碧田直の いいじゃないか。

演劇ユニット、ミルクディッパー主宰の碧田直が、日々を過ごして、あれこれ思ったことを、自由気ままに綴ります。

無題そのさんじゅうさん

2016-05-21 23:18:34 | 日々
実家に行く。
親は二人とも元気だが、高齢にもなってきたので、一ヶ月に一度くらいの割合で帰っている。飼い犬のウメは会ってすぐは歓待してくれるが、そのうち飽きて呼んでも来なくなる、薄情なやつである。今日こそは餌で釣ってなつかせようと、秘かに決意している。

昼に最寄り駅に着き、親と合流。そのまま昼御飯を食べに、市内最大のショッピングセンターに行く(というか、まともなところはそこしかない)。糖尿病検査以来控えていた油そばを食べる。うまい。体に悪いものはやはりうまい。

最近、家に帰るたびに昼御飯は外で食べる。変な感じもするが、これがいまの家の形であるようだ。親父もおふくろも好きなものを食べてリラックスしている。カロリーや栄養の偏りから見れば、よくないのだろうが、ストレスを感じないという点ではいいのだろう。
先日、できないことが増えてくるのが大人になることだ、みたいな文を書いたが、親は俺以上にそれをひしひしと感じているはずだ。体が思うように動かなくなったり、物事を忘れやすくなったり。それは大きなストレスだと思う。ならばせめて食べ物くらいは、と考えるのは甘さなのかもしれないが、もう少しの間は、好きなものを好きに食べさせてやりたいと思う。

食べ終わって買い物を済ませ、実家へ。ウメがくるくる回って歓迎の意を表す。そしてやたら甘えてくる。これに騙されてはいけない。が、かわいいので妻と二人で遊んでやる。今日はかなり長い時間、愛想がいい。馴れたか。あるいは作戦か。しかしかわいい。きっと馴れたのだ。思いっきり甘えさせてやろうと、両手を広げて呼び込んだ。

やはり騙された。ひとしきり遊んだら背を向けて、呼んでも来なくなった。もうすぐ散歩の時間らしい。ウメは散歩からご飯、ご飯から睡眠というサイクルで生きているので、もう遊べる機会は残り少ない。よし、餌で釣ろう。レタス作戦発動だ。

……甘かった。レタスを手で差し出すと、器用にくわえて背中を向けて、少し離れて食べる。ちっとも遊んでくれない。近づいてくるが、餌を手にしていないと知ると、すぐ離れる。で、餌を手にすると、さっとくわえて、また離れる。愛想も何もあったものではない。何だこの犬。

完敗だった。餌をで釣ろう作戦は挫折した。食欲と遊び心は別らしい。いまウメは、床に寝そべって睡眠をむさぼっている。明日は昼で帰るが、まだ時間はある。今度はひたすらなでなで作戦でいこう。人生の醍醐味は逆転にある。勝負はまだまだこれからだ。

というわけで、今日はここまで。妻はもう寝ている。夜更かしは健康最大の敵だ。俺も寝よう。親父とウメのイビキでも聞きながら。
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