碧田直の いいじゃないか。

演劇ユニット、ミルクディッパー主宰の碧田直が、日々を過ごして、あれこれ思ったことを、自由気ままに綴ります。

無題そのごひゃくにじゅうはち

2017-09-28 19:49:34 | 日々
今朝は雨。途中曇り。帰りまた雨。

同僚が自分たちの芝居を観にきてからというもの、芝居について尋ねられることが増えた。が、演技論だとかそういうことには興味がないらしく、たいていは芝居はいくらかかるのか、という経費にまつわる質問となる。
もちろん、経費とひと口に言っても、芝居の規模にもよるし、内容にもよる。一概には言えないというのが本当のところではあるが、そのあたりをくどくどと説明したところで分かってもらえるとは思えない。ひたすら下世話に、いくらかかるのか知りたいのだから、経験上かかった額を話すしかない。
こういう場合、人というのは、一番経費がかかったケースか、反対に一番安くあげたケースを答えるようだ。俺も例にもれず、一番経費がかかったケースを話す。劇場費、舞台美術費、人件費などなど。結局、百万ほどかかった話をしたら、わかりやすく引いていた。結局のところ、それだけお金をかけても完全には回収できない事実を話したからだろう。「好きじゃなかったら出来ないね」と呪文のように繰り返す。
芝居は好きじゃなかったら出来ない、それは確かだ。しかし、ただ好きというだけで、百万ほどのお金をつぎ込めるわけもない。何かしら前進できている手応えがあるから、次にはもっといけるんじゃないかと夢を見ることができるから、頑張れるのだ。何の希望も見えず、頑張れば頑張るほど後退していくのがわかる状態では、人は頑張れない。ほんの微かでも、光があれば。
 
……などと暑苦しい話はしても無駄なので、愛想笑いで済ませている。ちょっとだけ後ろめたい(笑)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする