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音の世界

「ノリのいい音楽」をテーマに、CDやライブの感想を綴ります。

ファヴェーラの丘

2008-05-03 01:05:19 | ブラジル


東京都写真美術館で公開中の「ファヴェーラの丘(Favela Rising)」。
暴力がはびこるブラジルのファベーラ(貧民街)の若者達に
音楽で希望を与えようと奮闘するアンデルソン・サーの
文化グループ「アフロレゲエ」の活躍を描くドキュメンタリーだ。

リオの貧民街の環境は劣悪だ。ファベーラの若者は
麻薬ギャングになるしか衣食を確保するすべがなく、
14歳~25歳の間に相当数が殺されてしまう。
元麻薬売人のアンデルソンの仲間も半数以上が死んでいる。

また、暴力を生みだす要因はギャングだけではない。
リオ市警のファベーラ担当部署の腐敗はすさまじく、
一般住民にも容赦なく銃を向けるばかりか
自ら麻薬取引を行い巨額の富を得ているという。

アンデルソンの弟は警察に殺された。
1993年に起こった警官殺害事件の「報復」として、
警察がファベーラの住民に無差別発砲したためだ。
キリスト像に代わりリオの絵葉書のモチーフになった(!)
という犠牲者の死屍累々をカメラは容赦なく映しだす。

暴力の連鎖はとめられないのか?

考えぬいたアンデルソンは、暴力に対抗できるのは
「音楽(=文化)」だと気づき、パーカッショングループ
「アフロレゲエ(原音は”アフロヘギ”)」を結成する。
以前は若者の組織活動といえばギャングだけだったのが
アフロヘギの登場により音楽という別の選択肢が与えられ、
ファベーラの若者にも希望が生まれたわけだ。

(ここから辛口)
とまあ、アフロヘギがいかに社会的意義のある活動を
行っているかがよくわかるいい映画なのだが、
音楽ドキュメンタリーとしては撮影者に疑問を感じた。

正直な感想をいうと、演出過剰だと思う。
事件現場の凄惨なシーンにBGMを入れたり
わざと色調を変えたりするのはいかがなものか?
ヘンな脚色なしでも、素材だけで主旨は十分伝わるのに。

そして何よりも、肝心のアフロヘギの
音楽性に迫ろうという姿勢が感じられない。
躍動感ある彼らのダンスをわざわざ早回しして
プロモーションビデオ風にしてみたり、
ライブ映像に別録りの歌やBGMをかぶせたり。
小細工せずに生音をそのまま聞かせてほしい。

何万もの観衆が熱狂するさまを観るかぎり
彼らの真骨頂はライブパフォーマンスだと思われるのに、
よりにもよってライブ映像を口パクに加工するなんて!
かのマルコス・スザーノさんの、ファベーラでの
パーカッションワークショップも一瞬映っただけだ。

この題材なら、音楽が映像の添え物ではいけないだろう。
勇壮なバテリアが奏でるタイコの生音を丁寧に拾って、
アフロへギの魅力をきちんと伝えてほしかった。

彼らの音楽スタイルは何なのか
(サンバヘギ+バイリファンキという感じ?)、
何を歌っているのか、どんな練習を重ねているのか、
暴力に対抗する音楽とはどういうものなのか・・
残念ながら、こうした問いに映画は答えてくれない。
アンデルソンのカリスマ性や正義感にスポットをあてるあまり、
音楽の持つ力が粗末に扱われていまいか。

この映画、非常に訴求力があり決して観て損はないと思うが
願わくばNHKのドキュメンタリーで見たかったなあ。

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珈琲と雑貨と音楽と

2008-03-13 00:23:55 | ブラジル
【珈琲と雑貨と音楽と―鎌倉のカフェから“好き”をかたちに】

鎌倉のカフェ"dimanche"のオーナー、堀内隆志さんによるエッセイ。
先日ハマったブラジリアンソウルのコンピレーションCD・
"Terca"は同タイトルのクラブイベントから生まれたそうだが、
イベントの主宰が堀内さんで、その方面では有名な方だという。

