▼ 現職の頃から、楽しみにしていたが、
今年も1月15日の朝日新聞『天声人語』に、
「現代学生百人一首」の記述があった。
今年、この欄で取り上げた秀作は、全てがコロナがらみ。
現代学生の胸中に、切なくなった。
・文化祭二年連続オンライン慣らされていくこの空気感
(高2石川胡桃)
・家の中授業を受ける弟の背後を通る私は忍者
(高2小塚萌愛)
・リモートで授業はじまり映る部屋勉強よりも掃除頑張る
(高1黒木薫里)
・ピカピカに磨いたフルート出番なく涙にぬれたコロナ禍の夏
(高1武田衣未)
・『外出自粛』自粛疲れのストレスを戦闘ゲームにぶつける私
(中1星夏穂)
・二回目のワクチン接種終わったよ単身赴任の父への切符
(高3田代桃)
・次はいつ会えるのかしらと泣く祖母の手も握れずにガラスと会話
(高2大場美言)
・視線落ち口にはマスク会話なく耳にはイヤホンまるで三猿
(高1永康滉子)
・十年後再会しても気づくかなマスク顔しか知らない友達
(高2上山愛裕)
・アクリル板マスク消毒ディスタンス慣れたくなかったこんな生活
(高2樋口壱之介)
▼ 2年前、北海道では「さっぽろ雪まつり」の頃から、
コロナが騒がれはじめた。
そして、私の場合は、顧問をしている研究会が
3月に創立60周年祝賀会を予定していたが、急遽中止になった。
コロナの怖さを実感した最初だった。
現代学生百人一首にあるが『慣れたくなかったこんな生活』の、
収束が見通せないまま、
オミクロン株という新たな波が、すごい勢いで押し寄せている。
振り返ると、IPS細胞の山中先生は、
「このコロナとの戦いは、マラソンのようなものになります」
と、長期戦を強調していた。
そうは言っても、こんなに長いマラソンになるとは・・。
最近強く思う。
どれだけ続いても、こんな日々に慣らされたくない。
一日でも早く、世界中がここから脱出することを願う。
だから、今日も懲りずに、外出から戻ると、
真っ先に手洗いを入念にする。
▼ 東京まで足を伸ばすことはためらわれた。
せめて札幌までならばと、
12月初旬、ホテルを予約し1泊2日で出かけた。
主な目的は、ショッピング。
私のセーター、家内のダウンコート、
それに、口元がかけ始めた2人の湯飲み茶碗など。
2年も我慢したのだから、
少し値が張ってもいいじゃないかと・・。
行ってみて、驚いたことを2つ体験した。
デパートと地下街を巡り、歩き疲れてしまった。
スタバで休憩することにし、大きなウインドー近くの席に座った。
コーヒーを片手に、ガラス越しに行き交う人の波を見た。
コロナ禍で初めて接する、都会の喧噪だった。
人通りの賑やかさが懐かしく、
しばらくウインドーの向こうを見続けた。
当然なことだが、どの人もマスクをしていた。
その顔、顔を目で追いながら、ハッとした。
マスクの形や色に違いはあったが、
みんな、不織布マスクだった。
気にかけて見直しても、
布製やウレタン製をしている人は、
1人も見つけられなかった。
列車の中でも、札幌駅に着いてからも、
私たちは、ずっと布マスクだった。
病院以外では、布製に違和感がなかった。
私も家内も、バックに入れていた不織布マスクを取り出し、
急ぎ交換した。
コロナへの警戒感の違いを実感する。
▼ もう一つは、ホテルの料金だ。
札幌には、学校共済組合のホテルがある。
一般のホテルより安いので、そこを予約した。
フロントで手続きをしていると、
2人とも居住地を証明するものの提示を求められた。
「どうみん割」というコロナ割が始まっていた。
宿泊料金が1万円以上なら5千円が、
それ以下なら2千円が割引になるというのだ。
その日は朝食付きで5千円の部屋をお願いしてあった。
なので、3千円で宿泊できることになった。
しかも、2日間限定だが、
1人2千円のクーポン券まで頂いた。
つまりは、実質4千円の割引だ。
朝食付き千円で、ツインの部屋に泊まれたのだ。
「思ってもみない低料金!」。
喜んでいいはずだが、なぜか心が重い。
コロナで疲弊する旅行業界と地域の活性化策なのだろう。
でも、本来なら私が支払うべき料金の補填先はどこ・・?
