公的資金とゼロ金利でバブル後の破綻を乗り切った?金融機関は、いま空前の利益を上げている。バブル崩壊から現在まで続くゼロ金利政策によって庶民の懐から銀行へ所得移転された金額は300兆円をゆうに上回っている。にもかかわらず、預金金利は限りなくゼロ近くに張り付いたままだ。
庶民のなけなしの貯蓄にはゼロ金利のムチ(鞭)がはいり続け、金融機関(銀行・証券・保険・金貸し)は庶民のムチ(無知)につけ込む。
そして、声をあわせて“貯蓄から投資へ”と誘う。庶民のなけなしをリスクマネーに誘い込むことで、金融機関やプロの投資家にとっての利益最大化をねらうとしか思えない。
いったい金融とは何だ?…。かつては産業の潤滑油といわれた「金融」だが、いまやバブルマネー(グローバル投機資本)と一体化。IT(情報技術)を駆使し、FT(金融技術)という錬金術により、人々が汗して働くことによって支える“実体経済”という屋台骨をむさぼり、飲み込む勢いだ。言い換えれば、米国追従の規制緩和(金融・会社法制)が促進する“経済の金融化”。これが「グローバル化」の本体だ。ガソリン石油・穀物、食料の相次ぐ値上げも、投機マネーの蠢き次第…。
世界は「帝国化」・「金融化」・「二極化」し、「1国単位ではもう何も見えない!」 「1995年から、大航海時代にも匹敵する『世界経済システムの変革』が始まった」という声が、そんな金融界の真ん中から聞こえる。声の主は、三菱UFJ証券チーフエコノミスト水野和夫さん。
『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』
水野和夫著/日本経済新聞出版社/2007.3/2200円
もくじ
第1章 覆される戦後経済の常識 分水嶺となった1995年
第2章 重層的に二極化する世界経済 再来する帝国の時代
第3章 長期循環の「超」長期化と短期循環の「超」短期化 不安定さ増す世界経済
第4章 「大きな物語」の終わりと「バブルの物語」の始まり ストックがフローを振り回す時代
第5章 資本の反革命における2つの選択 成長か定常状態か
そのようなグローバル化の結果、なにが起きつつあるのか。ここへきてはっきりしたことは、一億総中流といわれたこの国の庶民(若者・老人・非正規・正規)を、次々と貧困化の坂を転げ落とす仕組みがつくられたこと。それは小泉政権以来の新自由主義路線をみれば一目瞭然。…規制緩和(労働法制)がもたらす《労働者の奴隷化》と《人権無用の負担の付け替え=“役立たず”(弱者)の切り捨て》という格差拡大政策であった。
自殺者年間3万人といっている間にも、文字通りの餓死者が年間100人を突破する勢いといわれる信じがたいこの国の現実。おにぎりが食べたいと言い残した餓死者の近所にもコンビニはある。そう、コンビニでは毎日おにぎりを廃棄処分しているのだ。
こんな歪んだ格差社会の現状と問題点を掘り起こし、流れを変えていこうという実践的な取り組みや提言をまとめるのはご存じ社民党党首の福島みずほさん。本書では、このほかひとりでも入れる非正規労働者運動から“連合”の会長選をあらそった鴨桃代さん、タクシーの規制緩和とたたかう待鳥康博さんとの対談を収録するほか、資料として労働関係法制の流れを掲載。
『格差社会を変える-あたりまえに働きたい!安心して暮らしたい!』
福島みずほ著/明石書店/2007.12/1200円
目 次
まえがき
1.社会から格差をなくすために
はじめに
1 格差は隅々にまで広がっている
2 格差はなぜ生じたのか
地域格差―地域から、鉄道が、病院が、学校が、郵便局が消えていく
所得格差―富める者はますます豊かに、そうでない者は……
福祉格差―「自立支援」という名の弱者切り捨て
健康格差―医療の沙汰も金次第
教育格差―親の財布の中身で教育の機会が決められる
3 格差を是正するために
税制を変える
働くための法律を変える
●わたしが提案する解決策
1.正社員化への道をつくる
2.均等待遇の実現
3.パート派遣・契約労働者とフルタイム労働者との間の非差別原則の実現
4.労働者派遣法の改正
5.有期契約の規制
6.割増賃金のアップ
7.残業の規制
8.最低賃金の引き上げ
2.チャレンジすらできない労働構造―非正規雇用の現実(鴨桃代×福島みずほ)
「やりがい」という名の過剰労働
変わらない「フルタイムのパート」という矛盾
「社員その二」と呼ばれて
仕事の現場で、「できること」の積み上げを
どこの家にも非正規労働者がいる
労使関係をごまかす偽装請負
生活する権利を踏みにじる非正規労働
「もの言わぬ人」を強いる仕組みをどうするか
自分を大切に生きるための知識を伝えたい
〈コラム〉若者就労支援の現場から(綿引幸代)
3.仕事への誇りも安全も奪う規制緩和―タクシードライバーの現実(待鳥康博×福島みずほ)
始まりは規制緩和
過剰労働を生む基盤がつくられている
仕事への誇りも安全も奪う規制緩和
