銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

森の合唱

2015年02月19日 19時57分32秒 | 散文(覚書)
森の合唱は
カエルの歌であり
鳥のさえずりであり
風の吹き抜けであり
陽だまりの安息であり
小川のきらめきであり
葉と葉の触れ合いであり
狼の遠吠えであり
宵闇の木霊であり
朝焼けの目映さであり
冬眠時の寝息の忘れ形見であり
地を踏みしめる何者かの影であり
夢と夢とのすれ違いである



そうしてまた
森は合唱する
大空の深い深い
雄渾な嘆息の下で
十二単を広げるように
合唱する
去り行く何者かの背へ向かって
忘れ去られた魂の故郷(ふるさと)へ向けて



開け放たれた扉の向こうには
合唱の気配だけが静かに
深閑と
秘め事のように残る


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