疎開生活 続き

前回の続きです。


隊長、隊員２名は、疎開先のビジネスホテルに着いた。

ここは、山形で唯一、大型犬を受け入れてくれるホテルだった。

ビジネスホテルなので、食事もつかなければ、温泉もないので、

期待はしてなかった。

だけど・・・・・部屋に入ってみて、

大型犬を受け入れてくれた意味がよ～くわかった。





「　ななタン　どそくで　しつれい　しましゅ　」


足を拭く雑巾や、コロコロや、除菌シートを用意して行ったが、

それらは全く必要がなかった。


その代わりに必要となった物は、




「　ぷらずま　くらすた　でしゅ　」


すぐに近くの電器屋さんに空気清浄機を買いに行った。

作動するとすぐに、「　ハウスダスト　」　を感知し、色が勢いよく変わった。　


それでも、

仙台に比べて圧倒的に余震が少なく、地震の揺れでも止まらないアバウトなエレベーターに娘は喜んだ。

一方、

ホテル内の様々な音に敏感に反応する七色は、

物音がする度に、ぅぅぅぅ・・・と唸りながらオロオロと動き回り、眠れない。




「　ななタン　ふみんしょう　でしゅ　」


こうして隊長、七色共に

眠れない一夜を過ごした。

「　ここにはもういられない。明日、帰ろう　」　隊長はそう決めた・・・・・一泊かいっ　



ところが、

大事なことを忘れていた。

帰りの分のガソリンがない。ガソリンは３日後しか手に入らないのだった。　　




「　ななタン　これがあれば　なんとか　のりきれましゅ　」



隊長は栄養ドリンクとサプリメント。七色は、グリニーズで頑張るしかなかった。




「　ななタンは　かんで　わすれる　たいぷ　でしゅ　」


隊長の過去データでは、「　ワンコは噛むことでストレス解消できる　」　はずなので、

こういうこともあろうかと、大好きなグリニーズを準備して行った。



このグリニーズ。期待通りの効果を発揮してくれた。　




「　かめるって　しあわせ　でしゅ　　」


りんごをかじると血が出るタイプの七色は、歯ぐきから出血しながらも噛んで、噛んで、噛んだ。





「　はぐきの　ちは　こころの　あせ　でしゅ　」


・・・・・・どう考えても違うだろう。　



ホテルは駅前にあり、おしっこやウンＰをさせる場所が付近に見当たらないので、

「　おしっこをさせる公園は近くにありますか？？　」　とフロントで聞いてみたら、

とりあえず霞城公園まで行ってみればいいんじゃＮＥ？？　的な応えだったので、



素直な隊長は、

とりあえず霞城公園まで行ってみた。




「　ここで　おしっこを　しても　おまわりさんに　つかまらないでしゅか？？　」


ってぐらい立派なお城じゃんよ。　おい。　


しかも、おしっこの度に、ここまで歩いてこなきゃいけないのかよ。おい。　


お城の土手沿いを歩いていると、山形ワンコ達と遭遇した。




「　そかい　してきた　ななタン　でしゅけど　なにか？？　」


と挨拶するフリをして、ぶっ飛んだ。

ぶっ飛びは疎開先でも健在だった。　　




そして歴史あるお城の石段に、





しっかりと、なな足跡を残してきた。




せっかく来たのだから、

山形を楽しもう！　隊長は隊員２名にそう訓示した。　


だけど・・・・



「　それで　ななタンは　どこに　おしっこ　すれば　いいでしゅか？？　」


本当に困った。　　

大型犬を連れてきてもよろしいけれど、おしっこやウンＰは、そちらで何とかしてちょうだいね的なホテル。

震災後、ずっと便秘が続いている隊長と違って、１日２回快食快便の七色。

しかも、ドッグフードだとウンPの量が恐ろしいほど増量した！　　　

どうするよ七色！？　

どうする隊長！？　





この続きはまた次回に。
なかなか話が進まず　すみません。
山形の道の駅には、宮城、福島、仙台ナンバーの車が何台も停まっていました。私達のように疎開してきたのかも知れません。
山形のお店は、どこも節電していて真っ暗。ここから仙台の灯りをもらっているんだな～と有難くなりました。
また、どこのお店も開いているし、食料品を並ばないで買えるのが何だか不思議で、申し訳ない気持ちになりました。
山形の街はどこも整然として、周囲の山並みととけこみ、とてもキレイでした。山形に来てから娘がすっかり明るくなり、不思議なことに隊長の頭痛も知らない間に治ってました。七色の挙動不審も徐々に落ち着いていきましたが、落ち着いた頃にはもう帰る日になっていました。


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