銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

トンボの唄

2006年09月18日 05時22分07秒 | 散文(覚書)
蚊のように

羽音の聞こえない

名もなき明日の

トンボの唄

すこしく止まって

また動き出す



水辺のアメンボに

ルルと言い残し

父が作ってくれた

暁の紙飛行機の羽とは

逆の方へ飛んで行き

おまえはどこから空を見る



畳に寝返り打って

布団は雨ざらし

そんなわたしの鼻に

トンボの唄

その尾のしなやかさが

弱った魚を食ってしまったのか



七輪に焼かれた鱗は

香草よろしく軒先まで這って

わたしの舌にのるけれど

ごうごうと音を立てる夕闇が

おまえをさらうから

舌はまた

なおさら痛む



トンボよ

とある魚がおまえを嘆いていたよ

止まるのは

切り株の上か

軒先の下に広がる空の一点か

どちらかにせよと

とある鱗が焼けながら

昇る煙と袂を絞っていたよ



忙しく羽を震わせ

何ら苛立ちも愚痴も立てない

おまえたちの愛しき言葉に

秋の風が

ただただ一息二息

草を乾かして

乾かして





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6 コメント

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Unknown (king牧師)
2006-09-18 12:37:44
最近、トンボみかけませんね。いや、たまに見る。たまに大量発生してる空間がある。怖い。



もう郷愁の秋がそこまで来ていますね。



僕の気持ちは冬を越えていけるのでしょうか?
king牧師さんへ (ショパンⅢ世)
2006-09-19 02:16:05
近所の図書館に隣接する小さな公園で僕が休んでいる時、とてもたくさんのトンボが飛んでいたんですよ。その光景を思い描きながら僕の心象風景と重ねて、この本文を書いてみたんです。何らコメントが寄せられなかったら、みっともないので消そうかと思っていましたよ(笑)。





>僕の気持ちは冬を越えていけるのでしょうか?



どうでしょうか。冬の前に置かれた秋でさえ物憂いですからね。

『生きろ』--それしかないです、今は。

『生きねば』--少なくとも、僕にとって。



Unknown (ウムカ)
2006-09-19 10:20:35
稲刈りの時期になるとトンボが刈り取られる田んぼの上をグルグル回るんですよ。結構大群で(笑)



稲穂が刈り取られなくなってしまった田んぼから、

たくさんの虫が

『キャ~隠れるところが無い、、逃げなきゃー」

と飛び立ったり逃げ回るのを、トンボたちが襲撃するんですよ^^



毎年の光景だけど、これが終わるとトンボたちの姿がどんどん少なくなって秋が深まる。



私はこの光景が結構好きなんですよ(笑)
Unknown (ミイ)
2006-09-19 13:00:44
この散文は少し難解ですね・・

私の小さな脳みそを総動員してイメージを思い浮かべています。



虫は苦手だけど、とんぼって小さな頃から何となく好きなんですよね。

特に畑やたんぼを飛ぶとんぼ。

うすい羽と小さなからだがとてもきれいです。

秋だなぁって思います。



P.S.デザイン、素敵です
ウムカさんへ (ショパンⅢ世)
2006-09-20 03:35:38
>たくさんの虫が「キャ~隠れるところが無い、、逃げなきゃー」と飛び立ったり逃げ回るのを、トンボたちが襲撃する



なるほど、そうなんですね。この説明を読んでいなかったら、刈り取られる稲穂の上を旋回するトンボがもっと情緒的に感じられますね(笑)。

田んぼが裸になり、群れて回るトンボ、そこに吹く風、ご飯茶碗から立ち昇る湯気、風呂で温められた体、クルクル姿を変える夢の羽……。例えばこんな感じで、僕の脳裡にはイメージされます。
ミイさんへ (ショパンⅢ世)
2006-09-20 03:51:13
感想ありがとうございます☆確かに汲み取りにくい散文だと思います。後々書き直すか、あるいは自分の小説の一場面に焼き直して使うかもしれません。



トンボは僕も好きなんですが、何故か大人になると手で捕まえるのが怖いんですよね。羽を押さえるまでに飛んでいってしまうかも、という不安ではなくて、羽を押さえた時の体をブルブルと震わせるトンボの姿が妙に怖いのは、僕だけでしょうか。

ブランコに乗って高く揺り動かすのも怖いですしね(笑)。子供の頃は、そうした事に何ら不安も恐怖も覚えなかったのに…。



テンプレートは、また変えてしまいました。前回の宇宙のデザインはコメントの部分が読みにくかったので…。でもあれはあれで気に入っているので、またいつか(その内?)復活させると思います。

今回のこの蓄音機と楽器のテンプレートですが、五線譜の部分をクリックした後に楽器に触れると、またちょっとした味わいがあります。

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