今日は最初と最後にカトリーナについて少し書いておきたいんだけど、スパイク・リー監督のドキュメンタリー『防波堤が崩れたとき』のプレミアが16日にニューオーリンズで開かれ、昨年8月に発生したハリケーンをテーマにしたこの作品は今月21・22の両日にHBOで放送される。このドキュメンタリー、全体で4時間近くあるらしく、それで2晩に分けて放送するらしいんだけど、アメリカ在住でHBOをお持ちの方は要チェックです。スパイク・リー監督は4年前にもNFLの伝説的選手ジム・ブラウンをテーマにしたドキュメンタリーをHBOで制作している。HBOって映画やドラマのイメージが強い局だけど、ここのドキュメンタリーはなかなか秀作が揃っているので、いつかこのブログでも紹介したいです。さて、今日はワシントンポスト紙の記事から、ワシントン周辺の移民人口が100万人を突破したというニュースを。
15日に発表される最新の人口調査で、ワシントンDC周辺の移民人口が100万人を突破したことが明らかになった。2005年に実施された今回の調査では、ワシントン周辺の住民の5人に1人が移民となっており、6年前の調査ではこの比率が6人に1人となっていた。また、ワシントン周辺に住む移民が、他のアメリカの都市に住む移民と比較した際に、最も学歴が高いというデータも出ている。ブルッキングス研究所のウイリアム・フレイ氏によると、移民人口が100万人を突破した町はワシントンの他に7つあり、ニューヨーク、ロサンゼルス、マイアミ、シカゴ、サンフランシスコ、ヒューストン、そしてダラスとなっている。同じくブルッキングス研究所のオードリー・シンガー氏はワシントンポスト紙の取材に対し、「これだけの増加は、移民にとってワシントンが魅力的な町であることを意味しているのです」と語っている。
1990年と比較して、ワシントン周辺の人口は約25パーセント増加したが、移民人口は2倍の増加を見せている。移民推進派は、実際の増加率はもっと高いだろうと主張している。通常、移民の多い街では中心的存在となるエスニック・グループが存在するが、ワシントン周辺に限ってはその定説が通じない。ワシントン周辺の移民のほとんどは3つの郡で暮らしており、フェアファックス郡にはアジア出身者、モントゴメリー郡にはラテンアメリカ出身者、そしてプリンス・ジョージ郡には多くのアフリカ・カリブ諸国出身者が暮らしている。また、全体的に高学歴の移民が多いのも特徴で、全体の約40パーセントが少なくとも大学を卒業している(全国平均で見た場合、大学を卒業した移民は30パーセント以下となっている)。ダレス国際空港があるロウドン郡はハイテク産業のオフィスが多いことでも知られているが、そこに住む移民の51パーセントが大学もしくは大学院を卒業しており、その多くはインドからやってきた移民たちだ。
まさに移民ブームともいえる状況だが、決して問題が無いわけではない。ワシントン周辺で英語があまり話せない移民は、全国平均よりも少ないが、それでも約40パーセントが英語でのコミュニケーションを困難と感じているようだ。ワシントン周辺では約510万人が生活しているが、そのうちの約1割が英語をうまく話せない移民となっている。ヒスパニック系移民が急増したプリンス・ウイリアム郡では、「英語をうまく話せない」と答えた移民が全体の54パーセントに達しており、2000年の調査結果から12ポイントも上昇している。プリンス・ウイリアム郡の公立学校では以前から英語をうまく話せない児童に対して特別プログラムを提供してきたが、このプログラムに参加した児童の数は、過去5年間で274パーセントも増加している。
テキサス州ヒューストンは全米でもっとも多くのカトリーナ被災者を受け入れている町で、今も約15万人が暮らしているんだけど、この1年の間に殺人事件の発生件数が約20パーセントも増加していたらしい。AP通信によると、約12ヶ月間にヒューストン市内では232件の殺人事件が発生していて、そのうちの約21パーセントでカトリーナ被災者が関与していたんだとか(容疑者と被害者の両方のケースで)。ニューオーリンズ滞在時に似たような話を聞いた事があったんだけど、ニューオーリンズのギャングがヒューストンで地元のギャングと抗争状態になっているらしく、ギャング絡みの犯罪も少なくないらしい。ニューオーリンズ近郊のスライデルという町はリー・ハーベイ・オズワルドの誕生地でもあるけど、人口3万人ほどの小さな町で、殺人事件が起きない年の方が多い典型的なアメリカの田舎町だ。でも、今年に入って市内では4人が殺されていて、全ての事件にニューオーリンズからやってきた被災者が関わっていたらしい。多くの被災者は犯罪とは無縁な人達だけに、こういった事件が続くことで、悪い評判だけがクローズアップされるのだけは避けてほしいんだけどなぁ…。