超有名だというカフェ・ディモンシュに行ったことすらないが、
ボサノバ好きの同僚が堀内さんのエッセイを貸してくれた。
コンピの選曲を手がけていたのでてっきり音楽畑の方だと
思っていたが、もともと堀内さんはカフェオーナーだったのだ!
(無知すぎて情けない)驚きとともに、興味深く読ませて頂いた。

このエッセイが面白い。平易な文章と洒落た写真が
タイトルどおり堀内さんの”好き”を雄弁に語る。

一読して「スゴイ人はこだわりがスゴイ」と思った。
「好き」から始めて商売にしてしまう情熱は並大抵ではない。
当然ながら、生半可なこだわりでは絶対に無理だ。

コーヒー豆へのこだわり、器具へのこだわり、
砂糖ひと粒をくるむパッケージデザインへのこだわり、
フランス一辺倒だった著者がある時期を境に
ブラジルとブラジル音楽にのめりこむ過程・・
著者はこだわりが昂じてオリジナル雑貨を売る2号店を作り
さらにはブラジル音楽の店をオープンするに至った。

採算度外視の部分も大きいだろうが、好きだからこだわり、
”こだわる”からこそ結果的に顧客(ひと)がついてくるのだろう。
「商売の法則」の実践は容易ではないと読めばよくわかるが、
厳しい面はさらりと流して爽やかなエッセイに仕立ててある。

店主こだわりのコーヒーの香りが漂ってきそうな一冊。
・・そうだ、鎌倉行こう!
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ベン・ヂマイス!

2008-02-04 00:06:23 | ブラジル

【WELCOME TO SAMBA SOUL KINGDOM】

前々回ちらりと登場した黒いブラジル=サンバ・ソウルのオムニバス、
2004年発売の”BEN DEMAIS!”。ここでいう"BEN"とは
ブラジルサンバソウル界の雄、ジョルジ・ベンのこと。
BEN DEMAIS!とはジョルジ・ベン最高!という意味だそうで、
アルバムには彼と周辺をめぐるアーティストを収録しており
選曲した中原仁さんと高木慶太さんの気合いの入った解説も楽しめる。
(→全曲試聴できます)

こちらはディスコサウンドではなく、土ぼこりの匂いがしそうな
野太い70年代ファンク。サンバ・ロックのタイトなリズムに
JBばりの熱いシャウト、手拍子と唸るギターにホイッスル。
ソウルやジャズとサンバにロックが溶け合いつつ、
うたごころある素朴な斉唱が冴えわたるのがブラジルらしい。

様々なアーティストの寄せ集めにもかかわらず、
アルバムを通して明確な「色」を感じる濃ゆい24曲。
共通するテーマは「漢(おとこ)らしい」ということかな?
ベン最高!という男くさいタイトルにも納得の1枚です。

一切の妥協のない硬派な選曲、サンバ・ソウルのみならず
70年代ソウル~ファンクのお好きな方にオススメでございます。

追記:しかしこのアルバム、3年以上ずっと聴いていますが
    詳しい解説があるのに歌手を誰ひとり覚えられない。
   (あれっ、先日と言ってることが違うぞ)
    やはり音楽マニアへの道は遠いのか・・

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セルメン様新譜

2007-11-30 22:30:28 | ブラジル

昨年、大ヒット作"Timeless"をひっさげ
すばらしいライブを見せてくれたセルジオ・メンデス様ご一行。
(→ライブレポ1日目2日目
(→アルバム"Timeless"の感想はコチラ

