銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

どこかに生きながら

2006年11月30日 23時58分58秒 | 散文(覚書)
夢の中のあなたはだあれ?

今まで1度も会ったことのない

あなたはだあれ?



何となく ぼんやりと思い出せるけど

頭の中で 

ぷっくりした体と

大きくたれた濡れた目と

男の子だってことは思い出せるけど

両腕と胸でくるめようとすると

あなたの温もり ふっと消えてしまう



名前も知らないのに

どうしてわたしの夢に あらわれたのかしら?

ふふ

ふふふ



どこか遠いところで これから生まれてくる赤ちゃんかしら?

また遊んでね

わたしの夢の記憶が

冷えたチョコレートを食べて消えてしまっても

いつかまた

わたしと遊んでちょうだいね



夢はいつでも蜃気楼

なぐさめが 引き潮の向こうにあるように

どこかに

夢のどこかに生きながら



これからは

ぽちゃんと はねないように

ミルクティーの中 角砂糖を落として

銀のスプーンくるくるまわしながら

眠い朝もやと

湯気の中に

あなたのほっぺの香り 見つけるわ



ふっくら白い

つきたての餅のような あなたは

太陽の下でそっと息をする

雪の地平線のようでした






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6 コメント

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あったかい (ミイ)
2006-12-01 20:20:32
ご無沙汰しています。いつも楽しみに読ませていただいていますよ~

いろんな表情の文章がありますけど、今回のはショパンさんのかわいらしい(あ、今赤くなったでしょ♪)面が現れていますねぇ。
チョコレートとかミルクティーなんかも…
心がぽかぽかしてきます
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ミイさんへ (ショパンⅢ世)
2006-12-01 23:20:10
>いつも楽しみに読ませていただいていますよ~

ありがたき御言葉でございます☆
とはいえこのブログ、僕の自己満足の世界ですから(笑)。


この散文のタイトルは、小川未明の作品から拝借しました。それは知る人ぞ知る、滋味溢れた佳品です。絵本では、いもとようこが絵を添えています。
内容に関してですが、視点を1人暮らしの30歳半ばぐらいの女性にして、その主体なりに工夫したつもりではあります。冷えたチョコレートというのは、それを噛んだ時に留めておきたい記憶が飛んでしまいそうな感覚だと考えたためで、故にミルクティーの香りで思い出すというこの女性の気持ちに至ると…。冷えたチョコレートは隠喩でもあるのですが…。

僕が赤くなったかどうかは御想像にお任せします
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Unknown (はるちゃん)
2006-12-02 12:03:46
「冷えたチョコレートを食べて消えてしまっても」
というところ、ほんとにそうなんですよね。
チョコレートが溶けない様に
冷蔵庫で冷やしてるのを食べた時、
試験勉強して覚えてたこと忘れそうでした。

ミルクティの中にお砂糖を入れることが無いので
砂糖が跳ねる感覚が自分にはあまり実感ないけど
もし入れるときは跳ねないように気を使うって
絶対ありますね。白いもの着てたら飛んできそうだし
そっと砂糖をスプーンに乗せて、壊れかけのエレベーターよりゆっくりと底に沈めてからかき回しそう。

ショパン三世さんの詩はみんな素敵ですが
今回の作品は、可愛い感じで新鮮ですね^^
赤くなったかな?(≧▽≦)
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不思議なことに。。 (ミイ)
2006-12-02 16:26:00
もう一度、読んでみるとなんだか印象が違って感じられました。
最初はあったかい文章だな~と思っていたのですが、今度はその中にもちょっと寂しさが感じられたりして。。物憂い感じというか。

でも、やっぱり今の季節にぴったりの作品ですね
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はるちゃんさんへ (ショパンⅢ世)
2006-12-02 23:12:58
>チョコレートが溶けない様に冷蔵庫で冷やしてるのを食べた時、試験勉強して覚えてたこと忘れそうでした。

あぁ、僕の感覚に共感して頂けて嬉しいです♪
実は最初の段階では『チョコレート』だけの表記だったのですが、それでは不充分だと感じて『冷えたチョコレート』にしたんです。


>壊れかけのエレベーターよりゆっくりと底に沈めてから

例えが面白いですね!この一文を読んだだけでも、はるちゃんさんの感性が一般の人とは違うという事が感じられます。きっと僕より、詩としての豊かさに溢れたものがお書きになれると思いますので、是非はるちゃんさんも詩なり散文なり掲載して下さい。読みたいです☆


>可愛い感じで新鮮ですね^^

お姉様の1人にそう言われると……
御想像にお任せします
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ミイさんへ (ショパンⅢ世)
2006-12-02 23:23:15
>もう一度、読んでみるとなんだか印象が違って感じられました。

この感想は殊更に嬉しいですね!
表層から感じられるものと、またその奥内部から窺い知れるものと、毎回そうした複重印象を与えられるものが書けたら願ったり叶ったりなんですが…。


僕は冬の寒さは苦手ですが、その雰囲気はとても好きです。日本人らしく、細やかな冬の表情・営みをこれからも文章に綴っていけたらと思っています。


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