IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

ホワイトクリスマス

2004-12-23 16:07:13 | ニュース
今日の朝は自宅でインタビュー用の質問作りをしていたのだが、自宅アパート1階のオフィスから「荷物が届きましたよ」との連絡があり、取りに行ってみると日本から送られてきた重たい箱が1つ。送り主の名前を見て、日本でお世話になっている方からの贈り物だと分ったのだが、箱を開けてみてビックリ。調理用ダシとそうめんつゆがビンで1ダース入っていたのだ。以前からワシントンではなかなか日本の食材が手に入らない(郊外まで車で出れば、別なんだけど、ボストンやニューヨークのように市内の便利な場所にはないのだ)と愚痴をこぼし続けていた僕にとってはサイコーのクリスマスプレゼントとなった(ホンマにありがとうごうざいました)。

この1週間ほど、取材等の忙しさを言い訳にして、外食やテイクアウトの食生活が続いていたのだが、同時に将来的なマイケル・ムーア的体系への変貌の可能性にも危機感を抱いていたのだ。『スパーサイズ・ミー』という映画が日本とアメリカの両方で公開されたが、この映画を見た僕やアメリカ人の友人らは「バカだな~」と映画を笑い飛ばしつつも、目だけは決して笑っていなかった。アルカイダや北朝鮮の弾道ミサイルなんかよりも、カロリーとコレステロールの方がアメリカに住む者にとっての「今そこにある危機」だからだ。アメリカ的生活に100パーセント溶け込んでいない証拠なのだろうか、僕はまだ非アメリカ人的体系を維持しているが、自宅近くのファーストフード店の前を通ると常に数人の曙太郎予備軍が美味しそうにハンバーガーを頬張っている。気をつけないと…。

ワシントンは少し暖かくなったが、今度は別の場所が寒さにやられているようだ。中西部を中心に水曜日早朝からふりだした大雪の影響で、クリスマス前の帰省客や旅行客の交通にすでに影響が見られ始めている。子供達はホワイトクリスマスが現時にやってきた事に大喜びだが、この雪を素直に喜べない人も少なくない。テキサス州保安局によれば、水曜日朝からの雪と路面の凍結により、テキサス西部の8つの郡ではすでに17件の交通事故が報告されており、どれもがドライバーが滑りやすくなった路面に対処できていなかったの原因のようだ。

普段はこの季節も比較的暖かいとされるテキサスやニューメキシコ州で降り始めた大雪の影響で、今朝の同地域の気温はマイナス5度近くにまで下がり、明日はさらに気温が低下すると予想されている。テキサス州にあるダラス・フォートワース空港では大雪のためにフライトのキャンセルや遅れが続々と出始め、全米の空港では南部や中西部からのフライトの到着が平均で2時間ほど遅れている状態だ。アーカンソー、オクラホマ、テネシーでも今朝の大雪による死亡事故が報告されており、これから大雪を伴った寒波が北上してくる模様だ。

本来、南部や中西部でのホワイトクリスマスは極めて珍しいもので、アーカンソーの一部では過去120年間で僅かに8回しか降雪が記録されていない。現在、平均で25センチほどの積雪となっているが、明日以降の天気によってはホワイトクリスマスどころではなくなる可能性もある。僕はワシントンからでないと思うが、確かに旅行者にとっては厄介な天気ではあるようだ。

火曜日にアメリカ国内の最高気温を記録したのがテキサス州のマクアレンという町で、なんと夏かと間違えるほどの28度を記録したらしいが、一夜明けた今日のテキサスの気温がマイナス5度。気温差が実に33度で、さすがに人間の体温調節の限界を超えているような気がする。地元の子供達はホワイトクリスマスに大喜びだそうだが、どうか風邪だけはひかないように。経験者からのアドバイスです。

クリスマス前の火曜日、全米にある125の都市では路上で死亡したホームレスを偲ぶ追悼集会が開催された。これはワシントンにある全米ホームレス協会が各自治体に働きかけてきたもので、これまでに路上で亡くなったホームレスの人々を決して忘れないために、クリスマス前に各地で追悼集会を行うというものだ。記念日とはいっても、祝日のように学校や企業等が休みになるわけではないが、ホームレス協会の考えに賛同した125の都市ではホームレス追悼記念日を制定し、これらの場所ではキャンドルサービスなどが実施された。

全米のホームレスは約350万人とされ、今年だけで3000人以上が死亡していると見られている。死亡原因として一番多いのが自然死で、殺人、自殺、凍死がそれに続く。全米ホームレス協会は1990年からこの記念日追悼記念日の制定を各自治体に求めており、その数は年々増加している。日本がアメリカから学ばなくていいことはたくさんあるが、こういったホームレスを社会的に認知させる活動は真似てもいいんじゃないかと思う。立場の弱い路上生活者が頻繁に襲われる日本だからこそ、こういう啓蒙活動は必要かと思うのだが。

ペンシルバニア州フィラデルフィアでは今年亡くなった33人のホームレスを偲ぶキャンドルサービスが市庁舎前で行われ、ワイオミング州シャイアンでは州庁舎で行われた追悼式典に知事が出席し、亡くなったホームレスの冥福を祈った。79人のホームレスがなくなったメリーランド州ボルチモアや、オハイオ州シンシナティでも集会は行われている。多くの追悼集会は火曜日夜に行われたが、同じ頃ハワイでも集会が行われ、ホノルル市内の高校生らが集めた歯ブラシやトイレットペーパー、ペットボトルの水などが、ホームレスに配られたそうだ。

明日は午前中に仕事をすませて、なんとか午後からスーパーなどに買出しに行こうと思っている。25日にはほぼ全ての商店が閉まってしまうため、日用品や食料は24日の夕方までに買っておかなくてはダメなのだ。25日には友達と遊びに出かける約束をしていたが、仕事が急に入ってこないことを切に願う。

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