桐野夏生 『柔らかな頬』

醜悪や罪悪や後悔や絶望や破滅や虚無があり、救いや救済やカタルシスや希望などは微塵もない。吐き気がするほどの嫌悪があり茫然と立ち尽くす。小説に何らかのさわやかさを求める人には全くもってお勧めしません。ただし、最後まで止まらなくなるほど面白いので注意。

「音楽は時間が経つのを忘れさせるが、時を刻むものでもある。このブルースを何百回聴いたら、自分は消滅するのだろうか。」