目先のことで済まされない重圧が、
いつまでもついてきた。
▼ 『寒い冬に外で体を動かそう』。
昨年末、そんなキャッチフレーズで、
自治会の私の地域が、「子ども冬まつり」を会員に呼びかけた。
実は、昨年はコロナでできなかった催しだった。
今年はどうしようかと、私も参加して何度か話し合った。
役員に子育て真っ最中のお父さんが2人、新たに加わった。
2人は、口をそろえて言った。
「コロナでかわいそうな想いをいっぱいしてるんですよ。
その子たちを、少しでも喜ばせたい。
頑張って、やってあげたいです」。
感染対策に万全を期して、開催することにし、
参加者と大人の実行委員を募った。
子どもと大人が、約40人手を上げた。
感染防止を考えると、
これ以上は望まない参加数だった。
オミクロン株で、開催は中止になったが、
『・・その子たちを、少しでも喜ばせたい』
に共感があった。
その手応えが、無性に心強かった。
荒々しい山容に 快晴の冬
今年も1月15日の朝日新聞『天声人語』に、
「現代学生百人一首」の記述があった。
今年、この欄で取り上げた秀作は、全てがコロナがらみ。
現代学生の胸中に、切なくなった。
・文化祭二年連続オンライン慣らされていくこの空気感
(高2石川胡桃)
・家の中授業を受ける弟の背後を通る私は忍者
(高2小塚萌愛)
・リモートで授業はじまり映る部屋勉強よりも掃除頑張る
(高1黒木薫里)
・ピカピカに磨いたフルート出番なく涙にぬれたコロナ禍の夏
(高1武田衣未)
・『外出自粛』自粛疲れのストレスを戦闘ゲームにぶつける私
(中1星夏穂)
・二回目のワクチン接種終わったよ単身赴任の父への切符
(高3田代桃)
・次はいつ会えるのかしらと泣く祖母の手も握れずにガラスと会話
(高2大場美言)
・視線落ち口にはマスク会話なく耳にはイヤホンまるで三猿
(高1永康滉子)
・十年後再会しても気づくかなマスク顔しか知らない友達
(高2上山愛裕)
・アクリル板マスク消毒ディスタンス慣れたくなかったこんな生活
(高2樋口壱之介)
▼ 2年前、北海道では「さっぽろ雪まつり」の頃から、
コロナが騒がれはじめた。
そして、私の場合は、顧問をしている研究会が
3月に創立60周年祝賀会を予定していたが、急遽中止になった。
コロナの怖さを実感した最初だった。
現代学生百人一首にあるが『慣れたくなかったこんな生活』の、
収束が見通せないまま、
オミクロン株という新たな波が、すごい勢いで押し寄せている。
振り返ると、IPS細胞の山中先生は、
「このコロナとの戦いは、マラソンのようなものになります」
と、長期戦を強調していた。
そうは言っても、こんなに長いマラソンになるとは・・。
最近強く思う。
どれだけ続いても、こんな日々に慣らされたくない。
一日でも早く、世界中がここから脱出することを願う。
だから、今日も懲りずに、外出から戻ると、
真っ先に手洗いを入念にする。
▼ 東京まで足を伸ばすことはためらわれた。
せめて札幌までならばと、
12月初旬、ホテルを予約し1泊2日で出かけた。
主な目的は、ショッピング。
私のセーター、家内のダウンコート、
それに、口元がかけ始めた2人の湯飲み茶碗など。
2年も我慢したのだから、
少し値が張ってもいいじゃないかと・・。
行ってみて、驚いたことを2つ体験した。
デパートと地下街を巡り、歩き疲れてしまった。
スタバで休憩することにし、大きなウインドー近くの席に座った。
コーヒーを片手に、ガラス越しに行き交う人の波を見た。
コロナ禍で初めて接する、都会の喧噪だった。
人通りの賑やかさが懐かしく、
しばらくウインドーの向こうを見続けた。
当然なことだが、どの人もマスクをしていた。
その顔、顔を目で追いながら、ハッとした。
マスクの形や色に違いはあったが、
みんな、不織布マスクだった。
気にかけて見直しても、
布製やウレタン製をしている人は、
1人も見つけられなかった。
列車の中でも、札幌駅に着いてからも、
私たちは、ずっと布マスクだった。
病院以外では、布製に違和感がなかった。
私も家内も、バックに入れていた不織布マスクを取り出し、
急ぎ交換した。
コロナへの警戒感の違いを実感する。
▼ もう一つは、ホテルの料金だ。
札幌には、学校共済組合のホテルがある。
一般のホテルより安いので、そこを予約した。
フロントで手続きをしていると、
2人とも居住地を証明するものの提示を求められた。
「どうみん割」というコロナ割が始まっていた。
宿泊料金が1万円以上なら5千円が、
それ以下なら2千円が割引になるというのだ。
その日は朝食付きで5千円の部屋をお願いしてあった。
なので、3千円で宿泊できることになった。
しかも、2日間限定だが、
1人2千円のクーポン券まで頂いた。
つまりは、実質4千円の割引だ。
朝食付き千円で、ツインの部屋に泊まれたのだ。
「思ってもみない低料金!」。
喜んでいいはずだが、なぜか心が重い。
コロナで疲弊する旅行業界と地域の活性化策なのだろう。
でも、本来なら私が支払うべき料金の補填先はどこ・・?
目先のことで済まされない重圧が、
いつまでもついてきた。
▼ 『寒い冬に外で体を動かそう』。
昨年末、そんなキャッチフレーズで、
自治会の私の地域が、「子ども冬まつり」を会員に呼びかけた。
実は、昨年はコロナでできなかった催しだった。
今年はどうしようかと、私も参加して何度か話し合った。
役員に子育て真っ最中のお父さんが2人、新たに加わった。
2人は、口をそろえて言った。
「コロナでかわいそうな想いをいっぱいしてるんですよ。
その子たちを、少しでも喜ばせたい。
頑張って、やってあげたいです」。
感染対策に万全を期して、開催することにし、
参加者と大人の実行委員を募った。
子どもと大人が、約40人手を上げた。
感染防止を考えると、
これ以上は望まない参加数だった。
オミクロン株で、開催は中止になったが、
『・・その子たちを、少しでも喜ばせたい』
に共感があった。
その手応えが、無性に心強かった。
荒々しい山容に 快晴の冬
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