますが、余にも自分の中にある脈絡と都合に合わせた解釈で決して正確とは云えないと思います。この記者は成都で、この記事を書いた様ですが、どうせなら現地迄行ってもっと別な記事を書いたらと思います。この様な記事は北京いても、上海にいてもかける記事です。

 この様な指示が出される際には、必ず中共中央总书记、国家主席、中央军委主席习金近平との肩書で出されますが、この指示は恐らく党中央弁公庁が出したと思われ、別に習近平が直々に出したものではないと思います。因みに現在の党中央の弁公庁の主任は栗戦書ですが、一部では今年の秋の党大会には政治局常務委員に昇格するかもしれないとも云われている人物です。

 

 



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