写真:11日にロサンゼルスで新作ドキュメンタリーのプロモーションに登場したスパイク・リー監督 (ロイター通信より)
15日に発表される最新の人口調査で、ワシントンDC周辺の移民人口が100万人を突破したことが明らかになった。2005年に実施された今回の調査では、ワシントン周辺の住民の5人に1人が移民となっており、6年前の調査ではこの比率が6人に1人となっていた。また、ワシントン周辺に住む移民が、他のアメリカの都市に住む移民と比較した際に、最も学歴が高いというデータも出ている。ブルッキングス研究所のウイリアム・フレイ氏によると、移民人口が100万人を突破した町はワシントンの他に7つあり、ニューヨーク、ロサンゼルス、マイアミ、シカゴ、サンフランシスコ、ヒューストン、そしてダラスとなっている。同じくブルッキングス研究所のオードリー・シンガー氏はワシントンポスト紙の取材に対し、「これだけの増加は、移民にとってワシントンが魅力的な町であることを意味しているのです」と語っている。
1990年と比較して、ワシントン周辺の人口は約25パーセント増加したが、移民人口は2倍の増加を見せている。移民推進派は、実際の増加率はもっと高いだろうと主張している。通常、移民の多い街では中心的存在となるエスニック・グループが存在するが、ワシントン周辺に限ってはその定説が通じない。ワシントン周辺の移民のほとんどは3つの郡で暮らしており、フェアファックス郡にはアジア出身者、モントゴメリー郡にはラテンアメリカ出身者、そしてプリンス・ジョージ郡には多くのアフリカ・カリブ諸国出身者が暮らしている。また、全体的に高学歴の移民が多いのも特徴で、全体の約40パーセントが少なくとも大学を卒業している(全国平均で見た場合、大学を卒業した移民は30パーセント以下となっている)。ダレス国際空港があるロウドン郡はハイテク産業のオフィスが多いことでも知られているが、そこに住む移民の51パーセントが大学もしくは大学院を卒業しており、その多くはインドからやってきた移民たちだ。
まさに移民ブームともいえる状況だが、決して問題が無いわけではない。ワシントン周辺で英語があまり話せない移民は、全国平均よりも少ないが、それでも約40パーセントが英語でのコミュニケーションを困難と感じているようだ。ワシントン周辺では約510万人が生活しているが、そのうちの約1割が英語をうまく話せない移民となっている。ヒスパニック系移民が急増したプリンス・ウイリアム郡では、「英語をうまく話せない」と答えた移民が全体の54パーセントに達しており、2000年の調査結果から12ポイントも上昇している。プリンス・ウイリアム郡の公立学校では以前から英語をうまく話せない児童に対して特別プログラムを提供してきたが、このプログラムに参加した児童の数は、過去5年間で274パーセントも増加している。
テキサス州ヒューストンは全米でもっとも多くのカトリーナ被災者を受け入れている町で、今も約15万人が暮らしているんだけど、この1年の間に殺人事件の発生件数が約20パーセントも増加していたらしい。AP通信によると、約12ヶ月間にヒューストン市内では232件の殺人事件が発生していて、そのうちの約21パーセントでカトリーナ被災者が関与していたんだとか(容疑者と被害者の両方のケースで)。ニューオーリンズ滞在時に似たような話を聞いた事があったんだけど、ニューオーリンズのギャングがヒューストンで地元のギャングと抗争状態になっているらしく、ギャング絡みの犯罪も少なくないらしい。ニューオーリンズ近郊のスライデルという町はリー・ハーベイ・オズワルドの誕生地でもあるけど、人口3万人ほどの小さな町で、殺人事件が起きない年の方が多い典型的なアメリカの田舎町だ。でも、今年に入って市内では4人が殺されていて、全ての事件にニューオーリンズからやってきた被災者が関わっていたらしい。多くの被災者は犯罪とは無縁な人達だけに、こういった事件が続くことで、悪い評判だけがクローズアップされるのだけは避けてほしいんだけどなぁ…。
写真:11日にロサンゼルスで新作ドキュメンタリーのプロモーションに登場したスパイク・リー監督 (ロイター通信より)