ブルーノートでの来年の公演が決まったと思いきや、
なんとまた新譜が出るという。

おお、これは楽しみ楽しみ・・

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シンセラメンチ

2007-09-21 00:16:28 | ブラジル

【Paula Lima/Sinceramente】
ブラジルのソウル・クイーン、パウラ・リマ(Paula Lima)の
3作目にして日本初登場、「シンセラメンチ」。
パウラ・リマというと豪奢なハウス、ファンク~R&Bのイメージがあるが、
今作は音数をグッと絞ったタイトなサンバ・ソウル集。
(→公式サイトでほぼ全曲試聴できます)

おなじみセウ・ジョルジらを作曲に迎え、
シンプルな音の中に強烈なソウルを感じさせてくれる。
いっけんAORやボサノバ調のおしゃれな曲であっても
中身はうんとホネのあるブラックミュージックだ。

とにかくこの方、ルックスも声もすごくいい。
夕暮れ時、セピア色のジャケット写真に写る彼女の美しいこと!
そして、ときに男と間違うほど中低音の深い声で歌われる
真っ黒なサンバ・ソウルのかっこいいこと!
クールなパウラ・リマのイメージと音がぴったり重なる一枚。

さらに、そんな彼女の魅力をあますところなく伝えてくれる
日本盤のアツい解説にもまいりました。
(きっとこの解説を書いた方は、彼女の大ファンなんだろうなあ~)

聴けば聴くほどパウラ・リマ本人に惚れてしまう、
ソウル好きの方におすすめしたい好盤です。

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突撃ボサノバレストラン

2007-09-19 23:58:23 | ブラジル

【Passaro Azul】

オープンしたての銀座一丁目のブラジルレストランに潜入。
先日のブラジルフェスティバルでもお店を出していたそうです。
ボサノバの流れる店内は落ち着いた雰囲気。
お味がよく身体にやさしい上に、料理もお酒も
ほとんどのメニューが500円なのは嬉しい限り。

カイピリーニャおいしゅうございました。
そしてムケッカおいしゅうございました!

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ブラジルフェス・想い出

2007-09-11 23:40:12 | ブラジル

ブラジル関連サイトを見ていたら、
ブラジルフェスティバルの模様が
ブラジルのTV局・Globoで放映されたとのこと。
↓その模様
http://video.globo.com/Videos/Player/Noticias/0,,GIM728552-7823-FESTIVAL+LEVA+A+CULTURA+BRASILEIRA+AO+JAPAO,00.html

アザ・ジ・アーギアと日本のバハヴェントのコラボシーン!
何度も観てしまいました。来年も楽しみだ~

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ブラジル・フェスティバル@代々木公園(続)

2007-09-09 23:44:25 | ブラジル

【ネギーニョ・ダ・ベイジャフロール】

代々木公園で行われたブラジル・フェスティバルのトリは
リオのサンバチーム・ベイジャフロールのボーカリスト、ネギーニョだ。
(↑先日のライブレポはコチラ

開演予定ぎりぎりに現地に向かうと、
遠くからネギーニョさんの吼えるような大声が聞こえてくる。
れれ、もう始まっているぞ!
慌ててステージに突進すると、ブラジル濃度の高かった
昨夕と少し違い、今宵は日本のサンバ好き大集合の趣きだ。

その観客の熱気に応えるかのようにニコニコ歌う
ネギーニョさんのテンションも、先日より高い気がする。
「うおおおっ!」とか「はあッ!(←エフェクタ付で何重にも響く)」
という威勢のいい雄たけびも高らかに、
ネギーニョさんのよく通る男らしいボーカルが冴え渡る。

そして、遠くからでもパカスカ響く迫力のパーカッションに
キラキラと光り輝くゴージャスなサンバダンサー達!
日本のダンサーや大人数のバテリア隊もゲストで合流し、
高速のエンヘード(?)やミディアムテンポのサンバに
サンバソウルの名曲など、ほぼノンストップでの熱演だ。
観客も一緒に歌い、手を振り飛び跳ね全身で楽しさを表現する。
サンバダンサーが輪になってステージをぐるぐる回ると
こちらも目が眩む。ずっとこの瞬間が続けばいいのに!