決して諦めない。それが、流れを変えていく
格差社会の構造が隅々にまで広がっている
資料 労働関係法制の流れ
(練金術師)
庶民のなけなしの貯蓄にはゼロ金利のムチ(鞭)がはいり続け、金融機関(銀行・証券・保険・金貸し)は庶民のムチ(無知)につけ込む。
そして、声をあわせて“貯蓄から投資へ”と誘う。庶民のなけなしをリスクマネーに誘い込むことで、金融機関やプロの投資家にとっての利益最大化をねらうとしか思えない。
いったい金融とは何だ?…。かつては産業の潤滑油といわれた「金融」だが、いまやバブルマネー(グローバル投機資本)と一体化。IT(情報技術)を駆使し、FT(金融技術)という錬金術により、人々が汗して働くことによって支える“実体経済”という屋台骨をむさぼり、飲み込む勢いだ。言い換えれば、米国追従の規制緩和(金融・会社法制)が促進する“経済の金融化”。これが「グローバル化」の本体だ。ガソリン石油・穀物、食料の相次ぐ値上げも、投機マネーの蠢き次第…。
世界は「帝国化」・「金融化」・「二極化」し、「1国単位ではもう何も見えない!」 「1995年から、大航海時代にも匹敵する『世界経済システムの変革』が始まった」という声が、そんな金融界の真ん中から聞こえる。声の主は、三菱UFJ証券チーフエコノミスト水野和夫さん。
『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』
水野和夫著/日本経済新聞出版社/2007.3/2200円
もくじ
第1章 覆される戦後経済の常識 分水嶺となった1995年
第2章 重層的に二極化する世界経済 再来する帝国の時代
第3章 長期循環の「超」長期化と短期循環の「超」短期化 不安定さ増す世界経済
第4章 「大きな物語」の終わりと「バブルの物語」の始まり ストックがフローを振り回す時代
第5章 資本の反革命における2つの選択 成長か定常状態か
そのようなグローバル化の結果、なにが起きつつあるのか。ここへきてはっきりしたことは、一億総中流といわれたこの国の庶民(若者・老人・非正規・正規)を、次々と貧困化の坂を転げ落とす仕組みがつくられたこと。それは小泉政権以来の新自由主義路線をみれば一目瞭然。…規制緩和(労働法制)がもたらす《労働者の奴隷化》と《人権無用の負担の付け替え=“役立たず”(弱者)の切り捨て》という格差拡大政策であった。
自殺者年間3万人といっている間にも、文字通りの餓死者が年間100人を突破する勢いといわれる信じがたいこの国の現実。おにぎりが食べたいと言い残した餓死者の近所にもコンビニはある。そう、コンビニでは毎日おにぎりを廃棄処分しているのだ。
こんな歪んだ格差社会の現状と問題点を掘り起こし、流れを変えていこうという実践的な取り組みや提言をまとめるのはご存じ社民党党首の福島みずほさん。本書では、このほかひとりでも入れる非正規労働者運動から“連合”の会長選をあらそった鴨桃代さん、タクシーの規制緩和とたたかう待鳥康博さんとの対談を収録するほか、資料として労働関係法制の流れを掲載。
『格差社会を変える-あたりまえに働きたい!安心して暮らしたい!』
福島みずほ著/明石書店/2007.12/1200円
目 次
まえがき
1.社会から格差をなくすために
はじめに
1 格差は隅々にまで広がっている
2 格差はなぜ生じたのか
地域格差―地域から、鉄道が、病院が、学校が、郵便局が消えていく
所得格差―富める者はますます豊かに、そうでない者は……
福祉格差―「自立支援」という名の弱者切り捨て
健康格差―医療の沙汰も金次第
教育格差―親の財布の中身で教育の機会が決められる
3 格差を是正するために
税制を変える
働くための法律を変える
●わたしが提案する解決策
1.正社員化への道をつくる
2.均等待遇の実現
3.パート派遣・契約労働者とフルタイム労働者との間の非差別原則の実現
4.労働者派遣法の改正
5.有期契約の規制
6.割増賃金のアップ
7.残業の規制
8.最低賃金の引き上げ
2.チャレンジすらできない労働構造―非正規雇用の現実(鴨桃代×福島みずほ)
「やりがい」という名の過剰労働
変わらない「フルタイムのパート」という矛盾
「社員その二」と呼ばれて
仕事の現場で、「できること」の積み上げを
どこの家にも非正規労働者がいる
労使関係をごまかす偽装請負
生活する権利を踏みにじる非正規労働
「もの言わぬ人」を強いる仕組みをどうするか
自分を大切に生きるための知識を伝えたい
〈コラム〉若者就労支援の現場から(綿引幸代)
3.仕事への誇りも安全も奪う規制緩和―タクシードライバーの現実(待鳥康博×福島みずほ)
始まりは規制緩和
過剰労働を生む基盤がつくられている
仕事への誇りも安全も奪う規制緩和
決して諦めない。それが、流れを変えていく
格差社会の構造が隅々にまで広がっている
資料 労働関係法制の流れ
(練金術師)