もの想う鷲 (A thinking eagle)

自然・環境を科学してみる

マグロ漁船がアホウドリを絶滅に追い込む?その3

2006-08-16 23:50:41 | 野生動物保護
続きです。


Brothersは、どのようにして、その恐るべき殺戮は容易に且つ殆ど金をかけずに避けられるかを直ちに直感した。次の三年に亘って、500日間マグロ漁船に乗って大洋を航行して資料を集めて、彼は簡単なアイデアをテストすることに決めた。

殆ど全ての日本の漁船は、既に鳥たちを脅す装置を持っているのに、使う気遣いをしなかった。それは単純な“鳥の脅し”で、船尾に立てたポールに、動くフェンスの役目をする様に、プラスチックの吹き流し(訳者注:鯉のぼりの様な吹き流し)をつけるものだった。Brothersは、それはうまくセットすれば70%効果的であることを発見した。鳥たちが餌を見ることが出来ない様に、夜に 釣り針をセットして デッキの照明を暗くすれば、鳥が釣り針に掛かるのを90%も減らせた。また、早く沈む様に、糸には錘をつけ、餌は冷凍を解いた。タスマニアの家では、野原で(土鳩を標的にする)トラップ射撃の弓で、魚の頭を飛ばす実験をし、エンジニアの助けを得て、自動の餌投げ機を開発した。それは、プロペラによる攪拌の流れが餌を再び海面に浮き上がらせない様にする為に、餌を船の航跡のないところに飛ばすものだった。
Brothersは、彼の発見を報告書にして-日本語に翻訳して-日本の政府と漁業のエキスパートに配布した。
反応は無かった。

乗組員達はBrothersに言った。“たったの2,3羽だよ”と。丁寧な黙殺に苛立って、彼は、年間8億6千万ドルに登るマグロ漁船のマグロ捕獲がこの鳥たちを奪った、と指摘した。
“この鳥たちを引っ掛けない為に、簡単な対策をするのは、意義のあることだ”
と彼は言った。
しかし彼の航海で、乗組員たちはベッドの下から鳥脅しの糸を取り出さなかったのを見てきた。彼の提案を歓迎すると彼が期待した乗り込み員たちに裏切られ、彼は報告書を英語で出版した。世界中の鳥のエキスパートや環境保護グループに警報を発した、彼の警告の呼びかけは、とうとう国際的な行動を呼び起こすことになった。

Christopher Robertsonが、ニュージーランド、ウエリントンの彼の研究室で、腕一杯に抱えた、冷凍した状態の溺死したアホウドリを持ってきて、ステンレスのベンチに撒き散らし、それから、ナイロンの糸の付いた釣り針で一杯になった箱から、ガチャンと音をさせて、その沢山の釣り針を下にあけるのを、私は見た。“これらの釣り針はこの鳥たちから出てきた。1羽の鳥が3本の釣り針を咥えているのを発見する事もある。更にどれだけの警告を世界は必要とするのか?”と彼は言う。

ニュージーランドはどの国よりも多くのアホウドリの種の繁殖地であり、その鳥たちを保護する為に、厳しい法律を実施してきた。魚を取っている間に捕まえた鳥は、公的な観測者によって冷凍され、持ち帰られてRobertsonと彼のティームによって解剖されなければならない。問題は、ニュージーランドで繁殖する鳥の多くがニュージーランドを発ち、大洋逍遥の途中で、これらの規則を持たない南アメリカの国々 の 沖 に飛んで行き、そこで生きていくということだ。そこへ行く途中や、またそこから帰る途中で、鳥たちは南の大洋で漁をする船団や南極近くの海で不法に漁をする船の上を飛ぶ。そしてアホウドリたちにとっては、糸と釣り針で漁をする漁船は全てfast-foodの天国である。

アホウドリたちが晒されている、遥か遠くまで張られた危険の程度は、鳥たちの背中に付けられた発信器を使った衛星による、飛翔の追跡によって最近明白になってきた。南アメリカの先端のSouth Georgiaから追跡された、あるアホウドリは、Brazilに4日で着き、10日で大西洋を渡り、南アフリカのケープタウンを通過し、そして、発信器が故障したときには、Wollongongに向かっていた。メルボルンの近くのChisholmの研究所の研究者、David Nichollsは、“毎時100km以上の速さを維持して飛び続ける鳥を我々は見てきた。― ― ―鳥たちは距離を食べる。”と言う。

6ヶ月で7,500kmをカバーする、アホウドリの地球を一巡する飛翔は、この鳥を救う為には、ともに働かねばならない国が如何に大切かを強調している。国際連合の食料農業機構は、国々に行動計画を採用する様促し、糸と釣り針で漁をする漁船は、鳥が釣り針に掛からないように、Brothersの方法を採用することを推奨している。英国は、South Georgiaの海域で、7ヶ月のアホウドリの繁殖期間中、糸と釣り針で漁をすることを禁止した。そしてそこでのアホウドリの死は、1年で20羽以下になった。南極海域で漁をするライセンスを持つ船はBrothersが提案した対策を使用しなければならない。

オーストラリアは、糸と釣り針で漁をする船には、夜に糸を投げ、鳥脅しを使うことを要求することに加えて、アホウドリと、アホウドリと同じみずなぎ鳥目の海燕を救う為の国際条約の展開に主要な役割を演じてきている。この条約は、メンバー国が、鳥が掛からぬ様な漁法を含めて、広範囲の環境保護対策を
守ることを義務付けている。オーストラリアとニュージーランドはその条約に批准した。ブラジル、チリー、フランス、ペルー、英国、とスペインはそれに署名した。しかしアホウドリを救うのに重要な、巨大な漁船団を持つ日本の様な、他の国々は、今まで署名の意図を示していない。英国のチャールズ皇太子からの助力で、環境保護の世界同盟が、アホウドリとそれより小さい海鳥を、糸と釣り針から救う為に、運動を展開しています。“毎年300,000羽以上の鳥たちが釣り針で死に追いやられているなどとは思いもよらない。それを避ける為に出来ることがあるだから、全く恐ろしい事態であり、鳥たちをこんな目に会わせるのは、全く不必要なことだ。”とチャールズ皇太子は言う。” 

いくらかの国々は素早く行動したので、既に、死んでいくアホウドリの数は減ってきている。しかし、鳥たちがBrothersの簡単な方法で救われる為には、遥かに多くがなされねばならない。今 彼は、彼が注意深く修復したヨットの中で生活して、Brothersは、違った港にヨットで行き、漁をする人を助けて、 鳥を引っ掛けない様に、餌を投げる方法を開発することにより、アホウドリを救う戦いを継続している。“世の中の規則は守られなければ、何の価値も無い。 漁師は、誰も彼を見ていない、陸地から遠く離れた所で働く。-彼らは好きなことを好きな様にやれる。”とBrothersは言う。

風の強い11月のある日、新しい餌投げのシュートのテストをする為に、オーストラリアのリゾート・シティ、Coffs Harborから航海に出て行く、糸と釣り針で漁をする漁船の船尾にBrothersは、立っていた。
羽を広げてそよ風に乗りながら、一羽のアホウドリが彼のすぐそばに飛翔して来たのでBrothersは手を伸ばし、その翼の先に触れた。彼の驚きをよそに、そのアホウドリは翼を畳み、彼の手の上に降りた。
微笑みながら、Brothersはその明るい信頼している黒い目に見入った。美しい友よ、君の生に祝福あれ! 彼は沈黙したまま祈った。
その壮麗な鳥が空に舞い上がっていくのを見ながら、彼は更に言った。

“漁師たちから離れていろよ!”
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