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被曝線量調査と福島県の関係機関

2012-07-20 18:11:04 | 様々な話題
東京電力の福島第一原発事故に関し、独立行政法人の放射線医学総合研究所(放医研)が昨年4月、ネットを通じて被曝線量を推計する「住民線量評価Webサイト」(仮称)で、福島県民が事故後の行動記録を入力すると、線量の推計値が画面上に表示されるシステムを考案。
被曝住民の記憶が鮮明な内に、効率的に事故後の行動を把握する為に有効として、開発費用の約1000万円は文科省の事故対策補助金で賄われ、システムは翌5月にほぼ完成した。

放医研はネット調査システムの導入に関して、5月22日に福島県田村市で説明会を予定していた。が、である。県医師会幹部が「何の為にこの時期に遣るのか。慎重にすべきだ」と、県保健福祉部の幹部も「住民の不安を煽る様な説明会は遠慮願いたい」と反発した為、結局、放医研は「県側の意向で断念せざるを得なかった」と、線量調査は書面のみで実施し、昨年6月末から問診票が県民に配布されたが、回収率は今年5月末時点で22.6%に留まっていると言う。

ネット調査システム云々は昨年5月の話なのだが、現在もシステムの稼働には至っていない。
被曝線量に関する話では、弘前大の被曝医療総合研究所の床次眞司教授らは昨年4月12~16日、放射線量が高く、計画的避難区域に指定された浪江町津島地区に残っていた17人と、南相馬市から福島市に避難していた45人の計62人に付いて、住民や自治体の了解を得ながら甲状腺内の放射性ヨウ素131を測定。

しかし、である。県地域医療課から「環境の数値を測るのは良いが、人を測るのは不安を掻き立てるから止めて欲しい」と要請されたと言う。
県の担当者は「当時、各方面から調査が入り、不安を煽るとの苦情も有った。各研究機関に、慎重にと要請しており、弘前大もその一つだと思う」と説明している。
ネット調査システムと放射線量の調査に共通するのは、何れも県の機関からの要請や抗議に依って、本来の目的が達成されていないと言う事。

福島県は、放射性物質の拡散分布を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」(SPEEDI)の情報を迅速に公表しなかった為、住民の避難に役立たなかったとして、国や関係機関を批判しているのだが、こんな事では二枚舌としか言い様が無いだろう。
この様な問題が発覚すると、住民の不安を煽ると言う言葉を多用しているのだが、臭い物に蓋をせず、真実を知る事が大事なのである。

当ブログのエントリ、福島原発の半径20キロは人も家畜も住めないにも書いたのだが、住民の中には、厳しい事実を突き付けられ、夢が云々等と発言している人も居るが、現実逃避して事実から目を背けていても仕方が無い。
都合が悪い事実を隠したら、事態が好転する訳でも無いのだから、正しい情報を遮断せず、真実と向き合う事が大事なのである。
国や行政機関は、都合が悪い事実を隠蔽しようとするのだが、住民も厳しい現実から逃げてはならない。

米GE社の原発設計者であるデイル・ブライデンボーは、「原発で深刻な事態が発生した場合は、絶対に体制側の言葉を信じてはいけない。どの国であれ、原発事故は国家的羞恥であるから、真実を公にする事など0%に近い。だから、市民が独自に客観的情報を集め、彼らの目の前に突き付けなければならない。そう言う行動が無いと大損するのは、我々市民なのだ。」と述べているが、結局、現実を知らずに困るのは、我々国民なのである。では。

【ネッタイムス・東坊京門・作】