ネギーニョさん達のサンバにまみれた一時間半、
非常に一体感のある楽しいライブでありました!

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ブラジル・フェスティバル@代々木公園

2007-09-09 02:08:50 | ブラジル

【↑サンバヘギのグループ、バハヴェントとのコラボ。すごくよかったです】

今年で2回目をむかえるブラジルフェスティバル。
場所が代々木公園となり規模も大幅に拡大された。
本日の目当ては、残念ながら活動休止してしまった
ミナスウィングのシルヴィオ・アナスタシオさんのバンドと
ブラジルの大人気ベテランバンドというアザ・ジ・アーギア。

サンバダンサーも登場し華やかなシルヴィオさん達の
ステージが終わり、ブラジル音楽プロデューサー・
中原仁さんのDJをスコールビール片手に楽しむ。
ステージ前からずっと離れたところまで、
そこかしこで自由に踊るエキゾチックな人々がいっぱい。
いや~楽しい!ブラジル濃度が濃いいです。

さて、中原さんのDJの間に本格的なステージの準備が進む。
どうやらブラジルのテレビ局が公開録画を行うらしい。
相当の人気番組のようで、待つ間にも観客のテンションがどんどんあがっていく。
ふと気がつくと、前後左右が身動きもとれない程に混んできた。

1時間ほどして白いTシャツのおじさんが登場した。司会者のようだ。
オールポルトガル語で、何を言っているのかサッパリ分からない。

【司会】「なんとかか~んとか、なんとかか~んとろ」

【観客】ぎゃあああああああああああ!!!!!

ブ、ブラジルの皆様のテンション高すぎ
悲鳴矯声渦巻く中で、司会者がステージに発言台を用意し、
希望者を募って「私の主張」を言ってもらう。
指名された運のよい希望者が続々とステージに上がっていく。

「ナントカカントカでブラジレーロ!」(←何かを主張している)

【観客】うぎゃあああああああああああ!!!!!

その後アザ・ジ・アーギアが登場すると場内は
さらにヒートアップ、明るいスカ調のリズムに
飛び跳ねる人踊る人ブラジル国旗を振り回す人々で
ぐっちゃぐちゃのもみくちゃ状態に翻弄されたのでありました。

・・いやはやブラジルパワーは凄まじい!

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熱いぞサンバカーニバル

2007-08-26 02:29:37 | ブラジル


猛暑の中、浅草サンバカーニバルを沿道で観戦してきました。
見始めてから終わりまで約3時間、どのチームも暑い熱い!!
休んでいるサンバ楽器の練習、再開したいなあ・・

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リオの街からコンニチワ

2007-08-19 19:21:47 | ブラジル


ネギーニョ・ダ・ベイジャ・フロール。
リオの今年の優勝サンバチーム「ベイジャ・フロール」の
ボーカリストを30年間つとめてきた方だそうだ。
その伝説のネギーニョがサンバチームを従えて来日し
1ヶ月もの間、あちこちでライブを行うという。
本場のサンバ、これは観なくてはならない!
・・というわけでやってきました六本木ヒルズ。
Latin Summerと称するイベントの一環として、
ネギーニョのサンバショーが行われるのだ。

開演時間の少し前、遠くからバテリア(打楽器隊)の
爆音が聞こえてくる。一体どこでパレードしているのだ!?
バツカーダ(打楽器演奏)を聴くと自動的にスイッチが入る私、
なりふり構わず地上アリーナから階段を大急ぎでかけあがり、
爆音の源を探したところ・・

数十名はいるかと思われた楽隊の正体はナントたったの4人。
大太鼓、中太鼓、小太鼓、そしてパンデイロ(タンバリン)の4名だけだ。
それなのに、何故こんなに大きな音が出せるんだ!?

