碧田直の いいじゃないか。

演劇ユニット、ミルクディッパー主宰の碧田直が、日々を過ごして、あれこれ思ったことを、自由気ままに綴ります。

無題そのせんひゃくにじゅうなな

2019-05-20 18:57:41 | 日々
今日は曇り時々晴れ。地元では雨も降ったらしい。

今日もまだボクシングの話題。
録画した井上尚弥の試合を何度か繰り返し観た。第一ラウンドはほぼ互角の展開で、第二ラウンドに井上が立て続けに三度のダウンを奪って勝利したのだが、本当にロドリゲスに勝機はなかったのだろうか。
圧倒的な攻撃力を持つ井上に対するにあたっては、中途半端な距離にいるのが一番危険だ。ボディの強度に不安要素のあるロドリゲスとしては、左ジャブを突いて距離をとり、懐に井上を入れさせないようにするか、つまり遠くで戦う戦法と、逆にプレッシャーをかけて井上を下がらせ、踏み込ませないで強打を防ぐか。つまり接近戦を挑むかの二つの選択肢があった。
陣営が選んだのはが後者、つまり接近戦だった。それだけではない。試合前に報じられた井上の父、真吾トレーナーをロドリゲスのトレーナーが小突いたり、会見に二十分遅刻してきた。これはアクシデントではなく、意図的に画策されたものだと思う。
パーフェクトに見える井上の弱点のひとつと見えるのが、メンタル。もちろん気が弱いとか勇気がないとかいうのではなく、外見に似合わずカッカしやすい点だ。バンタム級のタイトルを獲得したマクドネル戦では、計量に遅刻したマクドネル陣営のやり方に腹を立て、試合で圧倒はしたものの、力任せの攻撃になり、ダメージにはならなかったがマクドネルのカウンターを食っている。ロドリゲス陣営は、ここに注目して、あの手この手で井上のメンタルを乱そうとしたのだと思う。
その影響ではないと思うが、第一ラウンド井上は硬かった。珍しく空振りをしてバランスを崩しかけた。反対にロドリゲスは作戦通りにプレッシャーをかけ、いいタイミングでパンチを出せてもいた。第一ラウンドが終わった時、ロドリゲス陣営は上々の滑り出しに手ごたえを感じていたはずだ。すべてが当初の予定通りいっている。第二ラウンドもこの調子でいけ、とアドバイスしたことは想像に難くない。
誤算があったとすれば、井上がインターバルの間に第一ラウンドの問題点を理解し、修正しようと決め、その具体策を思いつき、実行してしまったことだ。頭でわかっていても、一度リズムが崩れると修正するのが難しいのがボクシングなのだが、そこを軽々と修正してしまう。適応力の高さ。これが井上の強みだ。
第二ラウンドは、最初から井上のスピードが上がった。ロドリゲスが繰り出すジャブをかわしざまに、コンビネーションを三発決める。ロドリゲスも接近戦で応戦したが、そこに井上の狙いすましたショートの左フックが待っていた。事実上、試合はそれで決してしまった。
ロドリゲス陣営にミスはなかった。あえていうなら、井上の適応力を見誤ったのが敗因だと思う。逆に言えば、ミスをしていないのにあんなに倒されてしまうのなら、いったいどうすればいいのか分からないというのが本音ではないだろうか。
決勝はノニト・ドネア。ロドリゲスと違い、左フックに一発必倒の威力を持つドネアは、衰えがあるとはいえ井上も気は抜けない。だが、強者も衰えたら次世代に打ちのめされてバトンを渡すのがボクシングだ。そういう意味では、井上がドネアからバトンを受け取るためにも勝ってほしい。
というわけで、今日はここまで。また明日。
コメント
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