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社長ノート

社長が見たこと、聞いたこと、考えたこと、読んだこと、

春秋 日本経済新聞

2018-10-06 18:29:30 | 日記


 時間との戦いは新しい商いを生んだ。当時の江戸は日本橋に魚河岸があり、市場で働く人に食事を出す店では、忙しくて食べきれずに店を出る姿が目についた。そこで残った料理を、竹の皮や木を薄く削ったもので包み、持ち帰ってもらうことを考えた。その店は弁当製造販売の日本橋弁松総本店として現在に至っている。
 関東大震災で市場が被災し、築地に移った後も、時間を惜しむ人たちに企業が鍛えられた。吉野家ホールディングスの安部修仁会長は1972年に入社し、築地市場内の店に勤務。500人の客の顔と、つゆだく、ネギ抜きなどの好みを頭に入れ、来店から15秒で牛丼を出した。「はやい」「うまい」の原点がそこにある。
 きょう築地市場は最終営業日を迎え、11日に豊洲市場が開場する。移転は2年も遅れ、いきなりスピードを欠く出だしとなった。とはいえ豊洲では生鮮品の冷蔵・冷凍機能が強化され、鮮度を保って消費者に届けやすくなる。物流ビジネスなどの新たな商機になるだろう。市場が事業を生み育てる歴史を刻み続けてほしい。