少人数ながらパワフルな楽隊に早くも圧倒されながら
羽の生えたお姉さん達の後をゾロゾロとくっついて階段をくだり、
アリーナのステージ脇に落ち着く。いよいよショーの始まりだ。
4名の楽隊はステージで8名に増え、キーボードやギター、
ドラムを含むバンド編成となったところで
マオカラー風の白いシャツを着たネギーニョが登場した。

ステージには煌びやかでセクシーな5~6名のサンバダンサー、
道化的な踊りを披露する男性(マラバリスタ)、金色でギンギラの
ゴージャスな王様衣装を身に纏い大きな旗を振り回す男女、
さらにネギーニョとバンドメンバーという豪勢なラインナップ。
皆ニコニコしている。おお・・これはコッテコテのサンバショーだ!
数分でダンサーは一旦引っ込み、ネギーニョと彼のバンドは
ある種泥臭くも感じる2拍子の明るいサンバ歌謡をメドレーで繋いでいく。
曲のはじめの哀愁を帯びたカバキーニョの音色が味わい深い。

打楽器中心のメンバーは手持ちの楽器を目まぐるしく替えながら
いかにも楽しそうに、複雑なビートを刻み続ける。
各人が遠慮なしに叩きまくるのだからたまらない。
爆音のカタマリ、津波のように押し寄せるグルーヴ。
そこで朗々と歌われるのはイナタイ歌謡曲。すごいぞベイジャフロール!!
ブラジルのサンバといってもいろいろあろうが、今日のサンバは
アンプラグドで土の香りのする、なんとも力強いサウンドである。

怒涛の演奏は30分ほど続き、最後に再び色とりどりのダンサーが登場して
ひとしきり盛り上げ、ショーは大団円とあいなった。
ブラジル人エンターテイナーの豪快なパワーに魂を抜かれつつ、
本場リオのカーニバルに想いをはせたひとときだった。

ネギーニョ・ダ・ベイジャフロールは9月に代々木公園で行われる
ブラジルフェスティバルにも登場するそうで、とても楽しみだ。
次回も絶対見に行こう!

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世界遺産サルバドール

2007-06-17 03:01:08 | ブラジル
昨日のNHK世界遺産の旅は、ブラジルのサルバドール。
ごく個人的な印象だが、東京の街をいくら古地図と比べてみても
江戸の町はもはや現実味のない「異次元の世界」としか思えない。
いっぽう、サルバドールは大航海時代の面影を色濃く残し、
その魅力的な街並みを単純に羨ましく感じてしまう。
しかし、明るく華やかなカーニバルと対照的な裏通りの荒んだ光景は
ブラジルという国の歴史をそのまま表しているようで興味深い。

番組では、奴隷船の到着地であり、サンバ発祥の地でもある
サルバドールの歴史を丁寧に描いていた。
船倉に何百人もがギッシリ詰め込まれた奴隷達の絵。
さとうきび農場で、辛い労働の合間に明るく踊る人々。
カーニバルの舞台となる街一番の大広場は、
もともとは奴隷のさらし場だったという。

特に驚いたのが、教会でもサンバを演奏しているということだ。
いわゆるゴスペルと同じような位置付けなのかと思ったが、
もとは土着の神々への信仰を表す演奏だったとか。

ブラジルに連れてこられた奴隷は元々の信仰を捨てることなく、
カトリックのミサに詣でながらも「教会音楽」にみせかけて
アフリカの神々への信仰をこっそり表現していたらしい。

華やかなサンバのリズムが誕生した裏側には
哀しい歴史があることを改めて教えられた。
しかしながら「正しいか、正しくないか」
そんな倫理を超えたところで人種や言語はまじり合い、
新たな歴史と文化が生み出されるのだろう。
その交じりかたがとりわけ複雑で濃いがゆえに
ブラジル音楽は奥が深いのだろうな、と感じた。

*後でむしょうにこの地方のサンバへギ(Samba Reggae)を
 聴きたくなり、映像を探してみました。↓
 オロドゥン(http://www.youtube.com/watch?v=BG8qRgc76tM)
 リズムがどうしても”レゲエ(Reggae)”に聴こえず、
 むしろファンクの匂いを強く感じるのは何故?
 大太鼓のドゴドゴビートと超ダイナミックな振りがカッコイイ!

