漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

えっちゅう

2013年04月19日 | 言葉遊び

「けんこんいってき」と云う言葉がある。

辞書を引くと、

 【乾坤一擲】けんこんいってき
   運命をかけて大きな勝負をすること。
とある

「乾と坤」は、八卦占いで「陰と陽」や「天と地」を表す言葉らしい、

つまり、天地を賭けて、命がけの大博打を打つ意である。

私は子供のころから、この「けんこんいってき」を、
大切な勝負の前に「ふんどしを堅く締める」ことだと思っていた。

「けんこん」を「堅褌」であると思い違いをしていたわけだ。

「かたいふんどし」と書く「堅褌」の正しい読みは「きんこん」、

ただ、辞書によれば、

  ~~~~~~~~~~~~~~~~

【緊褌一番】きんこんいちばん
  心を引き締め、決意を新たに、覚悟をもって物事に取り組むさま。

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~


とあるから、意味的にはまるきりの的はずれでもなかったわけだ。

処で、「口とふんどしは堅く締めよ」と云うことわざもあるぐらいだから、昔の人はふんどしを堅く締めたようだ。

大岡昇平氏の実体験を基にした小説だったと思うが、
太平洋戦争で捕虜になった日本兵が、

米軍から与えられたパジャマを、

「例外なく上着のすそをズボンの中に押し込み、
 腰にあるズボンのゴムの部分を出来るだけ上へ引っ張り上げている」

と云うような描写があった。

おそらくふんどしで習慣となっていた
「堅褌」を、パジャマでもするとなればそうなったのだろう。

当時の日本兵の下着は全員「越中ふんどし」、

三尺ほどの布の端に紐が縫い付けてあって、
布を後ろに垂らすようにして、その紐を腰に巻きつけ、
尻にたれている布を股をくぐらせて前に持ってきて陰部をカバー、

さらにその布を腹のあたりに締めた紐の内をくぐらせ余った布を前に垂らす。

この通称、「えっちゅう」は、越中富山の越中ではなく、
「細川越中守忠興」が始めたところから来た越中だというから、

第79代内閣総理大臣、細川 護熙氏のご先祖は、
江戸次第から戦前まで、
およそ三百五十年もの間、布地の節約に大いに貢献したことになる。

細川忠興は戦国武将だが、
それ以前は、紐のない「六尺ふんどし」で、材質は麻だったそうだから、

なんだか敏感な所がゴワゴワしそうな・・・。 (笑)

江戸時代からの「えっちゅう」は、
そのころから広く普及しだした木綿が主流で、

なかには絹製で、羽二重、ちりめんのものもあったと云うから、
他人に見せるわけでもない下着とは云え、凝る人はケッコウ凝ったたようだ。

でもまぁ、そのあたりは、今でも同じか。 

ちなみに、江戸時代の将軍様のふんどしは、
、一夜限りの使い捨てだったと、何かで読んだような気がするが、

まぁ、私の記憶だから、あまり他人に言ったりしないでください。 (笑)





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