銀河夜想曲   ~Fantastic Ballades~

月が蒼く囁くと、人はいつしか海に浮かぶ舟に揺られ、
そして彼方、海原ワインのコルクに触れるを夢見、また、眠りにつく……

ちひろの絵・その7

2007年05月30日 23時13分28秒 | いわさきちひろ、その人と作品
青い花と小鳥と子ども
1972年
雑誌 “ 子どものしあわせ ”



さっきまで、遠い国の海を見ていたんだ

ずっとずっと、知らない雨が降っていたよ

なんにも聞こえなかったけれど

おまえたちの声だけは分かっていたよ



だから

おまえたちのピーチクに合わせて

かくれんぼしてたんだ

脱いだ服を木にかけて

ふふふって笑いながら

逃げてきたよ

脱いだ靴下にリンゴを入れて

くすくす笑いながら

走ってきたよ



ここはどこかな

雲の中かな

同じ滴に流されて

僕たち、ここに来たのかな



おまえたち、きょうだいなの?

どうしてさっきから、こっちを見ているの?

鬼はもう、リンゴの木になっちゃったから平気だよ



遠くにいた僕を

おまえたちも見ていたのかな



じゃあ今度はいっしょに

かくれんぼしよう

雨の中に飛んでいっちゃ

いけないよ