【追記】
以前より予約機能が効かないポンコツテレビデオが
ついにアホになってしまいました。「録画」ボタンを押すと、
ウルトラマンの如く3分で勝手に停止してしまう。

ビデオのご機嫌を伺いつつ3分おきに必死で録画を繰り返すも、
お陰で世界遺産が謎の輪切り状態に・・あああ
地デジ、ビスタにHDレコーダー・・まだまだ遠い世界の話よのう。

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ミナスの風

2007-02-06 00:35:05 | ブラジル


ブラジル音楽を演奏する国際派バンド、MINASWING
過去何度か取り上げましたが、(→過去記事1,2)
2月5日のライブをもって活動休止されるそうです。
ライブに行きたいと思いつつ、果たせずじまいでした。
不肖のリスナーですが、活動再開を願っています。

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パンデイロ教室の夕べ

2006-12-10 01:46:12 | ブラジル
世界的なパンデイロ奏者、マルコス・スザーノさんの
パンデイロワークショップに参加してきた。
ブラジルの打楽器であるパンデイロは、
大ぶりのタンバリンでありながら
アンプを通すとドラムセットさながらの音を出し、
サンバのみならずあらゆる種類のリズムを
奏でることができる魅力的な楽器だ。

そのパンデイロの第一人者であるマルコス・スザーノさんが
日本でも定期的にワークショップを開いている。
こちらは全くの初心者、参加しても大丈夫だろうか・・?
不安を抱きながらの初参加だったが、
心配は杞憂に過ぎず素晴らしいワークショップだった。

場所は東京芸術劇場の地下にある大リハーサル室。
楽器を借りて席につくと、しばらくして赤いシャツ姿の
マルコス・スザーノさんが颯爽と登場した。
スザーノさんはポルトガル語で絶え間なく語りかけ、
それを主催であるラティーナの方が随時日本語に訳して下さる。
違和感のない、見事なコンビネーションだ。

スザーノさんは全くの初心者でもついていけるよう、
パンデイロの持ち方から一つひとつの音の出し方、
注意点など、こと細かに説明して下さった。
スザーノさんの語り口は気さくでとても温かく、かつ分かりやすい。
実際に全員でパンデイロを叩き始めると、
教室の前から最後尾までパンデイロを叩きながら何周もし、
70人ほどもいる受講生全員に目を配り
身振り手振りだけで個別指導まで行って下さる。
皆の音がバラけてくると手戻りして説明し
お手本を見せてくれるのだが、この「お手本」がスゴイ!

説明しているのは基本の「き」の字なのに、
スザーノさんが叩き始めると一瞬にして次元がワープし、
たちまち宇宙レベルの演奏が出現する。
・・・すごいです。一体どうすればこんな音が!?
ビデオなどでは見ていたものの、実際にスザーノさんの
生パンデイロを目の前で拝見すると、神々しいまでの迫力だ。

充実した講座の終わりには、サウンドユニット・ピカイアとの
ジャムセッションもあり、3台のパンデイロと
1台のトランペットによる物凄いパワープレイを見せて頂いた。

スザーノさんの温かい人柄と情熱に触れることができる、
とても密度の濃い2時間のワークショップだった。
スザーノさん、ピカイアさんそして主催のラティーナさん、
本当にありがとうございました!


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スマスマにセルメン

2006-11-06 23:05:45 | ブラジル
ロートロートロート、ろ~と、ろ~とろ~と♪

・・セ、セルジオ・メンデス様と共演!?
恐るべし、スマップ・・
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